K4-GP 2010FUJI1000km耐久(前編)
2010.08.16 画像・写真参加車両は基本的に軽乗用車および軽規格のエンジンを使ったマシンで、一部例外も含まれるが、いずれにしろ使用可能な燃料量は「1000km耐久」の場合で最大105リッターと決められている。つまりリッターあたり約10kmの燃費をキープしなければ、完走できない。楽しくファンキーな「K4-GP」は、じつはドライバーとチームに高度な技量と戦術を要求する、とても知的なエコランゲームでもあるのだ。
今年の夏の陣は、8月12日に「500km耐久」、13日に「1000km耐久」が開催された。後者から、参加したユニークなマシンを中心に紹介しよう。(後編につづく)
(文と写真=沼田亨)

決勝の出走台数は、なんと143台! 混乱を避けるために、午前8時のスタートを前にまずクラス別に整列してから、それぞれのスターティンググリッドに向かう。
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決勝の出走台数は、なんと143台! 混乱を避けるために、午前8時のスタートを前にまずクラス別に整列してから、それぞれのスターティンググリッドに向かう。
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スタート方式は、「仮装したチームメンバーがマシンに駆け寄り、安全確認シールをはがしてから発進」という変則ルマン式。参加台数が多いために、グリッドはグランドスタンドの長さにはとても収まらない。先頭はもっとも改造範囲が広く、絶対速度が速い「R車両」が属する「GP-5」クラス。
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グリッド上には1960〜70年代に「チームトヨタ」(トヨタワークス)で活躍した2人のドライバーの姿も。現在は自動車評論家の津々見友彦氏(左)は「マッド23MT」(ロータス23Bのレプリカ)、見崎清志氏(右)は「CZRアルピーヌM63」(アルピーヌM63のレプリカ)をドライブした。ほかにもベテランドライバーが何名か参加していた。
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「GP-5」クラスには、往年の名車を模したマシンがズラリ。「IYOKAN☆GT35」は、もちろん「フォードGT40」を80%に縮小したもの。オリジナルでも40インチ(約102cm)しかない車高がさらに低くなり、ルーフにはヘルメットをクリアするためのコブが付いている。シャシーは「東京R&D」製のレーシングカー「カドウェル」。
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これが「東京R&D」の「カドウェル」。鋼管スペースフレームに1960年代風のオープンボディを持つミドシップのレーシングマシンで、現在も購入可能。この個体のシュノーケル(空気取り入れ口)はノン・オリジナル。
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1986年のルマン優勝車である「ロスマンズ・カラー」の「ポルシェ962C」にそっくりな「サマンサ962」。シャシーは?
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1976、77、81年とルマンで3回勝っている「ポルシェ936」風の「IMAGE nsj 936」。シャシーはかつて日産/NISMOがリリースしていたワンメイクレース用の競技専用車である「ザウルスJr.」。見事総合3位、「GP-5」クラス優勝を果たした。
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シルバーがベースのマルティニ・カラーをまとった「ポルシェ908/3」ルックの「ノーベルフランス908」。これもシャシーは「ザウルスJr.」。
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スズキの軽用エンジンを積んだモノポストレーシングカーの「フォーミュラ・スズキkei」のシャシーに、「アルファ・ロメオ ティーポ33TT12」風のボディを載せた「MATSUBA33TT12」。プロポーション、フィニッシュともにすばらしい出来だった。
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前の写真で「MATSUBA33TT12」の後ろを走っていた「まんしゅうや縄文2J」の後ろ姿。後方に装着されたファンで車体下部の空気を吸い出すことによってダウンフォースを発生させた世界初のファンカーである「シャパラル2J」を模したもの。ベースは「スズキ・アルト」で、ということは駆動方式はMRではなくFF。もちろんファンはダミー。
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ボディ全体をウェッジシェイプとした「シャパラル2H」をスケールダウンした「2HLM」。シャシーはなんと「スバル・サンバー」である。だから「Powered by SUBARU」。製作は「K4-GP」の主催者である「マッドハウス」。
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これも「サンバー」のシャシーに「ロータス23B」を模したボディを載せた「マッドハウス」製の「マッド23AT」。「AT」とはトランスミッションがATだから。津々見氏らがドライブしたのは、これのMT版の「マッド23MT」。
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1970年代初頭に「富士グラチャン」で活躍した「シェブロンB19」にそっくり、と思ったら登録名も「シェブロンB19改」ときた。シャシーは「ザウルスJr.」。
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国産レーシングマシンを範としたモデルも数台いた。これは1969年の日本グランプリを制した「日産R382」を模した「R382R」。シャシーは「カドウェル」。
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「日産R382」のライバルだった「トヨタ7」のジュニア版である「ヨタシチ君」。シャシーは「ザウルスJr.」。つまりガワはトヨタ(風)だけど、中身は日産ってことか。
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これはマニアックなマシンだ。1969年に登場した「ブラバムF3」改のシャシーに「ホンダS800」のエンジンを積んだ「ホンダ800R」のレプリカ。通称「親ザウルス」こと(Jr.ではない)「ザウルス」用シャシーに「S800」エンジンを搭載。「USO800-R」という登録名もシャレが利いている。
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特認車両として参加したホンモノの「アルピーヌM63」と思いきや、「R車両」のレギュレーションに沿って作られたレプリカ「CZRアルピーヌM63」だった。シャシーは「WEST VIVACE」改、エンジンはスズキという。それにしても見事な出来栄えである。
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「ザウルスJr.」のシャシーに通称「エスロク」こと「ホンダS600」風のFRPボディをかぶせた「工房名岐S600MINT-R」。ミドシップされたエンジンが、ちゃんと「エスロク」用であるところがポイント。
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マットブラックに塗られた、武骨な手づくりっぽいボディを持つ謎のマシンの名は「BRG-707」。顔つきは「ホンダN360」風である。ところで、いかにも狭そうなキャノピーを付けた意味は?
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車名が「復活!カプチセブン」ということは、「スズキ・カプチーノ」がベースなのだろう。オリジナルの「スーパーセブン」以上に着座位置が後ろ寄りに思えるのは、気のせいか?