【SUPER GT 2006】第3戦富士、レクサスSC430が1-2フィニッシュを飾る!
2006.05.08 自動車ニュース【SUPER GT 2006】第3戦富士、レクサスSC430が1-2フィニッシュを飾る!
110周という長丁場のレースを走り抜き、真っ先にチェッカードフラッグを受けたのはベテラン服部尚貴がドライブするNo.35 SC430。これでトヨタ勢が今季2勝目を挙げることとなった。
ゴールデンウィーク真っ只中の2006年5月4日、静岡県・富士スピードウェイでスーパーGT第3戦が行われ、グランドスタンドには大勢の観客が詰め掛けた。
レースは、開始わずか4周目でトップに立ったNo.35 BANDAI DIREZZA SC430(服部尚貴/ピーター・ダンブレック組)が、最初のルーティンワークのピットインを終えて、ライバルの後退によってトップに返り咲くという幸運に恵まれた。
その後は冷静かつそつない走りを堅持。チームに初優勝をもたらすこととなった。
またGT300クラスでは、スピードに勝るNo.62 WILLCOM ADVAN VEMAC408R(柴原眞介/八木宏之組)が今季初勝利を飾った。
■立川が最多PP記録を樹立
予選前日の公式練習日は終日雨。肌寒い天気のなか、レインタイヤでの走行にとどまったが、予選日は朝から青空が広がる天気となった。
No.1 ZENT セルモ SC(立川祐路/高木虎之介組)にとって、富士はゲンのいいサーキット。これまで予選、決勝ともに記録につながる好成績を残し、今回の記録更新も目標のひとつだった。
予選1回目ではアタックを担当する立川が、2番手に0.2秒弱の差をつけトップタイムをマーク。そして午後からのスーパーラップでは、3つに区分されたセクションタイムで最速。なんと2番手に0.910秒という大差をつけ、堂々のポールポジションを獲得した。
圧倒的な速さを見せつけた立川にとって通算11回目のPPは、同時に獲得回数での最多記録を更新する快挙だった。
なお、スーパーラップでNo.1に続いたのはNo.35 SC430。3番手にはNo.66 triple a サードスープラGT(アンドレ・クート/平中克幸組)だった。また、GT300では今季から参戦を始めたニューマシン、No.2 Privee Zurich・アップル・紫電(高橋一穂/加藤寛規組)が初のPPを掴み取った。
■トップがまさかの失速
決勝日も前日同様の快晴に恵まれ、まさにレース日和。ローリングスタートによって始まった110周にわたる闘いは、まず思わぬ幕開けを見せた。
そつなくスタートを決めてトップを快走するNo.1 SC430。これにNo.35 SC430、さらには開幕戦の覇者であるNo.36 OPEN INTERFACE TOM'S SC430(脇阪寿一/アンドレ・ロッテラー組)とトヨタ勢がトップ3を独占。以下、ホンダNSX勢、さらには日産Z勢が続く、というまるでメーカー別オーダーのような展開となった。
ところが4周目、トップNo.1に黄信号が点灯! 1コーナーの先でスピードを失ったマシンが、続々とライバル達にパスされていくではないか。緊急ピットインで左リアタイヤのみを交換してコースに復帰するも、No.1が再ピットイン。マシンがガレージに納められた。
その後、トラブルの原因だった折損したドライブシャフトを交換し、レース終盤に再出走。ファステストラップをマークするも、規定周回数に満たなかったため、完走扱いにはならなかった。
■SC430の躍進
思わぬかたちでトップを譲渡されたNo.35だが、レースを牽引する速さを持ち合わせていた。後続車との攻防戦に持ち込むことなく1回目のピットイン。ライバル達より速い作業時間でピットワークを終え、ダンブレックから交代した服部をコースへと送り出した。
この間、ひと足先にピットインを終えていたNo.36がトップを奪取。だがNo.35がそこにジリジリとにじみ寄り、攻防戦へと様相が変わっていく。トップNo.36はピットイン後もロッテラーが引き続きドライブ。この後方から忍び寄るプレッシャーの影響か、GT300クラス車両と接触。これで左リアタイヤをパンクさせ、ピットインを強いられた。
改めてトップに立ったNo.35はその後もトップを快走。以後、後方での攻防戦に関わることなくクルージングモードで周回数を消化し、待ちに待ったチーム初の勝利を達成。最後までステアリングを握った服部にとっては1996年の最終戦以来の優勝を果たすこととなった。
2位からの猛追を見せたいNo.36だったが、ピット作業でのペナルティなどが重なり、後退。かわってNo.6 Mobil 1 SC(飯田章/片岡龍也組)が2位に浮上した。No.36は3番手でフィニッシュしたものの、ペナルティによってレースタイムに35秒が加算され、8位に。チームはこれを不服として抗議しており、正式結果は後日発表されることになった。
■No.62 VEMAC、功を奏したピット作戦
GT300クラスでは、トップスタートのNo.2 紫電が序盤にドライブスルーペナルティ。これを機に、予選上位にいたポルシェ勢が得意のストレートスピードを駆使しレースを盛り上げた。
そのなかで、安定した速さを見せていたのがNo.14 ハンコックエンドレスポルシェ(木下みつひろ/峰尾恭輔組)。今季より参戦を始めた韓国のハンコックタイヤを装着、開発担当の木下は「レインはいいが、ドライはまだまだ」と謙虚なコメントを残していたが、伸び盛りの実力を遺憾なく発揮。後半、ギアトラブルに遭いポジションこそ落として3位チェッカーとなったが、参戦3戦目にして早くも表彰台に上がった。
ポルシェ勢の活躍を横目に、自らの速さをしかとアピールしたのがNo.62 WILLCOM ADVAN VEMAC408R。的確なピットワークと総合力の高さを武器にクラストップを奪取。そのままトップで闘いを制した。
2位にはNo.101 TOY STORY Racing MR-S(新田守男/高木真一組)。ライバル達が2回のピットストップを行うなか、1回のみの作戦を選択。クラス18番手スタートから大躍進を果たした。
トヨタのお膝元である富士スピードウェイで勝利したのは、やはりSC430だったが、次の闘いは海外イベントとしてすっかり定着したマレーシア・セパン。例年、ホンダNSXが得意とするサーキットではあるが、暑さとの闘いが勝利への要因に絡んでくる一戦としても知られる。チームとしての総合力が問われる闘いとなるはずだ。
(文=島村元子/写真=KLM Photographics J)
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