【カーナビ/オーディオ】クルマで楽しめる衛星放送「モバHO!」が身近になった
2006.03.01 自動車ニュース【カーナビ/オーディオ】クルマで楽しめる衛星放送「モバHO!」が身近になった
クルマ業界でも最近は地上デジタル放送が話題だが、もっと前から衛星放送による高画質/高音質放送は始まっていた。その名は「モバHO!」。なぜ知られていなかったかというと、料金が高かったから。それが最近格安なパックが登場したから体験しない手はない。
カーナビ・オーディオライターの石田功が最新のモバHO!事情を伝える。
■モバHO!って、知ってる?
石田:まあ、道中長いですから後ろの席でMTVでも見ながらくつろいでいてください。
──えっ、MTVが見られる? DVDに録画したヤツですか?
石田:いえいえ、リアルタイムで放送中の番組です。モバHO!(モバイル放送)ですよ。
──なんですか? それ。
石田:2004年10月にスタートした、クルマなどの移動体向けの、衛星によるデジタル放送です。衛星は2004年3月に打ち上げられて、今、高度3万6000km、東経144度の静止軌道にあります。ここから2.6GHzのSバンドという電波で放送されています。映像付きが8チャンネル、音声のみが30チャンネル、それとデータ放送が提供されています。もっと詳しく知りたければhttp://www.mobaho.com/にアクセスを。
■初期投資はいくら?
──モバHO!を楽しむためには何が必要なんですか?
石田:受信端末はモニター一体の携帯型モデル(東芝製&シャープ製の2機種)、ノートPCで楽しむためのカード型モデル、自宅と兼用できるクレードル式の車載型モデルがあって、車載用の「MBR0101B」はモバHO!のサイトのオンラインショップで5万2290円(カーキット&ホームキットのセットは5万9220円)で販売されています。
あと、初回加入時に2500円の加入料がかかって、毎月400円の基本料+選んだパック料金が必要です。MBR0101Bには一昔前のGPSアンテナの大きさほどのアンテナが2個付いていて、これで電波を拾います。
衛星放送といえば大きなパラボラアンテナを想像すると思いますが、モバHO!はBSやCSの10倍以上強い電波を送信していますから、こんな小さなアンテナで受信できるんです。また、携帯電話にモバHO!のチューナーが搭載されそうな動きもありますね。
■格安パックだと月額980円
──受信は有料なんですね。
石田:そうなんですよ。日本じゃ「放送はタダ」が当たり前だから、ちょっと高く感じるかも。でも、昨2005年末から低料金のパックを始めるなど、ずいぶんがんばっています。
放送開始当初は映像7ch+音楽・音声30chで2080円/月のAパックと、映像7chのBパック、音楽・音声30chのCパック(各1380円/月)だけでしたが、最近バリューパックとして月々580円(基本料金と合わせて980円/月)の手頃なパックが用意されました。
これなら使用頻度が高ければ、むちゃくちゃ高いとは思わないかも、ですね。
──パックだけで、個々に視聴したい番組を選ぶことはできないんですか?
石田:そうなんですよ。そこが弱点。個人的にはMTVとrockin'on、小林克也チャンネル、FM94/9-Rockあたりを組み合わせたい(笑)。でも、それができないんですよね。
■プロの厳しい目と耳でチェック
──画質、音質はどうなんでしょう?
石田:映像の解像度は320×240ドット程度で、7型クラスのカーナビのモニターなら、不満はないレベルですね。ハイビジョンの地デジなんかに比べるとクオリティは劣るけど、デジタル放送だから地上アナログ放送のようなゴーストは出ないし、映像は安定していて十分に楽しめます。
また昨年末から映像の圧縮方式をそれまでのMPEG-4方式から、MPEG-4の1.5倍の圧縮性能を持つH.264方式に変更して、画質向上を図っています。音質は……映像付きで48kbps、映像なしで64kbps(AAC)とのことですから、CDに比べると、そりゃかないません。でもデジタルだから音がクリアでFM放送よりはいいですよ。
──音質のほかにメリットはありますか?
石田:何より日本中どこでも同じ放送が楽しめるのが、モバHO!の魅力だと思います。ほら、FMだと県をまたぐと聴いてた放送が聞こえなくなって、聞こえるチャンネルを探さなきゃいけないでしょ?
地デジも、映像がきれいだとはいえ、高速に乗るとすぐに見られなくなってしまう。その点、モバHO!は全国をカバーしているから東京から名古屋、大阪、九州までも、チャンネルを変えずに視聴していられるわけです。
■実際に走ってみる
──ドライブ中にいちいち選局したりせずにすむのはいいですね。受信状態はどうですか? 地デジだと高速の防音壁のそばで入りにくかったりしますよね。
石田:基本的にはアンテナと衛星の間に遮るものがなければ受信できます。
衛星は南側の水平から約50度上向きの上空に浮かんでいますから、その方向の空が開けていればいいということですね。このチューナーのアンテナは、ルーフ上の左右に設置することを推奨しているんですが、かっこ悪いしいたずらの心配もあるので、僕は室内の前後(ダッシュボード上とリアトレイ上)にアンテナを置いて走ってみました。
──それじゃあ電波を受信しなかったでしょう?
石田:それが都内ではほとんど受信が途切れることがなかったんですね。というのも、関東、名古屋、大阪の大都市圏ではモバHO!の電波を地上から再送信しているからなんです。「ギャップフィラー」というんですが、これのおかげでビル街や短いトンネルなど、衛星とアンテナの間に障害物がある場所でも安定して受信できるようになっているんです。
このギャップフィラーは、高速道路のトンネルにも徐々に設置が進んでいて、東名の都夫良野トンネルあたりでも、途切れることなく受信できます。逆に受信状態があまり良くないのは、周囲に木が茂った峠道などですね。ちょっとした木立なら大丈夫なんですが、受信が途切れ途切れになりがちです。
──こういう場所でも音楽聞きたければ、CDとか他のメディアを楽しめばいいんですよね?
石田:ま、そういうことですね。そんなことより、モバHO!の魅力は全国どこでも同じ番組が楽しめる、ロングドライブでもチャンネルを変えずに聞き続けていられることです。
アメリカでもXMやSIRIUSという衛星ラジオがあって、アメリカ全土で好きなチャンネルを聴けるという点で人気が高まってきているんですが、モバHO!はそれの日本版ですね。モバHO!は個人の乗用車だけではなく、長距離トラックや移動が多い営業車などにもいいんじゃないですかね。カラオケやニュースのチャンネルもありますから。
(リポート&写真=石田 功)
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