BMW650i カブリオレ(FR/6AT)【試乗記】
のんびり楽しむ駿足のカブリオレ 2006.02.11 試乗記 BMW650i カブリオレ(FR/6AT) ……1269万8000円 BMW6シリーズに、先進のバルブトロニックを採用した4.8リッターV型8気筒エンジン搭載モデルが追加された。パワフルになったオープンモデルに試乗する。超豪華版オープンエアモータリング
一口にオープンカーといっても、走りにこだわるスパルタンなものからラクシュリーなモデルまでそのタイプはさまざまだが、このBMW650iカブリオレはトップレベルの豪華さ、快適さを誇るスタイリッシュな一台である。
なにしろ贅沢なのである。太陽が降り注ぐキャビンを見渡せば、シートばかりか、ダッシュボードやドアトリム、メーターナセル、そしてサンバイザーにいたるまでレザーで覆われたインテリアが豪華さを引き立てる。
幌の開閉にしても苦労などひとつもない。操作はフックを外す必要などなく、センターコンソールにある開閉ボタンを押すだけ。20秒後にはフルオープンボディの出来上がりだ。
冬の寒さに躊躇することもない。レザーシートには3段階調節のシートヒーターが備わり、エアコンも強力だ。さらにステアリングヒーターのおかげで、ステアリングホイールを素手で握っていても冷たさとは無縁なのだ。
走り出しても、街中なら風の巻き込みは気にならないし、後席に簡単に取り付けられるウインドディフレクターを立てれば、高速を100km/hで巡航しても平気なほどキャビンは暖かく快適である。
駿足も自慢のひとつ
搭載されるエンジンは、7シリーズや5シリーズに採用される最新の4.8リッターV8。最高出力367ps、最大トルク50.0kgmの高性能を誇るだけに、2トン近い車両重量もなんのその、アイドリングを上回る回転数から豊かなトルクが湧き出し、2000rpmでも街中から高速道路まで、ほとんどの場面で事足りてしまうほど余裕がある。
とはいってもそこはBMW、優雅なだけのクルマではない。ドライバーが鞭をくれてやれば本来のスポーティさをいかんなく発揮する。アクセルペダルを思い切り踏みつけると、それまで存在を隠すかのように静かさを保ってきたエンジンは、キックダウンするやいなやV8ならではの野太く荒々しいサウンドを伴いながら怒濤の加速モードに切り替わる。とくに4000rpmからレブリミットの6500rpmにいたる領域では、その豹変ぶりにあきれるほどだ。550iのようにあくまでサウンドだけはジェントルさを装うほうが、このクルマには似合うと思うのだが……。
一方、乗り心地はいたって快適だ。フロントには245/45R18、リアには275/40R18のランフラットタイヤを履くが、いまやランフラットといえどもゴツゴツした印象はないし、荒れた路面でドタバタすることもない。目地段差を越えたときのショックのいなし方も秀逸である。
アクティブ・ステアリングとロールを抑えるダイナミック・ドライブは標準装着。一般道や高速を普通に走るかぎり不自然さはない。今回はワインディングロードを試すチャンスはなかったが、快適性とスポーティさが高い次元で両立していることは容易に想像できる。【Movie】わずか20秒でオープンボディに変身!
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のんびり楽しむ方へ
そうはいっても、タイヤを鳴らしてワインディングロードを攻めるよりも、優雅に流す走り方がこの650iにはお似合いである。スポーティさを求めるならZ4を選んだほうがいい。
そして4シーターならではの楽しさも650iカブリオレの魅力のひとつだ。開放感を味わうなら、フロントウィンドウが迫る運転席よりもむしろ後席のほうが気持ちがいい。ジェントルな運転を心がける友人にステアリングを委ね、移り変わるパノラマと全身に浴びる風を後席で楽しむのもまた一興。
とにかく徹底的にオープンエアモータリングを楽しみたい650iカブリオレである。
(文=生方聡/写真=郡大二郎/2006年2月)

生方 聡
モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。
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