【FN 2005】第9戦鈴鹿、ロッテラー、今季2度目の勝利を最終戦で飾る
2005.11.28 自動車ニュース【FN 2005】第9戦鈴鹿、ロッテラー、今季2度目の勝利を最終戦で飾る
コンマ数秒で迫るチャンピオン本山哲。そのプレッシャーを一身に背負いながら、はねのけることに成功したアンドレ・ロッテラー。終盤に見せたふたりの熾烈な争いは、拮抗したバトルを数多く生み出した今季の闘いを象徴するものだった。
2005年11月27日、三重県・鈴鹿サーキットで決勝レースを迎えた全日本選手権フォーミュラ・ニッポン最終戦は、予選5位スタートのロッテラーが大接戦をものにし、今季2勝目をマーク。前戦チャンピオンに輝いた本山が2位につづき、予選10位から躍進した井出有治が3位に入った。
■松田、会心のアタックでポール獲得
予選でキラ星のごとく光るパフォーマンスを見せたのは、松田次生だった。午前中の予選1回目では、土屋武士が本山を僅差で抑え暫定ポールを獲得したが、午後からの予選2回目でロッテラーがまずこのタイムをクリアした。
この間、ドライバーの多くがニュータイヤでのアタックをつづけていたが、自己ベストタイム更新どまり。そのなかでロッテラーのタイムを僅かながら削り取ったのが松田だった。
その後、最後のニュータイヤを投入した土屋、さらに片岡龍也らがファステストラップを叩き出し、ポジションが激しく変動。しかしながらそこで底力を見せたのは、またしても松田だった。ファイナルアタックで1分44秒822と、ただひとり44秒台をマークし、自身4年ぶりとなる2度目のポールポジションをもぎ取った。
■逃げる片岡、追う松田
午後から曇り空が広がり始めたサーキットには、冷たい風が吹き、週末で一番寒い天気となった。
ポールポジションからスタートを切った松田だが、それを上まわったのが2位スタートの片岡だった。
松田を激しくけん制し、1コーナーの飛び込みまでに“料理”。ホールショットを奪った。
松田は逃げる片岡を執拗に攻めたてるが、逆転に持ち込めないまま周回を重ねていく。いっぽうその後方でも、勢いにのる小暮卓史が3位の土屋を猛追、気の抜けない序盤戦が繰り広げられていた。
トップ争いのなかで真っ先にピットインしたのは松田。緊迫する状況に変化を与えるべく、ライバルより先んじてルーティンワークを行った。しかし、右リアタイヤの装着でトラブルが発生。大きくタイムロスし、これで事実上、勝利への権利を喪失した。
かわってトップに立った片岡だが、間髪入れず小暮の猛攻を受け、あっけなく首位の座を明け渡す。さらにその直後のピット作業ではエンジンが突然ストップ。松田同様タイムロスをしいられ、コース復帰が大幅に遅れてしまった。
また小暮も、スタート時の搭載燃料が少なかったことからピットインでたっぷり給油することとなり、この間にトップが目まぐるしく入れかわった。
■わが道をまっとうしたロッテラーが首位に
そんななか、淡々とかつハイペースで順調なレース運びを見せていたロッテラーがトップに踊り出て、本山がこれにつづいた。
トップ争いを後方から様子見していた予選4番手の本山は、一度トップに立ったあとにライバル勢より遅れてピットイン。結果としてこれが功を奏し、全車ピット作業を終えたときには2位に浮上。次第にペースも上がり、トップのロッテラーとの差を確実に詰めて、コンマ数秒という接近戦に持ち込んだ。
だが、追われるロッテラーは本山のプレッシャーに動じない。再三にわたり逆転目前という状況へと持ち込まれながら、耐え忍ぶ。また本山も攻め落とすチャンスにあと一歩と迫りながら、目の前の敵を攻略するには至らず。コーナーでは背後につけながら、ストレートでスリップストリームに入ることができないまま、ファイナルラップを迎え、そのままチェッカードフラッグが振られた。
今季2度目の優勝を果たしたロッテラー。「プレッシャーのなかでとにかくプッシュすることを心がけた。ハードなレースを制することができてとても光栄」と、過去2戦の鈴鹿はリタイヤに終わっていただけに、レース後は全身で勝利の喜びを表わしていた。
2位の本山も「今季のチャンピオンにふさわしいパフォーマンスを披露できた」と満足気。3位には予選10位スタートの井出有治が粘りを見せて残る表彰台の一角をもぎ取り、シリーズランキングでも2位を確保することに成功した。
■服部尚貴、フォーミュラ引退
なお、この鈴鹿がフォーミュラレースの引退試合となった服部尚貴は、予選6位の好位置からスタート。だが、終盤にコースアウトをきっし、レースには復帰したもののファイナルラップにはまさかのガス欠、デグナーカーブのイン側にマシンをストップさせ、フィニッシュラインを通過せずに最後のレースを終えた。
2006年は、ニューシャシーがリリースされ、トヨタもしくはホンダエンジンを搭載したブランニューマシンがお目見えするフォーミュラ・ニッポン。また新たな闘いが繰り広げられることになりそうだ。
(文=島村元子/写真=KLM Photographics J)
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