【カーナビ/オーディオ】第3回「ブラックス・サウンドコンテスト」開催 優勝車のサウンドはどんな音?
2005.03.31 自動車ニュース【カーナビ/オーディオ】第3回「ブラックス・サウンドコンテスト」開催 優勝車のサウンドはどんな音?
2005年3月16日、豊田市のフォレスタヒルズで「ブラックス・ハイエンド・カーオーディオ・サウンド・コンテスト」が開かれた。3回目となるこのコンテストは、ドイツの高級カーオーディオ「ブラックス」のスピーカー&アンプを搭載した車で音の良さを競うもの。今年は併せてブラックスの兄弟ブランドである「へリックス」のコンテストも開催された。当コーナー担当の石田功氏も審査員として参加した。
■音楽性が重視される「ブラックス」のコンテスト
──音の審査ってどのようにするんですか?
石田:え〜、審査員の石田です(笑)。今回のコンテストではヨーロッパのカーオーディオ競技会「EMMA」のサウンドチェックCDを使用して審査をします。
項目は大きく分けて音色、サウンドステージ、フォーカス、ノイズの4つ。音色はさらに、低域、中域、高域、全体のバランスの4項目に分かれ、サウンドステージは幅、奥行き、高さの3項目に分かれています。それに審査員の愛聴CDを使用して採点する音楽性の項目を加えて合計100点。1台につき約10分で、これらの項目を審査します。
審査員はカーオーディオ評論家の脇森宏氏、小林貢氏、ブラックス製品を製造しているオーディオテック・フィッシャー社のハインツ・フィッシャー社長と奥さん、ブラックス製品の日本の輸入元であるクラスAの久家社長、そしてボク。その合計点の高いクルマが勝ちというわけです。
──このようなコンテストはいろいろありますけど、ブラックスならではの特徴はありますか?
石田:音楽性を重視していることですかね。デジタル音場補正機能が発達して以降、コンテストでは音場、つまりステージングだったりフォーカスだったりが重視される傾向にあるんですが、えてして音楽を聴いてもつまらない音のクルマが上位にくることが多い。音像フォーカスはシャープに絞り込まれているんだけど、なんか小さな人形がダッシュボードの上に並んで演奏しているようなチマチマした音だったり……。
でも、実際に音楽を聴いて楽しいクルマって、けっしてそんなクルマではないんですよね。もちろん、ブラックスのコンテストでもサウンドステージ、フォーカスといった項目はあるので、ステレオ音場を組み立てる上での基本ができているのが前提ですが、その上でいかに音楽を楽しく生き生きと聴かせるか。そのあたりがブラックスのコンテストでは重視されます。このような審査だと、審査員の好みが順位に反映されがちですが、そのあたりは審査員の人数を増やすことで平均化しています。でも、上位1〜3位クラスのクルマは、各審査員、ほとんど一致していますよ。いいものはいい。
■優勝車の音は、カーオーディオじゃない?!
──今年の1位はアンティフォンが獲得しましたね。
石田:金沢のお店です。カーオーディオだけじゃなく、ホームオーディオやホームシアターも扱っているお店で、音や電気に関する知識はものすごい。
参加車両はレガシィだったんですが、いやぁ、素晴らしかったですね。代表の松居さんは「オーディオにカーもホームも関係ない。200〜300万円のシステムなら、カーでもホームでも同じ音が出せる」と言い切る人ですが、このクルマのオーディオを聴けば納得できる。
音像がちまちまと並んだ、よくあるカーオーディオの音じゃないんですよ。スケールが大きくてダイナミック。音が出た瞬間に「ぞくぞくっ」としましたね。ちなみに1位の賞品はドイツ旅行ご招待。
──2位、3位は埼玉のピースと滋賀のウイニングですね。
石田:ピースのビートルはヌケのいいストレートな音。周波数特性は中高域が多少暴れているのかな、という所がありましたが、そこを消さずにヌケの良さを引き出そうとしている感じ。ボク好みの音です。ウイニングのオデッセイは手慣れているという印象です。
特性は滑らかだし、ステージング、フォーカスともに文句の付けようがない。欲をいうと、主張が欲しかった。女性でもきれいだけど印象に残らない人ってよくいるじゃないですか。ウィニングのオデッセイもそんなイメージ。整っていていい音なんだけど、印象が薄い。
──印象に残るクルマ、ありましたか?
石田:実は今年は上位と下位のレベル差が小さくて、採点にものすごく苦労したんですよ。もちろん低レベルで僅差というわけではなく、多くのクルマがハイレベルということです。
その中で、ボク好みだったのは、大阪のカーオーディオクラブのアリスト。遅刻して審査対象から外れたんですが、遅刻しなかったら間違いなく上位に食い込んでいたでしょうね。
同じく大阪のリバイズのBMWも良かった。これも1位のアンティフォンのレガシィと同様、カーオーディオの枠を越えたスケールの大きさを感じました。ただ、ボリュームを上げるとドアがビビっていたのが減点になりましたね。大きな音で聴く審査員がいましたから。
四国のピットハウスコスギのハイラックスも、躍動感のある音で良かった。でも、アンプが不調だったのか、電源不足だったのか、音量を上げるとアンプが止まっちゃう症状がたまに起きていたのが残念でしたね。
もう1台、印象に残ったのが愛知のアウトロフトのイスト。甘いアコースティックギターの音色にググッと惹かれるものがありました。
■「へリックス」のコンテストも行われる
──へリックスのコンテストは今年が初めてですね。
石田:へリックスもオーディオテック・フィッシャー社のカーオーディオブランドで、ブラックスの弟分的存在。コンパクトなアンプが特徴のブランドです。
今年は参加台数が6台と少なかったんですが、1位は茨城の老舗、ヨシナリ。新製品のドーム型ミッドレンジを使ったフロント3ウェイ+サブウーファーのシステムで、これもいい音していました。ヴォーカルが厚くて、音のヌケが良くってイストの車内が広く感じられましたもん。
──次回も楽しみですね。
石田:でなにやってんだ」と思われがちですが、ショップの技術向上にものすごく役立っているんですね。上位入賞車の音を聴いたりインストーラーとコミュニケーションをとることによって、音創りのヒントが得られるし、上位のレベルを目指すことによって、全体的なレベルの向上につながる。その証拠に、昨年、上位だったお店でも、今年は上位に入れなかったりする。
来年は、多くのお店が今年のアンティフォンのレガシィのレベルに近づくだろうし、越えなければ1位にはなれない。という意味では、ものすごく楽しみではあります。ま、いずれは一般のオーディオ・ファンにも公開するコンテストを開いて欲しいんですけどね。そうじゃないと、カーオーディオに対する認知度は広まっていかないと思いますから。
(文=石田功)
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