【Movie】ディーゼルってホントはどうなの?
ボッシュ「Diesel Day in Japan」(後編)

2004.06.19 自動車ニュース 大澤 俊博

【Movie】ディーゼルってホントはどうなの?ボッシュ「Diesel Day in Japan」(後編)

2004年5月31日、栃木県のツインリンクもてぎで、ボッシュ主催のディーゼルエンジン車試乗イベント「Diesel Day in Japan」が開かれた。技術的、社会的問題の詳細は、雑誌『CAR GRAPHIC』『NAVI』最新号に譲るとして、今回は、ディーゼル乗用車ほぼ初体験の『webCG』リポーターが、イベント概要と最新ディーゼル車に乗った印象を報告する。後編では、試乗の模様をリポート。

■静かでラクチン

ツインリンクもてぎに持ち込まれた、ヨーロッパを走る最新ディーゼル車に試乗してみたが、ネガティブなイメージとは正反対だった。
試乗コースは、一般路を想定したサーキット外周路と、本コースを取り巻くオーバルコース。前者は一般走行と登坂能力、後者では高速性能や中間加速性能を試す。

乗った印象を一言でいえば、ガソリンと同レベルの静かさをもち、トルキーで運転がラクチンだったということ。静粛性は、「ホンダ・アコード」や「プジョー307」といった2リッタークラスの直列4気筒エンジン、つまりNVHに不利なクルマでも、アイドリング時に「ちょっとガラガラするかなぁ……」という程度。中低速トルクが太いためエンジンをまわす必要がなく(というか、まわしてもあまり意味がない)、巡航時の回転は低いため走れば静かだ。アコードの場合、5速での140km/h巡航で2500rpmと聞けば、なんとなくご想像いただけるだろうか。2速に入れておけば徐行〜100km/h近くまでカバーでき、ズボラな運転(?)も受け付けてくれる。多人数乗車や積載時も快適に運転できそうだ。どのクルマからも黒い煙は見られなかった。

■差がわからない……

「メルセデスベンツSクラス」などの高級サルーンでも、ディーゼルの特徴は変わらず。大排気量&多気筒エンジンによる、強烈でスムーズな加速が味わえた。3.2リッター直6ターボを積む「メルセデスベンツS320CDI」は、アクセルペダルをそっと踏み込むだけでスルスル速度を上げる。メルセデスベンツのエンジンは、特に高回転のフィールが素晴らしいわけではないから、ディーゼルとの差はすくなそう。個人的には、ガソリン仕様の「S500」より好ましく思えた。

(ほぼ)同クラスのガソリン車と比較すべく、「BMW7シリーズ」には、4リッターV8コモンディーゼルターボを積む「740d」と、日本でも販売される4.4リッターV8搭載の「745i」が用意された。いずれもオーバルコースでの試乗である。
“エンジン屋”BMWのクルマということもあり、普通に走って120km/h以上の高速域に達するコーナーエンド〜ストレートでは、やはり、高回転域が得意なガソリン車の軽いフィールのほうが気持ちイイ。とはいえ、それ以外では違いがわからないほど4リッターV8ディーゼルターボは洗練されていた。最大トルク61.2kgm(!)を1900〜2500rpmで発生するだけに、出足や中間加速は文句がない。
両者の簡単な比較インプレッションは、『CAR GRAPHIC』誌の岩尾編集部員の解説による動画で。

【試乗〜BMW740d(ディーゼルエンジン)】

【試乗〜BMW745i】

ボッシュオートモーティブシステムのステファン・ストッカー社長は、「ディーゼルの悪いイメージを変えたい。“みにくいアヒルの子”も、時を経て白鳥になったように、ディーゼルも昔と同じではないのです」と語る。ディーゼル乗用車を初体験したリポーターも、“みにくい”どころか、普通乗用車として実用性の高いエンジンであるように感じた。

「(悪者の)イメージを変えたい」と語る、ボッシュオートモーティブシステムのストッカー社長に、日本でのディーゼル普及に向けた、ボッシュの姿勢などを聞いた。

【イメージを変えたい】



(撮影/編集=カネヨシ)

(文=webCGオオサワ/写真=清水健太)

 
【Movie】ディーゼルってホントはどうなの?ボッシュ「Diesel Day in Japan」(後編)の画像

【写真上】第3世代コモンレールシステムピエゾ式インジェクターを搭載する「アウディA8 3.0 TDI クワトロ」。233ps/4000rpmの最高出力と45.9kgm/1400〜3250rpmの最大トルクを発生する。
【写真下】外周路を試乗中の商用車「ルノーMaster 3.0dCi」と「メルセデスベンツT1N 316CDI」。
 

	【写真上】第3世代コモンレールシステムピエゾ式インジェクターを搭載する「アウディA8 3.0 TDI クワトロ」。233ps/4000rpmの最高出力と45.9kgm/1400〜3250rpmの最大トルクを発生する。
	【写真下】外周路を試乗中の商用車「ルノーMaster 3.0dCi」と「メルセデスベンツT1N 316CDI」。
	 

欧州で一般的な「プジョーBerline 2.0HDI」。2リッター直4SOHC8バルブディーゼルターボを搭載する。最高出力は136ps/4000rpmだが、最大トルクは32.6kgm/2000rpmと、ガソリンエンジンなら3リッターV6並。4500rpm以上で急激にパワーダウンするという、面白いキャラクターのエンジンで、シフトチェンジを駆使して走るのが楽しい。
 

	欧州で一般的な「プジョーBerline 2.0HDI」。2リッター直4SOHC8バルブディーゼルターボを搭載する。最高出力は136ps/4000rpmだが、最大トルクは32.6kgm/2000rpmと、ガソリンエンジンなら3リッターV6並。4500rpm以上で急激にパワーダウンするという、面白いキャラクターのエンジンで、シフトチェンジを駆使して走るのが楽しい。
	 

ホンダご自慢の「アコードTourer 2.2i_CTDi」は、2.2リッター直4DOHC16バルブターボ(140ps/4000rpm、34.7kgm/2000rpm)を積む。こちらは、トップエンドまでキレイに吹け上がり、パワー落ちも感じられない。欧州で評判がいいという話もうなずける。
 

	ホンダご自慢の「アコードTourer 2.2i_CTDi」は、2.2リッター直4DOHC16バルブターボ(140ps/4000rpm、34.7kgm/2000rpm)を積む。こちらは、トップエンドまでキレイに吹け上がり、パワー落ちも感じられない。欧州で評判がいいという話もうなずける。
	 

オーバルコースのバックストレートには、パイロンで3ヶ所にクランクが設けられ、中間加速をテスト。
 

	オーバルコースのバックストレートには、パイロンで3ヶ所にクランクが設けられ、中間加速をテスト。
	 


 
【Movie】ディーゼルってホントはどうなの?ボッシュ「Diesel Day in Japan」(後編)の画像


 
【Movie】ディーゼルってホントはどうなの?ボッシュ「Diesel Day in Japan」(後編)の画像

関連キーワード:
イベント, 自動車ニュース