F1ドイツGP結果【F1 03】
2003.08.04 自動車ニュース【F1 03】F1ドイツGP、モントーヤ圧勝
F1世界選手権第12戦ドイツGP決勝が、2003年8月3日、ドイツのホッケンハイムリンク(4.574km)を67周して行われた。猛暑のレースで、ファン・パブロ・モントーヤ(ウィリアムズBMW)がポール・トゥ・ウィンで圧勝。モナコGPに次ぐ今シーズン2勝目、通算3勝目をあげた。またチャンピオンシップランキングでは2位に浮上した。
2位デイヴィッド・クルタード(マクラーレン・メルセデス)、3位ヤルノ・トゥルーリ(ルノー)がポディウムフィニッシュ。
4位フェルナンド・アロンソ(ルノー)に次いで、5位オリヴィエ・パニス、6位クリスチアーノ・ダ・マッタが入賞。トヨタが2台同時にポイントを獲得したのは初めてのことだ。
7位ミハエル・シューマッハー(フェラーリ)、そして8位にジェンソン・バトン(BARホンダ)。バトンのチームメイト、ジャック・ヴィルヌーヴは得点ならず9位に終わった。
■酷暑とタイヤ
昨年、大改修され、超高速コースからよりコンテンポラリーなサーキットへと生まれ変わったホッケンハイム。今年も例年どおり、連日にわたり気温30度を超す猛暑のなか行われた。
路面温度50度以上という状況下でタイヤがどれほどのパフォーマンスを発揮するかが、大きなカギを握るGPである。
予選から好調だったのがミシュラン勢だった。トップ10グリッド中、ミシュラン8対ブリヂストン(=フェラーリ)2という勢力図。なかでもウィリアムズの2台がダントツの速さで、今シーズン3度目のフロントロー独占に成功した。
1分15秒167をたたき出し、ポールポジションを獲得したのは、今シーズン初となるモントーヤ。ラルフ・シューマッハーは、コース終盤のツイスティなセクションでタイムロスし、地元GPで2番グリッドに甘んじた。しかし、両車の差はわずか0.018秒しかなかった。
ブリヂストン最高位は、ソフトタイヤで賭けに出た、前戦イギリスGPのウィナー、バリケロの3位。4位トゥルーリ、5位キミ・ライコネン(マクラーレン・メルセデス)に次いで、ミハエル・シューマッハーは6番グリッドと後方に沈んだ。
予選トップ10の常連となりつつあるトヨタ勢は、パニスが7位、アロンソを間に挟み、最終コーナーでコースオフしたダ・マッタが9位と入賞を狙う位置につけた。トップチームながら中段が定(低?)位置となりつつあるクルタードが10位だった。
■1コーナーの多重クラッシュ
スタート直後に事故がおきやすいホッケンハイム。今回も例外ではなかった。
3番グリッドのバリケロに、ロケットスタートを切ったライコネンが左から迫り、並んだ。バリケロのすぐ右斜め前方には、2番グリッドのラルフ・シューマッハーのマシン。加速が鈍かったラルフは、1コーナーでバリケロに抜かれないよう、アウト側(左寄り)のラインをとったが、バリケロの左横にはライコネンがいたため、真ん中のバリケロは行き場を失った。バリケロの右フロントタイヤに、ラルフの左リアがヒット。その直後、コース左ギリギリを走っていたライコネンにも当たり、ライコネンのマシンはパーツやタイヤを飛ばしながら激しくスピン、タイヤバリアにぶつかった。セーフティーカーが3周にわたり導入された。
チャンピオンシップランキングで2位のライコネン、同じく4位のラルフ・シューマッハー、5位バリケロが、スタート直後に消えた。
その後方でも接触がおき、母国で好調だったハインツ-ハラルド・フレンツェン(ザウバー・ペトロナス)、ジャガー初レースにのぞんだ元ミナルディのジャスティン・ウィルソン、ラルフ・ファーマン(ジャガー・コスワース)が早々に戦列を去った。
■アンタッチャブル
再スタート後、モントーヤはファステストラップを連発しながらあっという間に後続車の視界から消えた。2位トゥルーリ、3位アロンソのルノー勢の後には、やや精彩の欠くチャンピオン、シューマッハーの姿。青(ルノー)と紅(フェラーリ)の3台は一団を形成し、その後方にはクルタードが続いた。14周目にトゥルーリが口火を切り1回目のピットインが始まったが、上位のオーダーは変わらなかった。
その後、アロンソのコースオフで、シューマッハーが3位にジャンプアップ。アロンソは、2回目のピットストップを終えて、クルタードにも先行を許した。
形勢が大きく動いたのは終盤だった。2位トゥルーリ、3位シューマッハーは2ストップ作戦。2回目のピット作業を同時に行った両車は、最後のスティントが30周と長くなっていた。そして、ロングランに耐えられなくなったトゥルーリのミシュランタイヤにブリスターが発生。抜きどころ「パラボリカ」ヘアピンでシューマッハーにアウトをさされたトゥルーリ。必死に抵抗し、フェラーリをコース脇のアスファルトにまで追いやったが、万事休す。翌周、クルタードにも先を越されて4位まで落ちてしまった。
2位までのぼりつめたシューマッハー。ライバルのリタイアに助けられ、チャンピオンシップで一気に差を広げたかったのだが、残り4周で今度はブリヂストンタイヤに異常が発生。左リアタイヤがパンクし、緊急ピットインを敢行、7位までドロップした。ゴールを待たずして、グランドスタンドの観客が帰り始めた・・・・・・。
他車をものともせず、1秒以上速いラップタイムを刻み続けたモントーヤは、3回のピットストップを難無くこなし、後続車に約1分もの大差をつけて、トップでチェッカードフラッグをうけた。
「もし」や「〜たら」「〜れば」を言っても無意味だが、ラルフ・シューマッハーが生き残っていれば、ウィリアムズが3度目の1-2フィニッシュを飾ったであろうことは想像に難くない。ブルーと白のマシンにバイエルン製エンジンを積んだ「ウィリアムズFW25」には、フェラーリもマクラーレンも太刀打ちできなかっただろう。
■2勝目、2位、2点差
モントーヤの今シーズン2勝目により、チャンピオンシップが大きく動いた。
ドライバーズランキングでは、辛くも2点を追加したミハエル・シューマッハーが71点で首位のまま。シューマッハーを追いかけていたライコネンが無得点で3位に落ち、モントーヤが6点差の2位に急上昇した。
そしてコンストラクターズランキングでは、2位ウィリアムズが、1位フェラーリに2点差まで迫った。
残る4戦、40点/72点の奪い合いが、ヒートアップしていく。
次戦は、これまた猛暑が予想されるハンガリーGP。決勝は8月24日だ。
■ドライバーズランキング(16戦中12戦終了/トップ10)
1位 ミハエル・シューマッハー 71点
2位 ファン・パブロ・モントーヤ 65点
3位 キミ・ライコネン 62点
4位 ラルフ・シューマッハー 53点
5位 ルーベンス・バリケロ 49点
6位 フェルナンド・アロンソ 44点
7位 デイヴィッド・クルタード 41点
8位 ヤルノ・トゥルーリ 22点
9位 ジェンソン・バトン 12点
9位 マーク・ウェバー 12点
■コンストラクターズランキング
1位 フェラーリ 120点
2位 ウィリアムズ 118点
3位 マクラーレン 103点
4位 ルノー 66点
5位 BAR 15点
6位 トヨタ 14点
7位 ジャガー 12点
8位 ジョーダン 11点
9位 ザウバー 9点
(webCG 有吉)
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