日本初の液体水素ステーション、有明に完成
2003.06.13 自動車ニュース日本初の液体水素ステーション、有明に完成
各自動車メーカーや自治体などにより開発、実験が行われている燃料電池車に、燃料となる水素を供給する施設「水素ステーション」が、このほど東京・有明に完成。2003年6月12日に開所式が行われた。
■官民協同の事業
燃料電池車(Fuel Cell Vehicle、略してFCV)とは、燃料となる水素と空気中の酸素の化学反応で得られる電力でモーターを回す電気自動車のこと。排出物は基本的に水だけというクリーンさ、エネルギー効率の高さなどが特徴で、次世代を担うであろう技術として注目されている。
2002年12月、トヨタとホンダが燃料電池車の市販(リース)を開始。公道でのテストが本格化するなかで、インフラの整備も急がれている。
東京・臨海副都心は有明地区の一角にできた「有明水素ステーション」は、経済産業省が取り組む「水素・燃料電池実証プロジェクト(Japan Hydrogen & Fuel Cell Demonstration Project、略してJHFC)」、そして東京都が推し進める「温暖化阻止!東京作戦」の一環として建設された“水素スタンド”だ。
国がバックアップし、都は土地などを提供。建設や運営は、ガス、エネルギー事業などを手がける岩谷産業(株)と、昭和シェル石油(株)が受けもつという、官民協同の実証プロジェクト。いまだ課題の多い燃料電池車を実用化するためには、メーカーを含めた民営企業と、国、自治体が協力しなければならないというわけだ。
■気体と液体、両方を供給
燃料電池車といっても様々な種類がある。
まずは水素の補給方法。水素ステーションから直に水素を補給する「直接水素形」と、水素以外の燃料を用い車両内で水素を発生させる「車上改質形」の2種類がある。
また直接水素形も、水素の“持ち方”により3つに分けられる。水素を気体として高圧タンクに貯蔵する「高圧水素タンク」、水素を合金に吸蔵する「水素吸蔵合金」、そしてマイナス253度以下にし液化したうえで貯蔵する「液体水素タンク」である。
JHFCの水素ステーションは、東京、神奈川に5ヶ所計画されているが、各所では、それぞれ異なる燃料、方式が試される。4番目にできた有明は「液体水素貯蔵水素供給設備」と呼ばれるもので、気体に加え、液体水素も供給できる日本初の施設となる。
■今夏には燃料電池バスが走り出す
しのつく雨にたたられた開所式場には、値段のつけられないような(ゆうに億を超える?)開発実験車両が4台も集結。トヨタと日野自動車が共同開発したバス「FCHV-BUS2」、ホンダの「FCX」、GM(オペル)の「Hydrogen3」、そして日産「X-TRAIL FCV」は、式終了後に出席者を乗せ、デモ走行を行った。
このうち、日野の大型路線バスをもとに造られた「FCHV-BUS2」は、この夏を目処に、有明に近い都営バス深川営業所管轄の路線を走ることが発表された。国土交通大臣の認定を受けた4台のうち、1台が東京都交通局に提供され、実験が重ねられるという。
公道実験、市販、水素ステーション開設・・・・・・“ポスト石油”を睨んだ新技術は、着々と実用化に向けて歩を進めているようだ。
(webCG 有吉)
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