第1回:「レジャーの相棒」に求められる条件
達人が語るレジャーカーの4カ条 2014.03.28 達人と楽しむ“車・食・遊”の世界 アウトドアの達人である田中ケンさんが、「三菱アウトランダーPHEV」で春のマリンレジャーを満喫! そこから導き出された、理想のレジャーカーの姿とは?アウトドアアクティビティーの伝道師
田中ケンさんにお会いできるというので、この日の取材は何日も前から待ち遠しかった。10代だった1980年代に愛読していた『ポパイ』や『メンズクラブ』のモデルとして、ケンさん(初対面でもこうお呼びしたくなるくらい気さくな方だった)は大活躍していたのだ。つまり、カッコいい男の代表であり、ヒーローだった。
ケンさんは現在、“快適生活研究家”としてアウトドアのアクティビティーの楽しさを伝える仕事をなさっている。メディアへの出演のほか、イベントの企画やキャンプ場のプロデュースなど、活動の範囲は幅広い。
ケンさんに「三菱アウトランダーPHEV」を試していただこうと思ったのは、このクルマがアウトドア趣味をより充実したものにする可能性を持っているからだ。
待ち合わせ場所に奥さまとともに現れてケンさんは開口一番、「おっ、僕は『三菱パジェロ』に乗っていたこともあるので、このエンブレムが付いたSUVは懐かしいですね」とおっしゃった。
まずは、PHEVの仕組みを簡単にお伝えする。
PHEVとは「外部から充電できるハイブリッド車であり、電気自動車(EV)でもある」という意味で、フル充電すればEVとしてガソリンは一滴も使わずに60.2km(国土交通省審査値)走ることができる。電気がなくなっても、今度はガソリンエンジンが働いて駆動と充電を受け持つから心配はない。モーターとエンジンが力を合わせてパワフルに走ることもできるし、つまりEVとハイブリッド車の“いいとこ取り”をしたのがプラグインハイブリッド車なのだ。自分で発電ができるEV、という言い方もできるだろう。
そして、JC08モード燃費が67.0km/リッターだと伝えると、ケンさんは目を丸く見開いた。
「ホント!? 僕は年間に5万キロぐらいクルマに乗るんですよ。自分のクルマの燃費は7km/リッターぐらいだから、これに換えたら年間で何十万円もガソリン代が浮きますね。もっとバンバンいろんな場所に出掛けられる」
そう言ってから、さっとアウトランダーPHEVの運転席に座った。簡単に操作方法をレクチャーすると、「なるほど!」とうなずいて、スタートした。クルマがお好きというだけあって、初対面のアウトランダーPHEVもずっと前から乗っていたかのようにスムーズに動かす。
順序が逆になってしまったけれど、荷室には空気でふくらませるインフレータブルカヤックを積み込んだ。目指すは三浦半島、春の海だ。
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プラグインハイブリッドのパワーに感服
首都高速から横浜横須賀道路に入り、三浦半島を目指す。ステアリングホイールを握るケンさんは、「よく走るんですね。想像していたより加速がいいです」という第一印象を口にした。
パワートレインの作動状況を表すインパネのモニターに時折目をやって、「おっ、いまは電気だけで走ってる」とか「エンジンブレーキを利かせたらバッテリーに充電しましたよ」と、興味深そうにシステムの働きを確認する。
「これくらいパワーに余裕があると、ロングドライブも楽ですよね」とおっしゃるケンさんに、アウトドアを楽しむためのクルマには、どんな性能が必要かを尋ねる。
「まずは荷物が載ることですね。今日はカヤックで遊びますが、カヤック本体のほかにパドルやライフジャケットなど、とにかく荷物が多い。スキーやキャンプも同じで、荷室が広いことが第一条件ですね。その点、このクルマの荷室の広さは合格です。荷物が載るSUVは燃費が悪いケースが多いので、このクルマは貴重だと思います」
そしてケンさんは、「もうひとつ、やはり四駆だと安心ですね」と続けた。
「軽井沢でキャンプ場をやっていて、冬場はスノーシューという西洋のカンジキを履いて山歩きをするんです。そういう土地柄なので、やはり四駆を選びます。雪だけじゃなくて、最近はゲリラ豪雨もひどいですから」
こうおっしゃるケンさんに、アウトランダーPHEVも前輪をエンジンとモーター、後輪をモーターで駆動するフルタイム四駆であることを伝える。
「なるほど、確かに三菱はパジェロとかランエボとか、四駆が得意というイメージがありますよね」
そう言ってから、ケンさんは周囲の安全を確認しながら何度か車線変更を試みる。そして、「やっぱり安定していますね」と小さくうなずいた。
そして何度目かにレーンチェンジを試そうとしたケンさんが、「あれっ!?」と声を上げた。インパネには、警告メッセージが……。
「積める」「走れる」だけでは不十分
おそらくケンさんのウインカーの操作が一瞬遅れたのだろう、カメラが前方の車線を監視する車線逸脱警報システムが作動したのだ。
「あっ、クルマに怒られてる(笑)」という、助手席に座る奥さまからのツッコミに、「すごい時代になったなぁ」とケンさん。
車線逸脱システムだけでなく、レーダーで先行車両や障害物を検知して自動的にブレーキがかかる衝突被害軽減ブレーキシステムや、先行車両との車間距離を設定した通りに保ちながら停止状態まで追従するレーダークルーズコントロールシステムも用意されていることを伝える。
「やっぱり走行距離が多いので、事故の可能性は少しでも低くしたいですね。アウトドア車の条件に、安全も加えます。荷室、四駆、燃費、安全が四本柱です」
横浜横須賀道路をひた走り、最初の目的地である三崎港の「三崎フィッシャリーナ・ウォーフ うらり」に到着する。ここには、三崎港に水揚げされるマグロや、三浦市で収穫される野菜の直売所が並んでいる。三浦半島で遊ぶ時には、こちらで料理の食材を調達することに決めているのだという。
駐車場にアウトランダーPHEVを止めてクルマから降りたケンさんは、「静かで乗り心地もいいから疲れないですね」と言いながら大きく伸びをした。
これからハードに体を動かすわけだから、運転して疲れないという性能もアウトドアを楽しむためのクルマには不可欠だろう。
ケンさんがここで購入したのは、マグロの赤身と、マグロのカマ。ふたつを入れた袋を手に持つとずっしりとした重量感があるけれど、3000円ちょっとと格安だ。休日ともなるとごった返すという理由がわかる。
食材を入手したところで、海岸線沿いの道を走ってカヤックのスポットへ向かう。
「昔のSUVと違って、こういう道でも軽快に走るんですね。ワインディングロードでも楽しいですよ」とおっしゃるケンさんのハンドルさばきが軽い。(つづく)
(文=サトータケシ/写真=河野敦樹)
テスト車のデータ
三菱アウトランダー PHEV G ナビパッケージ
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4655×1800×1680mm
ホイールベース:2670mm
車重:1810kg
駆動方式:4WD
エンジン:2リッター直4 DOHC 16バルブ
最高出力:118ps(87kW)/4500rpm
最大トルク:19.0kgm(186Nm)/4500rpm
モーター最高出力(前):82ps(60kW)
モーター最大トルク(前):14.0kgm(137Nm)
モーター最高出力(後):82ps(60kW)
モーター最大トルク(後): 19.9kgm(195Nm)
タイヤ:(前)225/55R18 98H/(後)225/55R18 98H(トーヨーA24)
燃費:67.0km/リッター(プラグインハイブリッド燃料消費率)/18.6km/リッター(ハイブリッド燃料消費率)
価格:405万1500円/テスト車=448万7250円
オプション装備:ロックフォードフォスゲートプレミアムサウンドシステム(9万9750円)/100V AC電源<1500W>(8万4000円)/急速充電機能(7万3500円)/三菱リモートコントロール+電気温水式ヒーター+シートヒーター<運転席/助手席>(17万8500円)
※5%の消費税を含む。
テスト車の年式:2013年型
テスト車の走行距離:2万8520km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(4)/高速道路(6)/山岳路(0)
テスト距離:269.3km
使用燃料:18.5リッター
参考燃費:14.6km/リッター(満タン法)
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サトータケシ
ライター/エディター。2022年12月時点での愛車は2010年型の「シトロエンC6」。最近、ちょいちょいお金がかかるようになったのが悩みのタネ。いまほしいクルマは「スズキ・ジムニー」と「ルノー・トゥインゴS」。でも2台持ちする甲斐性はなし。残念……。