【PR企画】創立100周年を迎えたZF(前編)
モータースポーツを支えるZFのテクノロジー 2015.10.23 ZF創立100周年<PR> ドライブラインとシャシーテクノロジーのメガサプライヤー、ZFフリードリヒスハーフェンAGは2015年、創業100周年を迎えた。同社の歩みを振り返る特集、前編のテーマはモータースポーツ。エンジンからの出力を「伝達」し「遮断」する、クラッチの奥深き世界に的を絞ってみる。ドライブラインとシャシーのメガサプライヤー
大小数万点のパーツで構成される自動車だが、世の中には、自動車メーカーと同じくらい名の知れた、誰でもその名を知るパーツメーカーがいくつか存在する。ドイツのZFもその中の一社だ。
ドイツ人のアルフレッド・ゾーデンは、ダイムラー社の副工場長として働いた後、マン社を経てツェッペリン社で働き始めた。同社を立ち上げたツェッペリン伯爵が実用化した飛行船に魅せられたからだ。1915年、ツェッペリン飛行船用の歯車メーカーとして仲間と独立、ZFを立ち上げた。ZFとはドイツ語の「Zahnradfabrik(歯車工場)」の略だ。
それから100年、ZFは航空産業専門の歯車メーカーから自動車を中心としたモビリティー全般を担う企業へと発展した。「ZF」と聞くと、クルマ好きは欧州車に採用されるトランスミッションのブランドを想像するが、同社は企業買収に積極的で、自動車の足まわり部品のメーカーとして有名だったレムフォーダーやザックスなども、今ではZFの一員だ。2015年、アクティブおよびパッシブ・セーフティー・システム関連パーツを得意としてきたアメリカのTRWオートモーティブ社を買収し、安全関連や将来期待される自動運転関連の分野にも進出が期待される。
現在では、総売り上げ2兆5000億円超、従業員数約13万4000人を誇り、世界4カ国に7カ所の研究開発拠点、約40カ国に230カ所の製造拠点をもつドライブライン、シャシー分野の最先端サプライヤーに成長した。
今年100周年を迎えるZF。第44回東京モーターショー(一般公開日:2015年10月30日~11月8日)では「効率」「安全」「自動運転」をテーマに、自社製コンセプトカーである都市型モビリティー「Advanced Urban Vehicle」の展示を行う予定だ(ZF公式サイトの東京モーターショー特設ページへ)。そんな彼らの歩みを、まずはモータースポーツの分野から読み解いていきたい。
モータースポーツで地力を養う
ZFは、その歩みの中でモータースポーツと深く関わりをもってきたブランドだ。1961年、イギリスのレーシングチームであるロータスと協力関係を結び、68年までの8年間にわたってF1マシン用の4段トランスミッションを供給、チームとドライバーのジム・クラークの黄金時代を支えた。
以来、F1のみならず、ルマン24時間レースを含むWECやWRCなどの世界選手権をはじめ、DTM(ドイツツーリングカー選手権)、日本のSUPER GTといったナショナルカテゴリーへのパーツ供給およびシリーズ全体へのスポンサード、さらにはアマチュアが参戦するカテゴリーの車両向けパーツに至るまで、現在もさまざまなカテゴリーでモータースポーツに関係している。
モータースポーツに関わる理由について、ZFレースエンジニアリング社のモータースポーツ・マネージャー、メメット・オザーマン氏は「一番は過酷な状況にも耐えられるという技術力を示すためです。もちろん、その技術を量産車向けのパーツ開発に生かします」と話す。また、「ロータスへギアボックスを供給し始めた60年代から、レース用パーツと量産車用パーツでは、要求の種類やレベルが異なるだけで、求められる技術は同じですから、モータースポーツ参戦は技術力を培うのにもってこいなのです」とは、パワートレーン・テクノロジー・マネージャーのマイケル・イストチェンコ氏。
例えば、先日富士スピードウェイで行われたWEC第6戦では、LMP1-H(ハイブリッドカー)では全車、LM-GTEクラスも80%の車両にZFのパーツが組み込まれており、彼らによれば「どこかが勝ってくれるという状況」だとか。
SUPER GTとDTMを支えるZFのクラッチ
1980年にZFの日本法人であるゼット・エフ・ジャパンが設立されて以来、ZFのパーツは日本のモータースポーツシーンでも大きな役割を果たすようになる。人気レースカテゴリーであるSUPER GTでは、オフィシャルパートナーを務め、全マシンにZFのロゴが貼られているほか、パーツサプライヤーとしてGT500クラスのレクサス、日産チームにクラッチを供給している(ホンダは特例としてミドシップで戦っているため、異なるクラッチを使用する)。そして、なんとそのクラッチは、DTMマシン全車に用いられているのと基本は同じだ。
車両規定の共通化を目指し、将来の交流戦を開く計画もあるSUPER GTとDTMはカーボンモノコックやリアウイング、ブレーキ、ショックアブソーバーなどのパーツを共通化しているが、クラッチもそのひとつ。DTMが4リッターV8ターボ、SUPER GTが2リッター直4ターボとエンジンが異なるため、その両方で高い性能を発揮させるスペックでなければならないことに加え、現状ではレースのレギュレーションが異なるため、クラッチに求められる要件は必ずしも同じではなく、そこでZFの技術対応力が求められているという。
異なる2つの要求を満たす
両レースの違いについて、オザーマン氏は「DTMはレース距離が短いスプリントレースで、ドライバー交代もありませんが、SUPER GTは耐久レースに近い距離を走り、ドライバー交代もあります。そして最大の違いはDTMがスタンディングスタートなのに対し、SUPER GTはローリングスタートだということです。DTMのスタンディングスタートの大きな負荷に耐えながら、SUPER GTのロングディスタンスにも耐えるクラッチが求められるのです」と話す。
とはいえ、SUPER GTだけなら簡単ということではなく、SUPER GTはローリングスタートではあるが、ドライバー交代があるためにピットイン/ピットアウトがある。ピットアウトは事実上スタンディングスタートなので、結局、高い耐摩耗性が求められる。加えて、SUPER GTはひとつのクラッチをレースをまたいで使うこともあるため、マイレージ管理も重要なファクターになってくるという。
「サプライヤーとしてDTMとSUPER GTのどちらが魅力的ですか?」と尋ねたところ、イストチェンコ氏からは「どちらが魅力的という質問には答えにくいが、ふたつのレースに加え、北米のUSCCなども合わせた究極のツーリングカーレースを見てみたいですね。その場合、クラッチに負荷がかかるようスタンディングスタートで、かつSUPER GTの長さを走るレギュレーションになれば、ZFの優秀さを証明できるはずです(笑)」という答えが返ってきた。話を伺った両氏のコメントの端々から自社製品への自信がうかがえる。オザーマン氏によれば、クラッチに最も負荷がかかるレースはルマン24時間レースとラリーだそうだ。(後編へ続く)
(文=塩見 智/写真=荒川正幸、ZF)
