ウイダー HSV-010、鈴鹿を制し2勝目【SUPER GT 2011】
2011.08.22 自動車ニュース【SUPER GT 2011】ウイダー HSV-010、鈴鹿を制し2勝目
2011年8月21日、SUPER GT第5戦の決勝が鈴鹿サーキットで開催され、予選3位からスタートしたNo.1 ウイダー HSV-010(小暮卓史/ロイック・デュバル組)が勝利を手にした。
■最後のひと降り、勝敗決める
このレースが今後何年にもわたって語り継がれるのは間違いない。鈴鹿サーキットで開催されたSUPER GT第5戦は、それくらいエキサイティングな戦いだった。87周のレースが残り7周となったとき、トップのNo.1 ウイダー HSV-010(小暮卓史/ロイック・デュバル組)と2位のNo.46 S Road MOLA GT-R(柳田真孝/ロニー・クインタレッリ組)との間には11.8秒のタイム差があった。通常のレースであればNo.1 ウイダー HSV-010は完全に安全圏内。最後は相手との間隔をコントロールしながらチェッカードフラッグを受けられるところだ。
しかし、このときの状況は全く違っていた。路面は、セミウエットからレーシングライン上がほぼ乾きつつある状態。そして浅溝のウエットタイヤを履くNo.1 ウイダー HSV-010が2分04秒前後で周回していたのに対し、スリックタイヤを装着するNo.46 S Road MOLA GT-Rはそれより4秒近く速い、2分フラットのラップタイムで追い上げていた。残り7周あればNo.46 S Road MOLA GT-Rが逆転できる展開である。
ところが、ふたつの誤算がNo.46 S Road MOLA GT-Rに生じた。ひとつは本来のレース周回数である87周に達しなくても、午後6時30分を過ぎてトップがフィニッシュラインに戻ってきたらチェッカードフラッグが振り下ろされるという規定が設けられていたこと。2台のペースから逆算すると、85周か86周にはレースは幕を閉じるので、No.46 S Road MOLA GT-Rに残された時間はそれだけ短くなる。とはいえ、84周目の段階で2台のタイム差は1.8秒。このままいけば85周目にはNo.46 S Road MOLA GT-Rがトップに立てる……が、No.46 S Road MOLA GT-Rには、さらにもうひとつの誤算があったのである。
柳田とクインタレッリがもっとも恐れていた、雨が降り始めたのだ。この結果、85周目にはNo.1 ウイダー HSV-010が4.6秒差と逆にリードを拡大。そして午後6時30分が過ぎ、86周目にチェッカードフラッグが振り下ろされたとき、2台の差は6.3秒へと広がっていた。優勝はNo.1 ウイダー HSV-010で、No.46 S Road MOLA GT-Rは2位。それは、まさに“勝利の女神が小暮とデュバルに微笑んだ”かのようなレース展開だった。3位はNo.12 カルソニック IMPUL GT-R(松田次生/J.P・デ・オリベイラ組)だった。
なお、ウエットコンディションで行われた前日の公式予選では、No.46 S Road MOLA GT-RがNo.17 KEIHIN HSV-010(金石年弘/塚越広大組)をくだしてポールポジションを勝ち取っていた。ウエットコンディションでは、相変わらずミシュランタイヤが優勢なのである。
これでチャンピオン争い(ドライバーズ部門)は、実質的に柳田真孝/ロニー・クインタレッリ組(56点)と小暮卓史/ロイック・デュバル組(44点)の2チームに絞られた。残るは3戦。両者の戦いは最終戦まで続くだろう。
GT300クラスでは、ポールシッターのNo.43 ARTA Garaiya(高木真一/松浦孝亮組)をNo.33 HANKOOK PORSCHE(影山正美/藤井誠暢組)とNo.62 R&D SPORT LEGACY B4(山野哲也/佐々木孝太組)が追う展開で始まったが、No.43は他車との接触で後退。最後は、71周目にNo.62 R&D SPORT LEGACY B4がNo.33 HANKOOK PORSCHEを抜いて、そのまま逃げ切り、昨年に続いて“真夏の鈴鹿”2連勝を果たした。
(文=小林祐介/写真提供 GTA)
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