【F1 2018 続報】第6戦モナコGP「リカルド、2年越しの勝利」

2018.05.28 自動車ニュース
F1第6戦モナコGPの表彰台に立ったドライバーたち。レッドブルのダニエル・リカルド(写真右)は自身初のポール・トゥ・ウィンを達成。2位でレースを終えたフェラーリのセバスチャン・ベッテル(同左)、3位入賞のメルセデスのルイス・ハミルトン(同中央)から祝福を受けた。(Photo=Red Bull Racing)
F1第6戦モナコGPの表彰台に立ったドライバーたち。レッドブルのダニエル・リカルド(写真右)は自身初のポール・トゥ・ウィンを達成。2位でレースを終えたフェラーリのセバスチャン・ベッテル(同左)、3位入賞のメルセデスのルイス・ハミルトン(同中央)から祝福を受けた。(Photo=Red Bull Racing)拡大

2018年5月27日、モンテカルロ市街地コースで行われたF1世界選手権第6戦モナコGP。極めて特殊なコース特性を味方に、節目のGPでレッドブルが大暴れ。しかし勝利までの道はとても長く、過酷だった。

タイト&ツイスティー、そしてカレンダー随一きらびやかな、モンテカルロ市街地コースでの65回目のF1レース。ポールシッターのリカルド(写真先頭)が、2位ベッテル、3位ハミルトンらを従えてスタート直後のターン1に進入した。(Photo=Red Bull Racing)
 
タイト&ツイスティー、そしてカレンダー随一きらびやかな、モンテカルロ市街地コースでの65回目のF1レース。ポールシッターのリカルド(写真先頭)が、2位ベッテル、3位ハミルトンらを従えてスタート直後のターン1に進入した。(Photo=Red Bull Racing)
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パワーユニットの優劣が出にくいコースのひとつであるモンテカルロで、レッドブルがライバルを圧倒。3回のフリー走行、そして予選Q1、Q2、Q3すべてでトップタイムをマークしたリカルド(写真中央)が、パワーロスというトラブルに屈することなく、是が非でも欲しかったレースでのP1を決めた。2年前のここモナコで、レースをリードしながらピット作業の不手際で勝利を逃していただけに、喜びもひとしおの様子だった。チームは、モナコでおなじみとなったレッドブル・エナジーステーションのプールで、出走250戦目の記念すべき勝利を祝った。(Photo=Red Bull Racing)
パワーユニットの優劣が出にくいコースのひとつであるモンテカルロで、レッドブルがライバルを圧倒。3回のフリー走行、そして予選Q1、Q2、Q3すべてでトップタイムをマークしたリカルド(写真中央)が、パワーロスというトラブルに屈することなく、是が非でも欲しかったレースでのP1を決めた。2年前のここモナコで、レースをリードしながらピット作業の不手際で勝利を逃していただけに、喜びもひとしおの様子だった。チームは、モナコでおなじみとなったレッドブル・エナジーステーションのプールで、出走250戦目の記念すべき勝利を祝った。(Photo=Red Bull Racing)拡大
昨年1-2フィニッシュを決めたフェラーリだったが、今年のレッドブルには歯が立たず。予選2番手のベッテル(写真)は「決勝日はより戦術的な戦いになるだろうね」とレースでの戦い方に含みを持たせていたものの、パワーロスに苦しむリカルドのレッドブルを攻略できるような好機は訪れなかった。ドライバーズランキングトップのハミルトンとの差は、17点から14点に縮まった。(Photo=Ferrari)
昨年1-2フィニッシュを決めたフェラーリだったが、今年のレッドブルには歯が立たず。予選2番手のベッテル(写真)は「決勝日はより戦術的な戦いになるだろうね」とレースでの戦い方に含みを持たせていたものの、パワーロスに苦しむリカルドのレッドブルを攻略できるような好機は訪れなかった。ドライバーズランキングトップのハミルトンとの差は、17点から14点に縮まった。(Photo=Ferrari)拡大

250戦目、節目にかけたレッドブル

第4戦アゼルバイジャンGPではライバルたちの脱落で幸運な今季初優勝を拾い、第5戦スペインGPでは見違えるような強さで他を圧倒し2連勝。5戦を終えドライバー&コンストラクター両チャンピオンシップでトップに立ったルイス・ハミルトンとメルセデスが次に向かったのが、昨年フェラーリに惨敗したモナコだった。

モナコに加え、ハンガリー、そしてシンガポールと、2017年にメルセデスが大敗を喫したこれらのサーキットで、今期型「W09」がどんなパフォーマンスを披露するのか。チャンピオンチームにとって、モナコはマシン改善の成果が試される一戦となった。

過去3戦勝利から遠ざかっていたフェラーリ&セバスチャン・ベッテルも、1年前と同じようにここで1-2フィニッシュを決め、宿敵シルバーアローの勢いを止めたいところだったが、今回のGPに並々ならぬ期待をかけていたのが、3強の3番手、レッドブルだった。

フォードの息のかかったジャガー・レーシングを2004年に買収し、その翌年、世界的に知られるエナジードリンクの名を冠した「レッドブル」がGPに参戦開始。あれから13年たち、今年のモナコでチームは出走250戦目を迎えるに至った。

2010年からのV8エンジン最後の4年間で、ベッテルとともにダブルタイトルを連取。最古参フェラーリを筆頭とする“F1エスタブリッシュメント”に対抗する新進気鋭の強豪としての地位を瞬く間に築いたレッドブル。V6ハイブリッド時代に入ってからも、メルセデス、フェラーリとともに「御三家」として優勝争いに絡んでいるトップランカーであることに変わりはないが、長くパートナーを組むルノーのパワーユニットが泣き所とされ、なかなかタイトル争いには加われないでいる。

そんな彼らの弱点が最も出にくいのが、追い抜き不可能とさえいわれるモンテカルロ市街地だ。GP最短の3.3kmのコースにストレートらしいストレートはなく、ヘアピンやシケインなどが連続する、ドライバーに息つく暇を与えない難攻不落のストリートサーキット。メルセデス、フェラーリに次ぐ3番手に甘んじるルノーのパワーユニットでも優勝が狙える数少ないレースであった。

100戦目(2010年ハンガリーGP)、150戦目(2013年バーレーンGP)と節目節目を勝利で飾ってきたレッドブルにとって、250戦目は最良ともいえる舞台で行われることとなった。

2017年のモナコでまさかの予選Q2落ち、レースでも7位と精彩を欠いたメルセデスのハミルトン(写真)。今年はポールから遅れること0.422秒の予選3位と1年前よりは状況が改善するも、このツイスティーで狭いモンテカルロでメルセデスは最速とはいえなかった。レースではライバルとよりも自らのタイヤと格闘することが多かったようで、3位から上を目指すことはできず。(Photo=Mercedes)
2017年のモナコでまさかの予選Q2落ち、レースでも7位と精彩を欠いたメルセデスのハミルトン(写真)。今年はポールから遅れること0.422秒の予選3位と1年前よりは状況が改善するも、このツイスティーで狭いモンテカルロでメルセデスは最速とはいえなかった。レースではライバルとよりも自らのタイヤと格闘することが多かったようで、3位から上を目指すことはできず。(Photo=Mercedes)拡大

リカルド、キャリア2度目のポールポジション

モナコ独特の“しきたり”にならい木曜日から始まったレースウイークは、初日から猛牛のたけだけしい走りが話題をさらうこととなった。何と3回のフリー走行全てでレッドブル駆るダニエル・リカルドとマックス・フェルスタッペンが1-2と他を圧倒したのだ。

レッドブルの快進撃は予選でも続くことになり、リカルドはただひとり1分10秒台という突出したタイムをマークしポールポジションを獲得した。過去64回のモナコでのF1で、トップ3グリッドからの優勝は実に54回。「仕事の50%は完了した」とは、会心のラップで自身2度目のポールを決めたリカルドの弁だったが、残り50%はレースを無事に、トップで走り終えること、という意味が込められている。ちなみに彼の最初のポールも、2年前のモナコで記録されていた。

もう一台のレッドブルは最後尾からのスタートに。モンテカルロではクラッシュが多く良い思い出がないフェルスタッペンは、フリー走行3回目で壁にヒット、マシンを壊してしまい、予選に出走できなかったのだ。

昨年のウィナー、フェラーリのベッテルは0.229秒差で予選2位。1年前にはQ2落ちという屈辱を味わったハミルトンは今年3位につけ、フェラーリのキミ・ライコネンが4位からポディウムを目指すこととなった。

メルセデスのバルテリ・ボッタスは5位。3強に次ぐ6位のポジションを得たのは、フォースインディアのエステバン・オコンだ。マクラーレンのフェルナンド・アロンソが健闘の7位、ルノーのカルロス・サインツJr.8位、モナコで表彰台経験のあるフォースインディアのセルジオ・ペレス9位、そしてトロロッソのピエール・ガスリーが10位につけた。

トロロッソのピエール・ガスリー(写真)は、モナコでの初めてのF1ドライブで10番グリッドから7位完走と健闘。これで4位に入ったバーレーンGPに次ぐ2度目の入賞となった。一方ガスリーの影に隠れがちの僚友ブレンドン・ハートレーは、予選でラップをまとめきれずQ1敗退。レースでは母国GPを走るシャルル・ルクレールのザウバーに追突されてリタイアを喫した。(Photo=Toro Rosso)
トロロッソのピエール・ガスリー(写真)は、モナコでの初めてのF1ドライブで10番グリッドから7位完走と健闘。これで4位に入ったバーレーンGPに次ぐ2度目の入賞となった。一方ガスリーの影に隠れがちの僚友ブレンドン・ハートレーは、予選でラップをまとめきれずQ1敗退。レースでは母国GPを走るシャルル・ルクレールのザウバーに追突されてリタイアを喫した。(Photo=Toro Rosso)拡大

トップを守ったリカルドがペースをコントロール

第6戦にして、今年ピレリが初採用した最もやわらかい「ハイパーソフトタイヤ」がデビュー。上位10台がこのタイヤを履きスターティンググリッドについた。78周レースのスタートでトップを守ったリカルド、続いてベッテル2位、ハミルトン3位、ライコネン4位、ボッタス5位と先頭集団は順当にオープニングラップを終えた。

10周してリカルドは2位ベッテルに1.8秒、3位ハミルトンとも3.9秒程度のギャップを築き、ペースをコントロールしはじめた。上位陣で真っ先にタイヤ交換に踏み切ったのはメルセデス勢で、11周を終えたハミルトンは、2番目にやわらかいウルトラソフトに替えて第2スティントに旅立っていった。

15周してピットに入ったのはベッテル。翌周にはリカルド、ライコネンらも続々とウルトラソフトに変更したのだが、メルセデスはボッタスに今回一番硬めのスーパーソフトを履かせ、2台で作戦を変えてきた。

ピットストップが一巡すると、1位リカルド、2秒程度離れて2位ベッテル、トップから8秒差で3位ハミルトン、同10秒差で4位ライコネンと順位は変わらず。おおかた1ストップで走り切ると想定されていたことから、このままリカルドが優勝までまっしぐらかと思いきや、それほどモナコは甘くなかった。

今年の第3戦中国GPなど、勝てるレースを自らのミスで台無しにすることが多かったマックス・フェルスタッペン(写真)。モナコでもフリー走行3回目にウオールにヒット、マシンを壊し、ギアボックスのオイル漏れも発覚したことで予選出走ならず最後尾グリッドに沈んだ。チーム代表のクリスチャン・ホーナーから「ここから学ばなければならない」と苦言を呈されていたが、実は2年前も同じ場所で同じようなクラッシュをしていたことからも、フェルスタッペンの学習能力について疑問を投げかける向きもいた。レースではウルトラソフトタイヤで48周目まで走り、一番やわらかいハイパーソフトで終盤にスパートをかけ9位入賞。(Photo=Red Bull Racing)
今年の第3戦中国GPなど、勝てるレースを自らのミスで台無しにすることが多かったマックス・フェルスタッペン(写真)。モナコでもフリー走行3回目にウオールにヒット、マシンを壊し、ギアボックスのオイル漏れも発覚したことで予選出走ならず最後尾グリッドに沈んだ。チーム代表のクリスチャン・ホーナーから「ここから学ばなければならない」と苦言を呈されていたが、実は2年前も同じ場所で同じようなクラッシュをしていたことからも、フェルスタッペンの学習能力について疑問を投げかける向きもいた。レースではウルトラソフトタイヤで48周目まで走り、一番やわらかいハイパーソフトで終盤にスパートをかけ9位入賞。(Photo=Red Bull Racing)拡大
激しい中団グループの争いの中で、予選が弱点とされたマクラーレン。モナコでは名手フェルナンド・アロンソ(写真)の手によりQ3進出を果たし7番グリッドからスタートすることに。序盤からトップ10内を走行し続けたものの、53周でギアボックスにトラブルが発生しリタイア。開幕戦からの連続入賞は5で止まった。(Photo=McLaren)
激しい中団グループの争いの中で、予選が弱点とされたマクラーレン。モナコでは名手フェルナンド・アロンソ(写真)の手によりQ3進出を果たし7番グリッドからスタートすることに。序盤からトップ10内を走行し続けたものの、53周でギアボックスにトラブルが発生しリタイア。開幕戦からの連続入賞は5で止まった。(Photo=McLaren)拡大

レッドブル、パワーを失うもレースは失わず

28周目、1位リカルドが「パワーを失いはじめている」と無線で訴え、ベッテルとのギャップはあっという間に1秒を切った。レッドブル陣営は「なるべくスムーズに、集中して走れ」と指示を出し、後ろのフェラーリは「プッシュしろ」とけしかけたのだが、ここはモナコ。トラブルがあっても後続を抑えることは可能な場所だった。

首位リカルドは手負いのマシンをなんとかなだめながら1秒台のリードをキープし、2位ベッテルはダッシュボードの表示が消えるトラブルに遭い、3位ハミルトンはタイヤに苦しんでいた。各車それぞれの問題と格闘しながら、レースはようやく折り返しを過ぎた。

その後、各陣営の我慢比べがしばらく続いたが、72周目にブレンドン・ハートレーのトロロッソにシャルル・ルクレールのザウバーがシケイン手前で追突したことで、バーチャルセーフティーカーが出ると一瞬緊張が走った。しかし上位陣はピットに入らずポジションキープを選択。程なくしてスロー走行が解かれると、ベッテルは跳ね馬の手綱を緩め、最終的にリカルドは7.3秒もの差をつけチェッカードフラッグを受けるのだった。

リカルドにとっての今季2勝目、キャリア7勝目は、2年前の雪辱を果たす、まさに悲願達成といっていいものだった。2016年のモナコでは、初ポールからトップを快走するも、チームが交換するタイヤを準備していなかったことで大きく遅れ、2位で涙をのんだ。いつもは満面の笑顔を見せるリカルドも、あの時ばかりは表彰台の一角でぼうぜんとした表情を隠せなかったが、今年はいつも以上の破顔一笑で、モナコ大公アルベール2世らが待つポディウムの中央に立った。

公国のお歴々がそろう表彰台でもお得意の「シューイ」を披露したリカルド。「パワーロスを感じた時は『もう終わった』と思った。2年越しの勝利に救われた気がしたよ」と、喜びと安堵(あんど)がないまぜになった顔でレースを振り返っていた。

レース終了後、ブレーキング時に運動エネルギーを回生する「MGU-K」が機能しておらず、リカルドはおよそ25%もパワーを失った状態で走行を余儀なくされていたこと、さらにこのトラブルの影響でブレーキのオーバーヒートにも苦しんでいたことが明かされた。

スリリングな勝ち方が身上のリカルドのキャリアを象徴する、薄氷を踏むかのような勝利だった。

次の第7戦カナダGP決勝は、6月10日に行われる。

(文=bg) 

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