クルマ好きなら毎日みてる webCG 新車情報・新型情報・カーグラフィック

「ヤマハYZF-R25」ヴィンテージレーサーカスタム

かつて“バイク少年”だった君へ 2018.12.26 インターカラーよ 永遠なれ<PR> 田村 十七男 現代のロードスポーツモデル「ヤマハYZF-R25」が、インターカラーの「YZR500」に変身。バイク全盛期に青春を過ごしたオーナーが、憧れを投影して仕上げた一台に触れ、同世代のライダーである桐島ローランド氏が“大人だからできる、ちょっと違うバイクの楽しみ方”を語った。

バイク少年の記憶に刻まれた特別な黄色

この黄色いヤマハを見て、「おおっ!」と腹の底から感嘆のうなりを上げる人もいれば、「だから?」と何の感慨も覚えない人もいるだろう。その違いは二輪経験と世代の記憶によるものなので、まずは「だから?」という人に、このカスタムバイクにわれわれが感嘆するわけを説明したい。

ヤマハのロードスポーツモデル「YZF」シリーズの“末っ子”に当たるYZF-R25。それを所有する一人のオーナーが、アメリカのパーツメーカーGG Retorofitz社が販売している「YZF-R3」用の外装キットを発見したところから話は始まる。

GG Retorofitz社の外装キットは、エッジが効いたR25のシルエットを、懐かしさが漂うアッパー&シートカウルとタンクカバーによってレトロモダン風に仕立てるというもの。つまり、見た目はまったく別物になる。それならとモチーフに選ばれたのが、黄色地に黒のストロボラインが入った「インターカラー」だった。

インターカラーとは、ヤマハのアメリカ法人がレース活動に投入したマシンに用いた、いわばファクトリーカラーだ。特徴的なカラーリングなので、ヤマハはアニバーサリーイヤーに発表した市販車にもインターカラーを使ってきた。特にこのデザインをファンに焼き付けたのが、MotoGPの前身たるロードレースの最高峰、ロードレース世界選手権の500ccクラスを1978年から3連覇した、ケニー・ロバーツのYZR500だった。

東京・久留米のバイクショップ、ナインゲートが手がけた「ヤマハYZF-R25」。1978年仕様の「YZR500」をモチーフにしたものだ。
東京・久留米のバイクショップ、ナインゲートが手がけた「ヤマハYZF-R25」。1978年仕様の「YZR500」をモチーフにしたものだ。拡大
「インターカラー」とは、かつてヤマハがロードレース世界選手権のマシンに使用していたカラーリング。ファンの間ではケニー・ロバーツの活躍とともに記憶されている。
「インターカラー」とは、かつてヤマハがロードレース世界選手権のマシンに使用していたカラーリング。ファンの間ではケニー・ロバーツの活躍とともに記憶されている。拡大
特徴的な外装には、アメリカのパーツメーカー、GG Retorofitzのカウルやタンクカバーを使用している。
特徴的な外装には、アメリカのパーツメーカー、GG Retorofitzのカウルやタンクカバーを使用している。拡大
<プロフィール>
桐島ローランド 
1968年横浜生まれ。ニューヨーク大学芸術学部を卒業後、写真家としてのキャリアをスタート。多くのファッション撮影や広告撮影、ムービー作品の制作などを手がけている。バイクにも精通しており、2007年にはダカールラリー完走を果たした。
<プロフィール>
	桐島ローランド 
	1968年横浜生まれ。ニューヨーク大学芸術学部を卒業後、写真家としてのキャリアをスタート。多くのファッション撮影や広告撮影、ムービー作品の制作などを手がけている。バイクにも精通しており、2007年にはダカールラリー完走を果たした。拡大

あらがえないインターカラーの魅力

「だからズルいんだよ、インターカラーは」

おっしゃる通り。世代の本音を口にしてくれたのは、1968年生まれの50歳、総合ビジュアルクリエイターにして39歳のときにはパリダカにも出場したこともある骨太なバイク好きの、桐島ローランド氏だ。

「タミヤから出ていた黄色のYZRのプラモデルをつくったからね。しかも、13歳で乗ったポケバイは、ハンズでカッティングシートを買って自分でインターカラーに仕上げたくらい、このカラーリングには思い入れが強い。若い頃にオートバイに興味を持った50歳前後の世代なら、みんな同じように憧れたはずですよ」

ちなみに、このカスタムを依頼したオーナーも、その年齢は50代。手軽な“ニーゴー”(250ccクラスのモデル)で思い切り遊ぶためにインターカラーを使うなんて、まったくもってズルい大人である。

ここからは、特定の世代があらがえないこのプロジェクトを語るため、R25のカスタマイズを行った東京都東久留米市のオートバイショップ、ナインゲートの細井啓介代表にもトークに加わっていただく。

******

桐島:それにしても、かなりお金がかかってるでしょう。ブレーキもブレンボだし。

細井:純正でもパフォーマンスは十分ですが、依頼主は細部にも徹底的にこだわりたかったようで。ただ、ほぼボルトオンで交換できたので、そこは楽でした。

バイクを前に「インターカラーはずるいよ!」と語る桐島ローランド氏。同年代の熱心なファンのご多分にもれず、彼もこの年代のGPレーサーには、思い入れがあるのだ。
バイクを前に「インターカラーはずるいよ!」と語る桐島ローランド氏。同年代の熱心なファンのご多分にもれず、彼もこの年代のGPレーサーには、思い入れがあるのだ。拡大
タミヤがラインナップする「ヤマハYZR500」(1980年仕様)のプラモデル。見比べると、ナインゲートが手がけたカスタムがいかに特徴をとらえたものかがよく分かる。
タミヤがラインナップする「ヤマハYZR500」(1980年仕様)のプラモデル。見比べると、ナインゲートが手がけたカスタムがいかに特徴をとらえたものかがよく分かる。拡大
走りに関する点では、ブレーキバーツにブレンボを、タイヤにミシュランの「パワーRS」を採用。「本当は当時と同じグッドイヤーのタイヤを付けたかったんですけど……」というのはオーナーの弁である。
走りに関する点では、ブレーキバーツにブレンボを、タイヤにミシュランの「パワーRS」を採用。「本当は当時と同じグッドイヤーのタイヤを付けたかったんですけど……」というのはオーナーの弁である。拡大
サスペンションには前後ともにオーリンズを採用。デザインだけでなく、走りについてもこだわりがみて取れる。
サスペンションには前後ともにオーリンズを採用。デザインだけでなく、走りについてもこだわりがみて取れる。拡大

オッサンは細かいことにうるさい

――パーツ交換は楽だったとおっしゃいましたが、苦労されたのはどこですか?

細井:やはりインターカラーの再現です。静岡のヤマハ本社にある現車のチェックはもちろん、雑誌やネットの写真から外装キットに適したストロボラインの尺を決めるのは本当に大変でした。

桐島:本物のYZR500とはサイズもデザインも違うからね。

細井:この黄色も、ペイントメーカーにはない色でした。それでもやはりインターカラーに思いを寄せる方はたくさんいらっしゃいますから、できるだけ本物らしくしたかった。変に時間がかかってしまったのはウインカー選びでした。元のYZRにはない保安部品をいかに無理なく収めるかが難しかった。いろんなウインカーを取り寄せて、ああでもないこうでもないと、丸一日を費やしてしまいました。

桐島:わかる。僕ら日本のオッサンは、細かいことにうるさいからね(笑)。

――実際のところ、桐島さんはこのカスタムをどう感じましたか?

桐島:最近のバイクもスクランブラーを中心にネオクラシックがはやってるでしょう。僕はそれ嫌いじゃない。というのは、70~80年代って記憶に強烈に残る優れたものが多くて、今見てもやっぱりカッコいいじゃないですか。音楽もそう。クイーンの映画が大ヒットしているのも世代の憧れが反映された結果だと思う。ただ、その勢いでオリジナルの古いバイクに手を出すと大変なことになるんですよ。僕もノートンやトライアンフに乗ったけれど、止まらないし曲がらないし、かからない。

細井:エンジンが……。

桐島:そうそう。それで乗らなくなる。そうなっちゃうなら、最新のバイクを懐かしいテイストに変えたほうが楽しくて楽。50歳にもなると慢性的に首や肩が痛いし、人生もラストスパートに入ったから、なるべく楽しい時間を送りたいよね。楽に乗りたいと思えるバイクが正義だよ。

バイクについて語り合う桐島ローランド氏(手前)と、ナインゲートの細井啓介代表(奥)。
バイクについて語り合う桐島ローランド氏(手前)と、ナインゲートの細井啓介代表(奥)。拡大
細井氏が特にこだわったというのがイエローのカラーリング。オリジナルの「YZR500」には装着されなかったウインカーについても、形状や取り付け位置などでおおいに悩んだという。
細井氏が特にこだわったというのがイエローのカラーリング。オリジナルの「YZR500」には装着されなかったウインカーについても、形状や取り付け位置などでおおいに悩んだという。拡大
2ストロークエンジンの「YZR500」が持つ4本出しのチャンバーはさすがに再現できなかったが、代わりにアクラポヴィッチのGPタイプのマフラーが装着されている。
2ストロークエンジンの「YZR500」が持つ4本出しのチャンバーはさすがに再現できなかったが、代わりにアクラポヴィッチのGPタイプのマフラーが装着されている。拡大
スクランブラーを中心に盛り上がりを見せるバイクのネオクラシックブームについて語る桐島ローランド氏。「とはいえ、その勢いで古いバイクに手を出すと大変なことになるんですよね」。
スクランブラーを中心に盛り上がりを見せるバイクのネオクラシックブームについて語る桐島ローランド氏。「とはいえ、その勢いで古いバイクに手を出すと大変なことになるんですよね」。拡大
クラシックバイクを何台も所有してきた桐島ローランド氏だが、この「YZF-R25」のように、最新のモデルをベースとしたクラシックカスタムにも肯定的だった。
クラシックバイクを何台も所有してきた桐島ローランド氏だが、この「YZF-R25」のように、最新のモデルをベースとしたクラシックカスタムにも肯定的だった。拡大

やるならとことんやってほしい

――試乗した印象はどうでしたか?

桐島:これ、ハンドルも下がってますよね?

細井:ノーマルパーツだとアッパーカウルに干渉してしまうので、別部品で角度を変えてあります。それに伴ってステップも換えました。

桐島:身長が185cmあってもポジションはきつくなかった。

細井:桐島さんの体格でも、見た目のバランスがよかったので安心しました。

桐島:それにしても今のニーゴーはよくできているね。昔の400ccクラスと同じくらい扱いやすい。これならエブリデー・ユースに使える。けれど個人的には、もう少しとがったところが欲しいかなあ。

細井:であれば、35psのR25より7ps大きい、R3をベース車両にするといいかもしれませんね。外装キットはそのまま使えますし。

――最後にうかがいます。桐島さん、このカスタムは何点でしょうか?

桐島:90点!

細井:なかなか厳しい(笑)。

桐島:全体的なバランスもインターカラーも見事だけど、メーターをアナログ式にしたらもっと雰囲気が出ると思う。それからフューエルタンクの形が惜しい。今のバイクはカバーをかけた“なんちゃってタンク”だから、そこはアルミの一品物にしたいね。

細井:システムや構造上、大変難しいところですが、おっしゃる気持ちは理解できます。

桐島:日本のオッサンはうるさいよ(笑)。

――このカスタムR25にはまだ名前がないそうですが、名付けるとしたら?

桐島:「オッサンホイホイ」だよ。今は大人になったかつてのバイク少年たちが、ズルいズルいと言いながら引き寄せられちゃうからね。

(インタビューとまとめ=田村十七男/写真=荒川正幸/取材協力:ナインゲート)

→ナインゲート公式Facebook

→ヤマハYZF-R25 ヴィンテージレーサー 製作の様子はこちら

中身がヤマハ最新のロードバイクだけに、安心して普段使いできるのもこのバイクの魅力だ。
中身がヤマハ最新のロードバイクだけに、安心して普段使いできるのもこのバイクの魅力だ。拡大
細井氏いわく「もう少し走りに刺激がほしいのなら、320ccの『YZF-R3』をベースにするのもあり」とのこと。
細井氏いわく「もう少し走りに刺激がほしいのなら、320ccの『YZF-R3』をベースにするのもあり」とのこと。拡大
社外品のハンドルやバックステップなどが装着されており、身長185cmの桐島ローランド氏でも無理なく乗れるライディングポジションがかなえられていた。
社外品のハンドルやバックステップなどが装着されており、身長185cmの桐島ローランド氏でも無理なく乗れるライディングポジションがかなえられていた。拡大
桐島ローランド氏が持参した、ケニー・ロバーツ グラフィックのヘルメット(左)。「あの頃のライダーのヘルメットって、今見てもカッコイイよね。今のライダーのはデザインが複雑すぎて、覚えられないよ(笑)」。
桐島ローランド氏が持参した、ケニー・ロバーツ グラフィックのヘルメット(左)。「あの頃のライダーのヘルメットって、今見てもカッコイイよね。今のライダーのはデザインが複雑すぎて、覚えられないよ(笑)」。拡大
この「YZF-R25」のカスタム、点数をつけるとしたら「90点!」とのこと。「メーターやタンクの改造が難しいのは知ってるけど、日本のオッサンはうるさいからね!」と笑顔だった。
この「YZF-R25」のカスタム、点数をつけるとしたら「90点!」とのこと。「メーターやタンクの改造が難しいのは知ってるけど、日本のオッサンはうるさいからね!」と笑顔だった。拡大
高い完成度を誇るナインゲートの「ヤマハYZF-R25」。往年のレースシーンに熱狂した、“いい大人”だからこそできるバイクの楽しみ方といえるだろう。
高い完成度を誇るナインゲートの「ヤマハYZF-R25」。往年のレースシーンに熱狂した、“いい大人”だからこそできるバイクの楽しみ方といえるだろう。拡大

車両データ

ヤマハYZF-R25 ヴィンテージレーサーカスタム

【外装】
・アッパーカウル(GG Retrofitz「Rocket Street」)
・タンクカバー(GG Retrofitz「Rocket Street」)
・シートカウル(GG Retrofitz「Rocket Street」)
・フロントフェンダー(スタンダード/ペイント)
・フロントフェンダー(スタンダード/ペイント)
・フロントフェンダー(スタンダード/アルカンターラ張り替え)
・ヘッドランプ(ハーレーダビッドソン用7インチ)
・ハンドル(IMPACT φ41 タレ角10°)
・グリップ(CF POSHワークスタイプグリップ)
・ミラー(DAYTONA HIGHSIDERバーエンドミラー)
・バックステップ(Baby Face)
・フロントウインカー(CHAFTフラッシュマウントウインカー LED)
・リアウインカー(POSH Faithアルミマシンドウインカー LED仕様)
・テールランプ(スタンダード)
・フェンダーレスキット(POSH Faith)

【ドライブトレイン】
・フロントブレーキ(キャリパー:Brembo 4ポッド キャスト、キャリパーサポート:OVER Racing、マスターシリンダー:Brembo PS13M、リザーバータンク:Brembo S15、タンクステー:POSH Faithステンレス、ブレーキホース:PLOT SWAGE LINE)
・リアブレーキ:(キャリパー:Brembo 2ポッド キャスト、キャリパーサポート:OVER Racing、マスターシリンダー:スタンダード、ブレーキホース:PLOT SWAGE LINE)
・フロントサスペンション(オーリンズ トップキャップ&スプリングキット)
・リアサスペンション(オーリンズS46HR1C1L)
・マフラー(AKRAPOVICスリップオンマフラー GPタイプ、AKRAPOVICマフラーステー)
・チェーン(DID 520VX2)
・スプロケット(SUNSTAR)

ヤマハYZF-R25 ヴィンテージレーサーカスタム
ヤマハYZF-R25 ヴィンテージレーサーカスタム拡大
この記事を読んだ人が他に読んだ記事
車買取・中古車査定 - 価格.com

メルマガでしか読めないコラムや更新情報、次週の予告などを受け取る。

ご登録いただいた情報は、メールマガジン配信のほか、『webCG』のサービス向上やプロモーション活動などに使い、その他の利用は行いません。

ご登録ありがとうございました。

関連キーワード
関連記事

webCGの最新記事の通知を受け取りませんか?

詳しくはこちら

表示されたお知らせの「許可」または「はい」ボタンを押してください。