【東京オートサロン2019】自動車メーカー/インポーターがショーの主役に

2019.01.12 自動車ニュース 沼田 亨
TOYOTA GAZOO Racingのブースにて、新型「スープラ」(手前)と「GRスープラ SUPER GTコンセプト」(奥)。
TOYOTA GAZOO Racingのブースにて、新型「スープラ」(手前)と「GRスープラ SUPER GTコンセプト」(奥)。拡大

2019年1月11日に開幕した「東京オートサロン2019」。国内最大規模の自動車イベントとなったこのショーにおいて、いまや欠かせない存在となっているのが自動車メーカー/インポーターの出展だ。各社の動向を会場からリポートする。

「東京オートサロン2019」の会場の様子。今回の出展台数は906台と、過去最高となった。
「東京オートサロン2019」の会場の様子。今回の出展台数は906台と、過去最高となった。拡大
新型「スープラ」の出展で大いに盛り上がったTOYOTA GAZOO Racingのブース。
新型「スープラ」の出展で大いに盛り上がったTOYOTA GAZOO Racingのブース。拡大
マツダは新型「マツダ3」を日本で初披露する舞台として、東京オートサロンを選んだ。
マツダは新型「マツダ3」を日本で初披露する舞台として、東京オートサロンを選んだ。拡大

自動車メーカー/インポーターの出展数は前年と同じ

1984年に出版されベストセラーとなった『金魂巻』の著者で、「エンスー」という言葉の生みの親であるナベゾ画伯こと故・渡辺和博氏。若者文化全般に詳しく、クルマとバイクも大好きだった画伯は、初回から十余年を経て東京オートサロンにメーカーが進出し始め、メジャー化の兆しが生まれた1990年代後半に「東京オートサロンはサブカルチャーがビジネスになり得ることを証明した20世紀最後の例」と記していた。それからさらに20年を経た今では、東京モーターショーを抜いて日本最大の自動車イベントと言っても過言ではないほどまでに成長している。毎回のように「史上最大級の規模」をうたっているが、今回の出展台数は906台(主催者発表)。昨年の880台の過去最多記録を塗り替えるとともに、史上初の900台超えとなった。

出展規模で言えばショーの主役に違いない自動車メーカー/インポーター。日本車メーカーはトヨタ、日産、ホンダ、マツダ、スバル、ダイハツ、スズキ、三菱、日野の9社で、これはここ4年同じ。輸入車メーカー/インポーターはルノー・ジャポン、メルセデス・ベンツ日本、ロータス、そして初参加となるアストンマーティンの4社。いっぽう2006年から昨年まで3回連続で出展していたフォルクスワーゲン・ジャパンが抜けたので、プラスマイナスゼロの国内外合わせて全13社となる。

TOYOTA GAZOO Racingのブースにて、サプライズでお披露目された「GRスープラ SUPER GTコンセプト」。
TOYOTA GAZOO Racingのブースにて、サプライズでお披露目された「GRスープラ SUPER GTコンセプト」。拡大
TOYOTA GAZOO Racingのブースにて、歴代「スープラ」のレーシングカー。
TOYOTA GAZOO Racingのブースにて、歴代「スープラ」のレーシングカー。拡大
TOYOTA GAZOO Racingのブースにて、「GRコペン GRスポーツコンセプト」。
TOYOTA GAZOO Racingのブースにて、「GRコペン GRスポーツコンセプト」。拡大
日産ブースにて、「フォーミュラE」(左)と「リーフNISMO RC」(右)。
日産ブースにて、「フォーミュラE」(左)と「リーフNISMO RC」(右)。拡大
ホンダブースにて、「レイブリックNSX-GT」(手前)と「無限インサイト」(奥)。
ホンダブースにて、「レイブリックNSX-GT」(手前)と「無限インサイト」(奥)。拡大

新型「スープラ」を前面に押し出したトヨタ

日本車からメーカー別に見ていくと、前回と同様トヨタはTOYOTA GAZOO Racingとして出展。前回は「GRスーパースポーツコンセプト」を世界初披露して話題をさらったが、今回の主役は間もなく正式デビューする新型「スープラ」と、サプライズとなる「GRスープラ SUPER GTコンセプト」。それらをサポートすべく初代および2代目スープラのレーシングカー4台も並べられて、さながら「スープラ祭り」の状態。おかげで昨年、ルマン24時間を初制覇するとともにWEC(FIA世界耐久選手権)の王座を獲得した「TS050ハイブリッド」、復帰2年目にしてWRC(世界ラリー選手権)を制した「ヤリスWRC」という、ダブルタイトル獲得の偉業を成し遂げた2台が脇役に回ってしまった感さえあった。ほかにも「センチュリーGRMN」や「GRコペン GRスポーツコンセプト」など役者はそろっていたが、通路を挟んで向かい合った系列のカスタム/チューニングブランドであるモデリスタおよびTRDも含めて、新型「クラウン」や「カローラスポーツ」、そして「86」が1台も展示されていないことに気付いた。それでも寂しさを感じさせない、「持てる者」の余裕を通り越してすごみを感じさせる内容だったといえる。

ゴーンショックに揺れる日産の看板展示は、目下参戦中の「フォーミュラE」と新型「リーフNISMO RC」という2台の電動レーシングカー。ほかにショーカーとして、車輪をクローラーとした「ジューク パーソナライゼーション アドベンチャー コンセプト」などを出展。AUTECHやNISMOバージョンの市販車の展示に加えて、50台限定で販売されるという「日産GT-R 大坂なおみ選手 日産ブランドアンバサダー就任記念モデル」のお披露目も行われた。いっぽうでは「フェアレディZ」の姿がついにブースから消えた。

伝統的に四輪と二輪双方を出展するホンダ。傘下の四輪チューニング/カスタムブランドである無限やモデューロを含め、コンペティションマシンとコンセプトモデルをそろえ、レーシングスピリットを前面に押し出していた。コンペティションマシンでは、昨季のF1に参戦した「レッドブル トロロッソ・ホンダ STR13」とSUPER GTのGT500チャンピオンマシンである「RAYBRIG NSX-GT」を中心に、実戦に参加した四輪/二輪マシンが勢ぞろい。ロードカーでは先ごろデビューした新型「インサイト」をはじめとする無限やモデューロのコンセプトモデルやカスタムモデルが並んでいた。

マツダブースにて、「マツダ3ハッチバック」(手前)と「同セダン」(奥)。
マツダブースにて、「マツダ3ハッチバック」(手前)と「同セダン」(奥)。拡大
スバルブースにて、「WRX STI NBRチャレンジ 2018」(手前)と「BRZ GT300 2018」(奥)。
スバルブースにて、「WRX STI NBRチャレンジ 2018」(手前)と「BRZ GT300 2018」(奥)。拡大
ダイハツブースにて、「ダイハツP-5」。
ダイハツブースにて、「ダイハツP-5」。拡大
スズキブースにて「ジムニーシエラ ピックアップ スタイル」(手前)と「ジムニー サバイブ」(奥)。
スズキブースにて「ジムニーシエラ ピックアップ スタイル」(手前)と「ジムニー サバイブ」(奥)。拡大

マツダは新型車で、ダイハツ&スズキは“楽しさ”で勝負

マツダのメインイベントは、「アクセラ」の後継モデルとなるであろう新型「マツダ3」のジャパンプレミア。セダン、ハッチバック、ハッチバックをベースとした「カスタムスタイル」の3台をそろえていた。ほかにデタッチャブルハードトップを装着した「ロードスター ドロップヘッドクーペ コンセプト」、「CX-5」と「CX-8」のカスタムスタイルなどを展示していたが、ロードカー主体でコンペティションムードは乏しかった。

スバルとそのパフォーマンスブランドであるSTIは、ブランドカラーのWRブルーに塗られたコンペティションマシンと、走りを重視したロードカーのコンセプト/カスタマイズドモデルを、それぞれ4台ずつ展示。前者は昨季のSUPER GTのGT300に参戦した「BRZ」、後者は「フォレスター Advanceコンセプト」などだが、計8台を左右対称に並べた配置を含め、バランスのとれた展示に思われた。

ダイハツは200台の限定販売が決定したという「コペン クーペ」をはじめ、軽を中心に楽しげなムードを演出。中でも往年の「シャレード・デ・トマソ」をほうふつさせるカラーリングをまとったスポーティーな「SPORZA」、クールな雰囲気の「アクティブVer.」、メッキを多用したクラシックな「エレガントVer.」という3台の「トコット」のバリエーションが目立っていた。また社内有志によりレストアされた、1968年の第5回日本グランプリに出走したミドシップのプロトタイプスポーツである「P-5」も展示されていた。

スズキの主役は、昨年20年ぶりに世代交代した「ジムニー」をよりへビーデューティーにした「サバイブ」と、「ジムニーシエラ」をピックアップ化した「ピックアップ スタイル」という2台のコンセプトモデル。ライバルのダイハツと似たような傾向だが、「スペーシア」のCMのうたい文句のように遊び心を訴えた展示だった。

三菱は先日のマイナーチェンジで大胆な顔つきとなった「デリカD:5」を中心に、久々のニューモデルである「エクリプスクロス」と「アウトランダーPHEV」、そしてそれらのカスタマイズ仕様を展示していた。

メルセデス・ベンツ日本のブースにて、「メルセデスAMG GT 4ドアクーペ」(手前)と「メルセデスAMG GT3」(奥)。
メルセデス・ベンツ日本のブースにて、「メルセデスAMG GT 4ドアクーペ」(手前)と「メルセデスAMG GT3」(奥)。拡大
ルノー・ジャポンのブースにて、「メガーヌ ルノースポール」のMT仕様。
ルノー・ジャポンのブースにて、「メガーヌ ルノースポール」のMT仕様。拡大
アストンマーティンのブースにて、「ヴァンテージ」(手前)と「DB11 AMR」(奥)。
アストンマーティンのブースにて、「ヴァンテージ」(手前)と「DB11 AMR」(奥)。拡大

アストンマーティンがまさかの出展

例年同様AMGとスマートを含め、広いブースに多くの車種を並べたメルセデス・ベンツ日本。壇上には日本初公開となる「メルセデスAMG GT 4ドアクーペ」と、SUPER GTに参戦した「メルセデスAMG GT3」の2台を展示。新型「Aクラス」には、最新の音声操作システムを試そうと、来場者が次々と乗り込んでいた。

ルノー・ジャポンは、「メガーヌR.S.」の6段MT仕様を参考出品。ロータスは限定10台導入という「エキシージ カップ430」をお披露目。初参加のアストンマーティンは日本初公開となる「DB11 AMR」と「ヴァンテージ」の2台を展示し、イベントの性格に合わせて、ブランドの持つ伝統よりもハイパフォーマンスを訴えていた。輸入車メーカー/インポーターでは、フォルクスワーゲン以来の新規参入となるアストンマーティンだが、ブランドの持つステータスでは、上から数えたほうが早い同社の出展には少々驚いた。来年以降も出展を続けるかどうか、興味深いところではある。

(文=沼田 亨/写真=沼田 亨、webCG)

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