「何をすべきかはクリア」 2年目のF1に向けて角田裕毅が語る

2022.03.09 自動車ニュース bg
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2022年2月23日から3日間、スペインはバルセロナで行われた1回目の合同テストで、アルファタウリの新型「AT03」をドライブする角田裕毅選手。
2022年2月23日から3日間、スペインはバルセロナで行われた1回目の合同テストで、アルファタウリの新型「AT03」をドライブする角田裕毅選手。拡大

F1開幕戦バーレーンGPを次の週末に控えた2022年3月9日、アルファタウリの角田裕毅選手のオンライン記者会見が行われ、来る新シーズンへの抱負が語られた。

バルセロナでは、チームメイトのピエール・ガスリーがクラッシュしたことで周回数が限られてしまったが、それでも121周をこなし、ニューマシンの感触をつかんでいた。
バルセロナでは、チームメイトのピエール・ガスリーがクラッシュしたことで周回数が限られてしまったが、それでも121周をこなし、ニューマシンの感触をつかんでいた。拡大

2年目のF1、角田裕毅の変化

翌10日から始まる2回目の合同テストを前に、バーレーンからオンラインで取材に応じた角田選手。この5月に22歳になる現役最年少ドライバーからは、デビューイヤーの昨シーズンにはなかった“たくましさ”を感じることができた。

オフの間は、昨季ほとんどのコースで味わった首の疲れを克服すべく、イタリアの自宅にトレーナーを招いて精力的にトレーニングを重ねた。その結果、レッドブルの施設で実施したフィジカルテストでは、首をはじめ全体的にパフォーマンスが向上していたという。

もちろん、そうしたトレーニングの成果は画面越しにはっきりとは確認できないが、言葉の端々ににじみ出るある種の自信のようなものは、デビュー前には感じられなかった。

2021年に7年ぶりのフルタイム日本人F1ドライバーとしてデビューした角田選手は、デビュー戦こそ9位完走、初得点と幸先の良いスタートをきったものの、その後はスピン、クラッシュなど思うような走りができず苦しい戦いが続いた。このスランプを打開すべく、イギリスからチームの本拠があるイタリアに引っ越し、チームクルーとも頻繁にコミュニケーションを取るようになった。シーズン中盤からは少しずつ安定感が増していき、最終戦アブダビGPでは、経験豊富なチームメイト、ピエール・ガスリーを後ろに従えて自身最高の4位でゴールできたのだ。

「クラッシュが続き、自信が持てなくなった時期もあった」と昨季を振り返る角田選手。スランプ中は、レース前になるとクラッシュの心配をしていたというが、「理想的なラップを頭の中でシミュレーションするようにルーティンを変えた」ことで、「どん底からはいあがることができた」という。

「過信は危険だが、どんな時も自信を持つことが大切」。2年目を前に、角田選手が放つ力強さは、1年前のさまざまな経験に裏打ちされたものだろう。

シーズンオフ中に日本への帰国を果たすも、感染対策による隔離期間もあり、母国を満喫できたのは数日だけだったとか。友達とカニを食べリフレッシュしたと話す角田選手は、21歳の青年に戻っていた。
シーズンオフ中に日本への帰国を果たすも、感染対策による隔離期間もあり、母国を満喫できたのは数日だけだったとか。友達とカニを食べリフレッシュしたと話す角田選手は、21歳の青年に戻っていた。拡大

ニューマシンで「エキサイティングで見応えあるレースに」

2022年は、大きなレギュレーション変更を受けて全チームのマシンが一新される。前車をオーバーテイクしやすくする設計思想のもと、フロア下で強大なダウンフォースを発生させる「グラウンド・エフェクト」のコンセプトが40年ぶりに復活した。

2月23日から3日間、スペインはバルセロナで行われたテストでの印象を聞かれると、「昨シーズンのマシンは、空気の乱れでダウンフォースが減ってなかなか抜くことはできなかったが、新型では後ろにつきやすくなった。エキサイティングで見応えあるレースになると思う」と語った。

また今季からホイールが13インチから18インチへと大型化し、ロープロファイルのタイヤになる。「ドライバーとしては、タイヤの変更の方が挙動など走りに影響していると思う。昨年までのタイヤは、後ろが滑り出すとコントロールが難しかったが、それが良くなっていた」と、上々の感触を得たようである。

バルセロナで話題となったのが、グラウンド・エフェクトならではのマシンの挙動「ポーポシング」だ。スピードが上がると細かい上下動が出てしまう厄介な現象に、各陣営が頭を悩ませていたが、「ターン進入時に影響はあるし、ひどい時は前が見えづらくなる時もあった。いままで感じたことのない動きなので、レースでコンスタントに続いてしまうとドライバーとしても集中できないから、解消したいところではある」と実情を話してくれた。

まずは開幕戦、そして悲願の日本GPへ

10日からの3日間のテストの後、3月18日にいよいよ長いシーズンが始まる。

「昨年は経験もなく予想もできなかったことが多かったが、いまは自分が何をしたらいいか、チームとして何をすべきかがクリアになっている。バルセロナでの3日間で見えてきた課題を解決し、まずは開幕戦に少しでもいい状態で臨めるよう、チームメイトのガスリーとともにマシンを良くしていきたい。そして今季は、より多くのポイントを取っていきたい」と意気込む。そして残念ながら昨年開催されなかった日本GPに向けては、「日本のみなさんの前で走るのが夢なので、一周一周をかみしめて鈴鹿を走りたい」と語り、記者会見を締めくくった。

ルーキーなら許されたミスも、2年目となればシビアに取られる──などといった外野の声も先刻承知。たくましく頼もしくなった角田裕毅の一年に期待したい。

(文=bg/写真=Getty Images / Red Bull Content Pool)

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