トヨタが自社メディアで緊急配信 豊田会長がガバナンス強化に取り組むと表明
2023.04.28 自動車ニューストヨタ自動車は2023年4月28日、ダイハツ工業の認証不正問題を受け、自社メディア「トヨタイムズニュース」で緊急配信を実施。報道関係者と意見を交換した。
立て続けの不正発覚を受けて緊急配信を実施
日野自動車の排出ガス・燃費試験の不正(参照)、豊田自動織機のフォークリフト用エンジンの排ガス試験の不正、そして今回のダイハツ工業による側突試験での不正(参照)と、トヨタグループでは、この1、2年で立て続けに不正問題が発覚している。
今回の自社メディアによる緊急配信は、そうした実情を踏まえて行われたもので、トヨタ自動車の豊田章男会長と佐藤恒治社長が出演。豊田会長は2009年の品質問題からトヨタ自動車の風土改善に取り組んできた過去を振り返り、「グループにもトヨタ自動車と同じ温度感を伝えるのが新会長の役目。ガナバンスを担当する会長として、私がその任にあたっていく」「個社の問題ではなく、グループ全体の問題として、会長の私が主担当としてやっていくことを約束したい」と述べ、自身が率先してグループのガバナンス強化に取り組むことを表明した。
一方、佐藤社長はダイハツの側突試験で行われた部品の差し替えについて、正規の部品でもクリアする試験で行われたことを問題視。「NGなものをマルにする以上に深刻な問題。(不正で行われたような部品の変更は)本来であれば正式な設計変更として取り入れること。なぜそれをオープンに言えなかったのか。この変更が必要だよと言えなかったのか」と述べ、ダイハツの開発現場が風通しのよいコミュニケーションがとれる環境であったかに疑問を呈した。
グループ全体のガバナンス改善に取り組む
また、ダイハツの不正発覚による協業体制の見直し、製品スケジュールの変更について問われたところ、豊田会長は「今のところ、日野自動車のときのようにダイハツをCJPT(トヨタとダイハツ、スズキ、いすゞによる次世代商用車事業の合弁会社)から除名することは考えていない」と回答。一方、佐藤社長は「日程ありきでの調査はしない。場合によっては開発が遅れることもありうる」として、商品計画に影響が出る可能性を認めた。また、タイにおけるトヨタの現地生産モデル(開発と認証試験はダイハツが担当)にも不正の対象車種があったことを踏まえ、「ダイハツの認証試験を踏まえて型式申請をする際、確認をより深く、丁寧に対応するべきだったのではと思う。まずは、どういう環境でこういうことが起きたのかをしっかり確認し、原因追究をしっかりやる。(その結果を踏まえて)OEMの開発体制を考えたい」とも述べた。
現在、トヨタグループには200を超える企業が属しており、また日野の不正発覚後もこうした問題が続いていることから、今後のガバナンス強化の施策についても、有効性に疑問が持たれている。それについて指摘を受けたところ、豊田会長は「(トヨタ自動車が実践してきた)思想や技、所作を、各社の個性やステージに合わせたかたちで、オーダーメイドで伝えていくしかない。粘り強くやっていくしかない」と回答。一方、佐藤社長は「現場で起きたことや原因を話し合える環境をつくりたい」と述べ、問題の克服に際して、きちんと話し合いができる環境づくりの重要性を訴えた。
(webCG)
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