【F1 2023】第10戦オーストリアGP続報:レッドブルのホームでフェルスタッペンが5連勝
2023.07.03 自動車ニュース![]() |
2023年7月2日、オーストリアのレッドブル・リンク(4.318km)で行われたF1世界選手権第10戦オーストリアGP。今シーズン2回目のスプリントウイークでは、マックス・フェルスタッペンが全セッションをトップで駆け抜けた。
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金曜予選でフェルスタッペンがポール
今季6戦で予定されているスプリントのうち、第4戦アゼルバイジャンGPに次ぐシーズン2回目がオーストリアGPに設定された。一周4.3kmの短いコースにカレンダー最少の10のコーナーが配されたレッドブル・リンクでは、週末を通してコースをはみ出るトラックリミット違反によりタイムを抹消、もしくはタイム加算ペナルティーを受けるドライバーが続出することとなった。
金曜日のたった1時間のプラクティス後に行われたレースに向けての予選で最速だったのは、レッドブルのマックス・フェルスタッペン。0.048秒という僅差で4戦連続、今季6回目、通算26回目のポールポジションを獲得した。一方で僚友セルジオ・ペレスは、トラックリミットにより4戦連続でQ3に進めず、15位とまたも下位に沈んだ。
昨年のウィナーであるシャルル・ルクレールが2位、カルロス・サインツJr.は3位とフェラーリ勢が好位置につけ、マシンをアップデートしてきたマクラーレンのランド・ノリスが4番手タイムを出した。
メルセデス勢は、ルイス・ハミルトンのみがQ3に進出し5位。その後ろにはランス・ストロール6位、フェルナンド・アロンソ7位とアストンマーティンが並び、ハースのニコ・ヒュルケンベルグ8位、アルピーヌのピエール・ガスリー9位、そしてウィリアムズのアレクサンダー・アルボンが2戦連続でトップ10入りを果たし、10位からレースに臨むこととなった。
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レッドブル同士のつばぜり合い、スプリントもフェルスタッペン勝利
土曜日のスプリントデーは天気が崩れたものの、スプリントのグリッド順を決めるスプリント・シュートアウトまではなんとか持ちこたえ、ドライタイヤ装着でアタック。フェルスタッペンが堂々のトップ、0.493秒差をつけられたもののペレスが2位に入り、レッドブルが最前列を占めた。その後ろは、ノリス3位、ヒュルケンベルグ4位、サインツJr.5位。ルクレールは6位だったものの、他車妨害で3グリッド降格ペナルティーを受け9位となり、その後ろにいたアロンソ、ストロール、アルピーヌのエステバン・オコンが繰り上がった。またハースのケビン・マグヌッセンは10位につけた。
100kmの短期決戦、24周で争われるスプリントになるといよいよ雨が降り出し、各車インターミディエイトタイヤを履いてスタート。しかし終盤には路面が乾き始め、思い切ってドライタイヤに履き替えるドライバーも出るなど、雨の演出が効いた戦いとなった。
最初のターン1をトップで抜けたのはペレス。ホイールスピンが多く出遅れたフェルスタッペンが食い下がるも、ペレスにより押し出されたようなかっこうで片側のタイヤをグリーンに落とし、ヒヤリとする場面が見られた。初っぱなからレッドブル同士が火花を散らすも、ヘアピンでフェルスタッペンがブレーキングを遅らせて首位奪還に成功すると、ポイントリーダーはチェッカードフラッグまでその座を守り、レッドブルは1-2でスプリントを締めくくった。
レッドブル2台が丁々発止とやり合うかたわら、ヒュルケンベルグが一時2位に上がったのだが、路面の乾きとともに後退。たまらずドライのミディアムタイヤに賭けたハースのベテランは見事6位まで挽回し、チームにとって貴重な3点を手に入れた。
レッドブル勢に次ぐ3位はサインツJr.。ストロール4位、アロンソ5位とアストンマーティンがダブル入賞し、オコン7位、そして15番手スタートからソフトタイヤで追い上げたメルセデスのジョージ・ラッセルが8位でゴールし、スプリントで獲得できる最後の1点を持ち帰った。
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フェルスタッペン、久々にリードを明け渡すが……
決勝日はドライとなり、大勢がミディアムタイヤを履いて71周のレースがスタート。トップのフェルスタッペンにルクレールが勝負を仕掛けたが抜けず、3位サインツJr.、4位ハミルトン、5位ノリス5位、6位アロンソらが続いた。その後ろでは、アルファタウリの角田裕毅が他車と接触し、フロントウイングを壊したことでコースオフ。これでセーフティーカーの出番となった。
4周目にレースが再開すると、先頭のフェルスタッペンが逃げ始め、14周もすると2位ルクレールとの差は5秒にまで拡大。一方で3位サインツJr.はチームメイトに1秒以下のギャップで接近していた。
14周目、ヒュルケンベルグのハースが白煙をあげコース脇にストップしたことでバーチャルセーフティーカー。フェラーリの2台やハミルトンがこれを好機と捉えピットに飛び込んだのだが、首位フェルスタッペンはコースにとどまった。
順位は、1位フェルスタッペン、2位ルクレール、3位にノンストップで走り続けるペレス、4位ハミルトン、5位サインツJr.。ピットストップでポジションを落としたサインツJr.は、程なくしてハミルトンとペレスを抜き、再び3位の座に戻った。
スタートタイヤで走り続けていたフェルスタッペンがミディアムからハードに交換したのは25周目のこと。これでルクレールが1位、サインツJr.2位、フェルスタッペンは3位となり、過去3戦で一度もリードラップを失ったことがなかったフェルスタッペンが久々にリードを許すことになった。
しかし、レッドブルのエースがトップに返り咲くまでに、それほどの時間は要さなかった。あっという間にサインツJr.をかわし、5秒前方を走るルクレールに照準を合わせ、35周目にはレッドブルが首位奪還に成功。その後、2位に落ちたルクレールの視界から、フェルスタッペンの姿は瞬く間に消えるのだった。
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5連勝のフェルスタッペン、通算42勝で歴代5位に
47周目にサインツJr.が2度目のピットイン。続いてルクレール、50周目にはフェルスタッペンがタイヤを交換した。
これで1位フェルスタッペン、2位ルクレール、3位サインツJr.、4位ノリス、そして5位ペレス。ここからはペレスが予選での汚名返上とばかりに猛追し、56周目にノリスを抜き4位に上がると、サインツJr.とは抜きつ抜かれつの攻防戦を繰り広げることになる。
そんな白熱の3位争いも、51周目にペレスがサインツJr.を抜き去ったことで決着。2位にルクレール、3位にチームメイトのペレスを従えて独走状態だった首位フェルスタッペンは、ファステストラップを狙いにソフトタイヤに履き替え、ファイナルラップでレース中の最速タイムを記録してレースを締めくくった。
まさに完膚なきまでにライバルをたたきのめしたフェルスタッペンは、プラクティスを含む今週末の全セッションをトップで駆け抜けたことになる。5月上旬のマイアミGPから5連勝し、チャンピオンシップリーダーとして81点もの大量マージンを築いた。同時に通算勝利数では42勝目となり、アイルトン・セナを抜いて歴代単独5位に浮上した。事程左様に独走状態のフェルスタッペンに、今のところさしたる死角は見当たらない。
一方、レース運営では大きな課題が見つかった。この週末、各セッションで続出したトラックリミット違反だったが、レース後にアストンマーティンの抗議を受け詳細な見直しが行われた結果、8人のドライバーに追加ペナルティーが科され、4位だったサインツJr.が6位、7位ハミルトンが8位、9位ガスリーは10位に降格するなど、リザルトは事実上“リセット”されてしまったのだ。
四輪がコース外に出ると違反となる規定だが、ドライバーからは順守の難しさなどが聞かれ、また今回の事後的なリザルト変更のようなルール適用方法の問題も顕在化しており、対応が求められている。
次の第11戦イギリスGP決勝は、1週間後の7月9日に行われる。
(文=bg)