注目の日本車を紹介【LAショー2010】
2010.11.19 自動車ニュース【LAショー2010】これが注目の日本車だ!
たくさんのワールドプレミアを送り込んだ日本メーカー。出展車のなかには、エコカーやデザインスタディなど、ロサンゼルスオートショー向きのクルマが目に付いた。
それには、「2カ月後に開催される北米国際自動車ショー、通称デトロイトショーでは地元ビックスリーの影に隠れてしまうから、若干ショーの知名度は低くても主役になれる方がいい」という思惑も働いているだろう。ただし「デトロイトで世界が注目する大物を出す」というトップメーカーのトヨタは、その限りではないかもしれないが。
■トヨタとホンダがEVを出した意味
日本のメーカーが発表したワールドプレミアのなかで一番の注目は、トヨタとホンダが送り込んだ2台の電気自動車(EV)である。トヨタは今年5月に提携したばかりの、テスラの力を借りた「RAV4 EV」を、ホンダは年初の会見で社長が2012年発売を公言した「フィットEVコンセプト」をターンテーブルに載せた。
注目車種と挙げておきながら、こんなことを言ったら怒られるかもしれないが、クルマ自体に見るべきところは少ない。「日産リーフ」のようなEV専用車ではないし、あっと驚くような新機軸も備わっていない、既存のガソリン車をベースにEVへと改造した“コンバージョンモデル”である。RAV4 EVには「テスラとの初の協業モデル」という話題性があるが、それはクルマ自体の魅力ではない。
では、なにが注目なのかというと、ひとつは、ちょっと前までEVに及び腰だった両メーカーが、普及可能なEVをあっさりと送り込んだ点。両メーカーとも早くからEVを手掛けていたし、またハイブリッドでモーター駆動や電池に対するノウハウを持っているはずである。だからこそ、EVの時代はまだ来ないと発言していたと思っていたのだが、いよいよ状況が変わってきたということなのだろうか。ほかのメーカー、とくにゴーンCEO率いる日産・ルノーの激しいEV攻勢に、高みの見物と行かなくなったのは想像に難くない。
また、どちらも既存モデルのコンバージョンだということも注目点のひとつである。トヨタはハイブリッドのときに「プリウス」を仕立て、ホンダもまたハイブリッドでは「インサイト」を、燃料電池では「FCXクラリティ」といったように、どちらもキモ入りのときには専用車種を仕立ててきた。
しかし、今回はなんのヒネリもない。ド直球である。時間的制約やコストが理由なのかもしれないが、かえってEVに対する両メーカーの本気度が表れているように感じた。ただし、RAV4やフィットなど見慣れたモデルを用いることでEVの特殊性を薄め、専用車で特別感をあおるライバルメーカーをけん制しようともくろんでいるのなら、両メーカーには底知れぬ戦術眼が備わっているといえるだろう。
■いずれは市販化されるかも?
今回、日産とスバル、マツダからは3台のデザインスタディがお披露目された。そのなかで注目なのは日産の「エリュール コンセプト」とスバルの「インプレッサ コンセプト」だ。
ここ最近、日産が発表するコンセプトカーのほとんどが何らかのカタチで市販化されている。ショーをにぎやかすだけが目的のものが少ない、ということは、日産はエリュールをこのまま市販することはないと言っているものの、何らかのニューモデルを示唆している可能性は高いのだ。意外とコンパクトなボディサイズや発売時期を考えると、「セントラ」か「アルティマ」か。「フェアレディZ」や「マキシマ」など主に北米で扱われるモデルに多く見られるブーメラン型ヘッドランプを採用しているので、北米戦略車のどれかと見るのが妥当だろう。クリーンな中に力強さを感じるデザインのレベルは高い。
インプレッサ コンセプトには軽い衝撃を受けた。インプレッサの売りであるスポーティなイメージをさらに高めつつ、高い次元でまとめられたデザインの出来のよさが光っていた。ここ最近のスバル車のデザインはコンサバ路線が多く、若干物足りなさを感じていた人もこのデザインなら満足できるはず。
ただしスバルの場合は、コンセプトカーのまま終わるケースも多く、このまま終わってしまうこともあり得るので要注意。インプレッサの名前を冠しているので、おそらくなんらかのカタチで新型に反映されるとは思うが。いずれにせよ、今後の動きに注目である。
(文と写真=新井一樹)
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