目指したのは“さらなるスポーティーセダン” 新型「BMW 3シリーズ」の技術的ハイライトを読み解く
2026.09.30 デイリーコラム本当の新型3シリーズ
4月にミュンヘンで開催された新型「i3」の発表会の翌日、本社の関係者が「i3だってれっきとした新型『3シリーズ』なのに、昨日からネットには、それで新型3シリーズはいつ出るの? とか、書かれているんだよね」と、とても残念そうに漏らしていたことを覚えている。確かに、発表会には歴代の3シリーズもずらりと並んでいて、i3=新型3シリーズという演出になっていた。けれど世間の受け止めは、新型3シリーズ=エンジン搭載仕様であってi3は3シリーズではない、だったのである。まあそう思うのも分からなくはないのだけれど、ヘコんでしまった彼の気持ちも理解できる。
そしていよいよ、みなさんがお待ちかねの“本当の新型3シリーズ”が発表となった。実は彼から前述の話を聞いた時、目の前にはi3と「M350 xDrive」が置かれていた。われわれメディアには、その時点でエンジン搭載仕様の3シリーズもこっそりお披露目されていたのである。守秘義務契約があるので、もちろん今日まで口を閉ざしていたが、ようやく公開できる日を迎えてやっと肩の荷が下りた。
i3の登場以降、ネットでは新型3シリーズに関するさまざまな憶測や予想や期待が散見された。それらを整理して集約すると、注目されていたのは主に3つで、プラットフォームは共有するのか、エクステリアデザインは同じなのか、直列6気筒は搭載するのか、だった。
まず、i3とエンジン(ICE)搭載仕様は異なるプラットフォームを使用している。それは、両者のボディーサイズからも明らかだ。
- i3:全長4760mm/全幅1865mm/全高1480mm/ホイールベース2897mm
- ICE:全長4765mm/全幅1850mm/全高1455mm/ホイールベース2860mm
ICEのほうが全長が長いのは、エンジンを縦置きにするためにエンジンコンパートメント(=ボンネット)がi3よりも前後方向に長いからである。i3のほうが全高が高くホイールベースが長いのは、床下に駆動用バッテリーを搭載するからだ。i3のプラットフォームは基本的に「iX3」と同型のものがベースになっていると考えられる。ではICEのプラットフォームは内燃機用の新規開発か? どうもそうではないようだ。資料によると「エンジンを搭載する新型3シリーズのシャシーには、大幅な改良が施されています」と書かれている。つまり、これまでエンジンを縦置きにした後輪駆動ベースのモデルに採用されてきた、CLARアーキテクチャーの改良型と理解するのが正しいようだ。
したがって、前後サスペンションの形式も従来型を踏襲している。ただし手は加えられているようだ。フロントのダブルジョイント・スプリングストラットはアライメントが見直され、さらに精密なハンドリングとステアリングフィールの向上が実現されているという。リアの5リンクはキャスタートレイルやキャンバーをセッティングし直したそうだ。さらに前後のアンチロールバーのマウント部を改良、ロールを抑えボディーコントロールがしやすくなったという。
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ラグジュアリーよりスポーティー
ICEのエクステリアデザインは、一見するとi3と同じように見えるものの、ボディースペックの違いからも分かるように、外板で共有している部分はほとんどない。MINIがEVとICEで用いた手法に似ているとも言える。そしてエクステリアのディテールは、グレードによって微妙に異なるやり方は従来どおりである。今回から、ICEは4種類のグレードに整理された。基本的な仕様となる「ベース」に続くのが「Mスポーツ」、そして新たに設定された「Mスポーツ プロ」、そして最上級仕様が「Mパフォーマンス」という布陣である。
直列6気筒搭載モデルは「市場からの強い要望があった」そうで、新型にも用意された。現時点でのラインナップは以下の通り。
- BMW 318:1998cc直列4気筒ターボ、48Vマイルドハイブリッド機構、8段AT、最高出力156PS/最大トルク250N・m
- BMW 320:1998cc直列4気筒ターボ、48Vマイルドハイブリッド機構、8段AT、最高出力211PS/最大トルク330N・m
- BMW M350 xDrive:2998cc直列6気筒ターボ、48Vマイルドハイブリッド機構、8段AT、最高出力426PS/最大トルク540N・m
ガソリン仕様しか発表されていないものの、今後はプラグインハイブリッドやディーゼルが追加される可能性もある。なお、ワゴンが追加されることはすでに公表されている。
資料を見ていて気になったのは、これまで以上に「スポーティーセダン」という言葉が何度も繰り返し使われていたことだ。サスペンションの改良点を見ても、快適性を重視するラグジュアリーな方向ではないことは明らかである。果たして、どれくらいのレベルの「スポーティーセダン」を目指したのか、そしてi3とICEで乗り味の違いは存在するのか。久しぶりに、試乗するのが待ち遠しいモデルが登場した。
(文=渡辺慎太郎/写真=BMW/編集=藤沢 勝)

渡辺 慎太郎
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