ヤマハ、新型電動スクーターを発表
2010.07.16 自動車ニュースヤマハの新型電動スクーター「EC-03」、デビュー
2010年7月14日、ヤマハ発動機は原付1種の電動スクーター「EC-03(イーシー・ゼロ・スリー)」を発表。首都圏の1都7県を皮切りに、9月1日から順次販売を開始する。
■二輪もEVの時代
都内で行われた発表会において、同社の柳弘之代表取締役社長は「低炭素社会の実現にあたっては二輪車の有用性が高まることが予想される」と述べてから、「従来は二輪を使っていなかった層に電動スクーターをアピールしたい」と力強く語った。
ただし、新商品とはいいながらも、その外観デザインは2002年に登場した「Passol(パッソル)」、2005年にそのパワーアップ版として発表された「Passol-L(パッソルエル)」から大きく変わっていない。
2005年から2010年までに何かがあった? このあたりの経緯については、「バッテリーに問題があり、解決に数年を費やした」とのことだった。したがって、まったくの新製品というよりも、従来型の“仕切り直し”だという印象を受けた。
バッテリーが抱えていた問題については、三洋電機が新開発した50Vリチウムイオンバッテリーを積むことで解決。電池容量は10%増となり、加速もより力強くなっているという。
電池残量ゼロから満タンまでのフル充電に要する時間は約6時間、この時の電気料金はおよそ18円。1回の充電での航続距離は43km(30km/h定地走行)と公表されるが、一般的な使い方では25km程度になるという。ちなみに、原付1種タイプのスクーターの1日あたりの走行距離は5〜15kmが大多数、月間走行距離300km以下の方が80%以上を占めるとのことだ(自工会の2009年調査データより)。
■ワケあってプラグ付き
「Passol」および「Passol-L」からの機構的な変更点は、充電方法。これまではバッテリーを取り外して室内で充電していたが、「EC-03」では100Vのコンセントを車体に差し込むプラグイン充電方式を採っている。
ここで、「屋外に電源がない集合住宅などを考えれば、従来の充電方式のほうが便利ではないか」「四輪のEVとの“同居”を考えれば、200Vでも充電できるようにすべきではないか」という2つの疑問が浮かんだ。そのあたりは、社内でも議論があったようだ。そして、航続距離を延ばすためにはバッテリーの大型化は避けられず、そうするとバッテリーを取り外すのが困難になるという結論が導かれたという。また、現時点での普及を考え、工事が必要な200Vでなく100Vを採用したとのことだ。こういったことに関する意見を募り、問題を解決しながらEVは普及していくのだろう。
発表会終了後は、ごく短時間であるが試乗の機会が与えられた。静かで、無振動で、しかも力強く加速する「EC-03」は、シティコミューターとして実に魅力的に思えた。何一つ我慢するところがないどころか、従来の内燃機関式スクーターよりはるかに快適で楽しい乗り物だ。もし日本が本気で“環境立国”を目指すのであれば、全国の郵便局のスクーターをこれに替えるぐらいの取り組みがあってもいいのではないか。試乗を終えてから、そんなことを考えた。
(文=サトータケシ/写真=高橋信宏)
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