欧州メーカーのブース紹介【北京モーターショー2010】
2010.05.01 自動車ニュース【北京モーターショー2010】欧州メーカーのブース紹介
ドイツ以外の欧州メーカーは、中国市場では率直に言って旗色が悪い。フランスやイタリアのクルマはコンパクトなハッチバックに秀逸なものが多いが、中国で人気があるのは一回り大きなセダン。そんなミスマッチが苦戦の理由だろう。ただし、フェラーリに代表されるスーパーカーはお金持ちの人気が高く、ちょっと別格と言える。
■プジョーの中国専用車「408」は「308」がベース
プジョーは1985年、フォルクスワーゲンに続いて中国に進出した外資系メーカーの老舗である。しかし1997年にいったん撤退、2004年に再進出するという複雑な経緯をたどっている。
今回の北京ショーの主役は、2010年1月に中国で発売した小型セダン「プジョー408」。これは上級セダン「407」の新型ではなく、ハッチバックの「308」をベースにしたもの。中国の東風汽車との合弁会社で現地生産している。今のところ中国市場専用だが、2010年末からブラジルでも生産予定の新興国向けモデルだ。
セダン人気が高い中国の実情に合わせて、プジョーはこれまでも「307」や「207」のセダンを投入してきだ。しかし、それはハッチバックに無理矢理トランクをくっつけたようなデザインで、お世辞にも格好良いとは言えなかった。その点、「408」のデザインはこなれている。すでに遅きに失した感はあるが、中国市場で競争力のあるクルマがようやく出てきたと言えそうだ。
■一時撤退のフィアットは出展せず
シトロエンのブースは、2009年秋から現地生産を開始した上級セダン「C5」がメイン。プジョー車を造っている東風汽車との合弁会社は、実はもともとシトロエンとの合弁で、現在は両方のブランドを生産している。ただ、シトロエンの独特のデザインは、中国でも広く受け入れられているとは言い難い。
ルノーは、6年前に東風汽車と合弁の基本合意をしたものの、いまだに現地生産が実現していない。北京ショーではミニバンの「セニック」やスポーツモデル「メガーヌRS」を展示したが、さほど注目を集めているとは言えなかった。
一番悲惨なのはフィアットだろう。かつて合弁していた南京汽車が2007年に上海汽車に買収され、中国市場から一時撤退を余儀なくされた。2009年、広州汽車と合弁の基本合意をしたものの、その後は交渉の遅れが報じられている。フィアットは世界の主要メーカーで唯一、今回の北京ショーへの出展を見合わせた。
■フェラーリはブースで展示即売?
親会社のフィアットとは対照的に、北京ショーで大きな注目を集めていたのがフェラーリだ。速報でも紹介したように、目玉はワールドプレミアの「599GTO」である。
話がまた脱線するが、フェラーリのブースは周囲が厚いアクリル板の壁で仕切られており、プレスパスを持っている記者でも、別途招待状がないと中に入れてもらえなかった。ところがブース内を見ると、襟元からゴールドのネックレスがのぞく明らかに記者ではない怪しい人々が、599GTOや「458イタリア」のコクピットに座ったり、エンジンルームをのぞき込んだりしている。どうやら、インポーターが中国の超お金持ちをプレスデイに招待し、“展示即売”しているらしかった。これも中国のモーターショーならではの光景だ。
同じイタリアのランボルギーニは、2010年3月のジュネーブショーで登場した「ガヤルドLP570-4 スーパーレジェーラ」を持ち込み、中国メディアの熱い視線を浴びていた。ちなみに展示即売は、少なくとも筆者がブースを訪れた時にはしていないようだった。
2年前にインドのタタ・モーターズの傘下に入ったイギリスのジャガーは、2010年3月に中国で発売した高級セダン「XJ」をメインに展示していた。ジャガーのブースもアクリル板の壁で囲まれており、内側ではお金持ち風の家族が満面の笑顔で記念写真に興じていた。
中国の吉利による買収が決まったスウェーデンのボルボは、ジュネーブショーでデビューした高級セダン「S60」を披露。買収手続きの完了は半年後ということもあってか、ブースには吉利との関連を示すものはどこにも見当たらなかった。
(文と写真=岩村宏水)
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