中国クルマ事情早わかり(その1)〜どんなクルマが売れている?【北京モーターショー2010】
2010.04.23 自動車ニュース【北京モーターショー2010】中国クルマ事情早わかり(その1)〜どんなクルマが売れている?
北京モーターショーの開幕で注目を集めている中国の自動車市場。「販売台数がアメリカを抜いて世界一に」「中国メーカーがボルボを買収」といったニュースは、読者の皆さんも見聞きしたことがあると思う。けれど、中国ではどのメーカーのどんなクルマがどのくらい売れているのか、ご存じの向きは意外と少ないのではないだろうか。
■どのくらい売れている?
2009年、中国では1364万4800台のクルマが売れた(中国汽車工業協会の統計)。リーマンショック後の不況で販売が低迷したアメリカ(1060万台)や日本(461万台)に大差をつけて、文句なしの世界一である。その成長ぶりはすさまじい。08年比の販売台数増加率はなんと46%! 市場規模は05年の575万8200台から、たったの4年で2倍以上になってしまったのだ(グラフ1)。
この勢いは今も続いている。2010年1〜3月の販売台数は前年同期比72%増の461万台を記録。これだけで日本の1年分だ。通年では1500万台超えが確実と見られている。アメリカのピークが07年の1646万台だから、中国が名実ともに世界最大の自動車市場になるのは時間の問題と言えるだろう。
■どんなメーカーがある?
中国には大小合わせて100社を超える自動車メーカーがある。外資系メーカーが中国でクルマを現地生産する場合は、中国メーカーとの合弁が義務づけられている。たとえば「広州トヨタ」は、中国の広州汽車と日本のトヨタ自動車の合弁会社である。
乗用車のメーカー別ランキング(表1)を見ると、上位5社までは外資系の合弁会社が占めている。09年のトップに立った「上海VW」は、上海汽車とフォルクスワーゲンの合弁会社。フォルクスワーゲンは第一汽車との合弁会社「一汽VW」も3位にランクインしている。ここに2位の「上海GM」(上海汽車とゼネラルモーターズの合弁会社)を加えた3社は乗用車メーカーの“御三家”と呼ばれ、毎年僅差のトップ争いを繰り広げている。
日本メーカーの合弁会社は東風日産(5位)、広州ホンダ(8位)、一汽トヨタ(9位)の3社がトップテンに入っている。一方、6位のBYD、7位の奇瑞(チェリー)、10位の吉利(ジーリー)は外資と合弁していない純中国メーカー。フォードの傘下にあったボルボを買収したのは、このうちの吉利である。
■どんなクルマが売れている?
ある意味で、中国らしさが一番表れているのが車種別のランキング(表2)だ。09年に最も売れた乗用車はBYDの「F3」。実はこのクルマ、トヨタの海外向け「カローラ」(旧型)のコピー車と言われている。
純中国メーカーにコピー車が多いことは有名だが、年間ランキングでトップに立ったのはF3が初めて。コピー車だからではなく、コストパフォーマンスの高い実用車として地方を中心に売れまくっている。ちなみに標準グレード(排気量1.5リッター)の実売価格は6万元(約84万円)前後だ。
新しいクルマと古いクルマが同時に売れているのも、中国ならではの特徴。たとえば北京ヒュンダイの「エラントラ」は、新型(3位)と旧型(7位)が両方トップテンに入っている。4位の「ジェッタ」と5位の「サンタナ」は、ドイツ本国で1980年代前半に発売された2代目ジェッタと初代サンタナがベースだ。旧型車は構造がシンプルで故障しても修理しやすいため、地方都市や農村部で根強い人気がある。一方、所得水準の高い大都市では、当然ながら新型車が売れるという構図である。
フォルクスワーゲンは今年、中国に6代目「ゴルフ」を投入するとともに、ジェッタにビッグマイナーチェンジを施した。実に4世代も離れたクルマを、同じディーラーで売っているのである。日本メーカーも、トヨタが「カローラ」、マツダが「Mazda6(アテンザ)」の新旧車種を併売している。
(文と写真=岩村宏水)
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