オペル・アストラワゴン1.8 Sport(4AT)/2.0 Turbo Sport(6MT)【試乗記】
好調アストラの意欲作に死角なし! 2005.02.16 試乗記 オペル・アストラワゴン1.8 Sport(4AT)/2.0 Turbo Sport(6MT) ……299万9500円 /349万9500円 新型ゴルフがハッチバックのみにとどまっているうちに、オペル・アストラのワゴンが登場した。ホイールベースを延長し、実用性とスタイリングを両立させようという意欲作に、自動車ジャーナリストの島下泰久が試乗した。ホイールベースを90mm延長
オペルにとっては久々に好調な出足を見せているアストラに、第2のラインナップとなるワゴンが加わった。輸入元のGMアジアパシフィックでは、このワゴンでハッチバック以上のセールスを見込んでいるという。まさに意欲作の登場である。
エッジの効いたシャープなラインや、後方に向かうに従って高さを増すウエストラインといったハッチバックと共通のエレメントによって、スポーティな印象をもたらすボディの全長は、ハッチバックより265mm長い4520mm。リアオーバーハングだけでなくホイールベースも90mm伸ばされている。あるいは、それがリアに重いものを背負った感じのない、踏ん張りの効いたサイドビューのポイントかもしれない。
トノカバーの便利な工夫
肝心のラゲッジスペースは、通常時で500リッター、最大では1590リッターの容量を得ている。この最大容量は先代より90リッター、またハッチバックと較べると320リッター大きい。ライバルを見渡しても、「フォルクスワーゲン・ゴルフワゴン」を大きく凌ぎ、このクラスにおいて「メガーヌ・ツーリングワゴン」に次ぐ広さとなる。
また、このラゲッジはただ広いだけでなく、フロアはフラットに保たれ、ラゲッジスペースの左右壁面に、ネット類やパーティションなど各種の収納アイテムを装着できるレールを設けたフレックスオーガナイザーなる機構も採用。主力モデルでは後席シートバックを4:2:4の3分割式とするなど、使い勝手やアレンジ性にも力が入れられている。ハンドル部分に軽く手を触れるだけで、スルスルと巻き取られるトノカバーも、派手ではないが便利な工夫だ。
さらに、ホイールベース延長の効果で、後席スペースも広がっている。ハッチバックでも不満は感じなかった膝まわりの余裕が一層増しており、より寛げる空間となっているのである。
当たりは柔らかいのにフラット
走りの印象は、ハッチバックの好感触を受け継ぐものだった。まず乗ったのは最高出力125psの1.8リッターエンジンを積み、4段ATを組み合わせる1.8スポーツ。普段は、ダンパー減衰力やステアリングのパワーアシスト量などを、よりスポーティな設定へと変えるCDC(コンティニュアス・ダンピング・コントロール)システムをオフにしておけば、路面からの当たりは柔らかいのに、フラットな上々の乗り味を得られる。さらに、改めて感心させられたのがハンドリングの良さで、ホイールベースが伸びたことで軽快さがスポイルされはしないかと思いきや、予想は良いほうに裏切られて、ステアリング操作に対するリニアな反応と、スタビリティ性能をを非常に高いレベルで両立していた。
エンジンの吹け上がりも実に活気がある。低中速域でのパンチがあって、反応は結構スポーティ。ATが4段ということで、元気に走らせたい時や勾配を駆け上る時など、状況によってはギアが合わず、もどかしい思いをすることもあるが、街中などでは十分活発に走る。
そうした印象は、CDCのスイッチを入れてスポーツモードにすると、より顕著になる。ステアリング操作とクルマの挙動の一体感がグッと高まり、ラインのトレース性が確実に上がる。スロットル操作に対する反応も鋭さを増すが、こちらも扱いづらさをもたらすほどではない。ただし、乗り心地はハッキリ硬くなるから、使うのは1人で乗っている時だけにしておいたほうがいい。
ターボのほうがなぜかソフト
2.0ターボスポーツも、期待通りのスポーティな走りっぷりを見せてくれた。これはハッチバックも同様なのだが、こちらのほうが1.8スポーツよりソフトな傾向にあるのは意外だ。ターボ特有のラグが非常に少なく、リニアかつフラットなトルクの出方も懐の深さを感じさせる。6段MTも軽いクラッチを含めて印象は好ましい。ターボ+6段MTのワゴンはマニアックな存在だが、もしそこに惹かれて手に入れたなら、きっと期待以上の出来に大いに満足できるに違いない。
不満は皆無だとは言わないが、見た目はスタイリッシュで実用性に優れ、走りも気持ち良いアストラワゴンの出来映えには大きな死角は見当たらない。懸案だったディーラーネットワークの再整備も進み始めたようだし、最大のライバルであるゴルフは当面、新型ワゴンの導入はなさそう。となればアストラワゴン、ヨーロッパの小型ワゴンを選ぶなら、大いに検討する価値のある1台である。
(文=島下泰久/写真=峰昌宏/2005年2月)

島下 泰久
モータージャーナリスト。乗って、書いて、最近ではしゃべる機会も激増中。『間違いだらけのクルマ選び』(草思社)、『クルマの未来で日本はどう戦うのか?』(星海社)など著書多数。YouTubeチャンネル『RIDE NOW』主宰。所有(する不動)車は「ホンダ・ビート」「スバル・サンバー」など。
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