【カーナビ/オーディオ】純正オーディオが格段にいい音になるカーオーディオユニット
2006.03.08 自動車ニュース【カーナビ/オーディオ】純正オーディオが格段にいい音になるカーオーディオユニット
音にこだわった技術集団がスゴイものをつくりだした。その名は「クレイマンPHASE(フェイズ)501」。たった1DINサイズの筐体を純正オーディオのシステムにつなぐだけで、劇的に音質を改善、そしてあらゆる音場を浮かび上がらせる、という代物だ。カーナビ・オーディオライターの石田功によるリポート。
■純正デッキとスピーカーの間に
石田:ちょっと、このクルマの音、聴いてみてください。ちなみにデッキもスピーカーも純正のままです。
──(しばし音楽を聴いた後)素晴らしい臨場感ですね。ホントにこれが純正オーディオですか? なにか細工してあるでしょ。
石田:実はコレです(とグローブボックスの中を見せる)。SRSデジタルプロセッシングパワーアンプ「クレイマンPHASE501」を、純正デッキとスピーカーの間に割り込ませているんです。
このフェイズ501は、SRSの基幹技術であるTruBassとFOCUS、それにWOW、CS Auto(サークル・サラウンド・オートモーティブ)、TS XT(トゥルー・サラウンドXT)という3つのプレイモードを搭載していて、さまざまな音響効果を得ることができます。
また定格17W×4のパワーアンプを内蔵していますから、直接スピーカーを駆動できる。入力端子はRCAと光デジタルの2種類ですが、オプションのAC-2というハイ/ローコンバーターを使えば純正オーディオのスピーカー出力をライン出力に変換して、純正デッキ〜スピーカーの間に割り込ませられるわけです。
──SRSって、パナソニックとかイクリプスのAVナビなんかも採用している技術ですよね。あれ、前に使ってみたことありますけど、簡易サラウンドという感じで、音がいいってイメージはなかったけど……。
石田:そう。同じSRSです。実はSRSってスゴイ技術で、とくにカーオーディオには有効。小さいスピーカーでも低音が聞こえるとか、音場を上下に移動させるとか、2つのスピーカーで5.1chサラウンドのような立体音場をつくりだすとかね。
そのSRSを正確に動作させると、このクルマのようになるってわけです。じゃ、ひとつひとつの機能を試してみましょうか。ひとまず、すべての機能をオフしますね。
■トゥイーターなしでバーチャルな音源をつくる
──あっ、ホントに純正オーディオだ。さっきの音と比べればショボイ(笑)。
石田:最初にFOCUSを入れてみます。
──FOCUSを入れる前はドアのスピーカーからヴォーカルの声が聞こえていたんですが、フロントガラスの方向から聞こえてくるようになりました。スピーカーの存在感が消えましたね。
石田:音が正面から聞こえてくる感じでしょう。これがSRS FOCUS。頭部伝達関数(HRTF)という聴覚が音源の方向を判断する原理があるんですが、これを利用して音場を上下に移動させて、フロントガラスのあたりにバーチャルな音源をつくりだしているんですね。
だからピラーやダッシュボードの上などにトゥイーターを追加しなくても、ドアのスピーカーだけでフロントウィンドウのあたりに音場を再現できるわけです。では、次にTruBassをオンにしてみます。
──純正スピーカーもけっこう低音が出てるなって感じだったんですが、低音に深みが出るというか解像度が上がったというか。より低音の音程がはっきりと聞こえます。しかも引き締まった感じもする。
石田:スピーカーの再生能力の限界を超えた低音は、どうがんばってもスピーカーからは出ないんですが、パイプオルガンの手法を応用すれば脳に直接、低音を感じさせることができるんです。パイプオルガンって、もっとも長いパイプは10メートルにもなるんですが、それが入らない小さな教会では長さが異なる2本のパイプで、10メートルのパイプと同じ低音を聞かせるんですって。
どういうことかというと、たとえば100Hzと150Hzの音を同時に鳴らすと、脳は100Hzと150Hzの音以外に(100+150=)250Hzと(150−100=)50Hzの音を聞き取るんですね。しかも脳はこの4つの音の中で50Hzをもっとも強く感じるんですね。
これを応用してオリジナルの低音から1次と2次の倍音を抜き出して再生すれば、スピーカーからオリジナルの低音が出ていなくても、その周波数の低音を脳に感知させることができるわけです。
だから低音を再生するのにサブウーファーを加える必要がないし、カーオーディオの小さなスピーカーでも低音が再生できる。実際にスピーカーからその周波数が出ているわけではないから、ドアがビビったりする心配もないし、けっこうな音量で聴いても低音が外にもれることも少ない。どうです、カーオーディオにぴったりの技術でしょ。
■立体的な音場感
石田:じゃ次、WOW。
──なんか、ライヴハウスにいる雰囲気。臨場感がすごく増した。しかもステージの奥行きが感じられる。ドラムやベースの前にヴォーカルがいるといった位置関係がはっきりとわかりますね。
石田:これも頭部伝達関数(HRTF)の理論に基づいた技術で、フロントの2スピーカーだけで楽器やヴォーカルが前にクリアに定位し、しかもリスナーの左右にまで回り込む立体的な音場感を楽しむことができます。左右前後、どのシートにいても同じような臨場感が得られるのもカーオーディオに向いてます。じゃ次はCS Auto、ソフトを映画のDVDに替えます。
──ドルビーデジタルかdtsの5.1chサラウンド再生ですか? 音が前後左右に飛び交ってるし、低音も凄い迫力。
石田:いえいえ、これステレオソースなんです。フロントとリアの4スピーカーで再生していますけど、センタースピーカーもサブウーファーもありません。クルマに5.1chシステムを積むとシステム代も嵩むし加工も必要になりますが、これなら無加工でOK。でもへたな5.1chサラウンドより自然でリアルな臨場感ですよね。じゃあ最後にTS XTです。後ろの席に移動してください。
──まさしくサラウンド。音に包まれているという感じがすごくする。これもソースはステレオですか?
石田:そう。しかもリアの2スピーカーだけが鳴っていてフロントスピーカーは鳴っていない。それで後席のリスナーを包み込むような音場を実現しています。後席の子供にDVDを見せておとなしくさせておいても、フロントシートの夫婦は大きな声を出さなくても会話できる。こんなシチュエーションにぴったり(笑)。車載用でTS XTを搭載したのは、フェイズ501が初めてです。
■純正デッキ&スピーカーのままで音質改善
──内蔵アンプが定格17W×4というから、正直、ショボイんじゃないかと心配していましたが、そんなことないですね。
石田:クルマの中なら必要にして十分なパワーでしょ。もしパワーが足りないと感じたら、5.1chぶんのライン出力を装備しているので外部アンプをシステムアップすることもできます。
12万3900円ですから単体としてみれば「高い」と感じるかもしれませんが、純正デッキと純正スピーカーのままで著しい音質改善効果が得られるわけですから、けっして高いものではありません。
しかも取り付け加工費もそれほどかからないわけだし。乗っているクルマは純正オーディオの交換が難しい、純正オーディオの音は不満だがマニアじゃないから大金をはたいて大がかりな加工をしてまでグレードアップはしたくない、手軽にサラウンドを楽しみたい、頻繁にクルマを乗り換えるからそのたびにオーディオをカスタマイズしていられないなど、さまざまな人におすすめできる製品です。
(リポート&写真=石田 功)
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