BMW Z4 2.2i(5AT)【ブリーフテスト】
BMW Z4 2.2i(5AT) 2004.05.21 試乗記 ……427万3500円 総合評価……★★★★ 「Z4」の日本登場から、約9ヶ月遅れて導入されたエントリーグレード「2.2i」。試乗した自動車ジャーナリストの森口将之は、ボトムレンジZ4をどう評価するのか?
|
清涼剤のように
小さなエンジンのスポーツカーを選ぶとき、クルマ好きが期待するのは「軽さ」だろう。加速はそれほど期待できないが、代わりに軽快な身のこなしが手に入る。
そんな期待を込めて「BMW Z4」に追加された「2.2i」のスペックに目を通すと、車両重量は1380kgで、「2.5i」とまったく同じ。10・15モード燃費も9.5km/リッターと変わらなかった……。
しかし、実際にステアリングを握った2.2iは、別の面でよさを実感させてくれた。ひとつは、ボア・ストロークが2.5リッターより小さなシリンダー(ボア×ストローク=80.0×72.0mm、2.5は84.0×75.0mm)を持つストレート6の爽快な吹け上がり。もうひとつは、細いタイヤがもたらす繊細なステアリングフィールだ。高性能化への道を豪快に突き進む最近のドイツ製スポーツモデルのなかにあって、Z4 2.2iの走りは清涼剤のように感じられた。2.5iより50万円以上、3.0iより100万円近くも安い価格が、それ以上お買い得に感じられる。
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
「BMW Z4」は、2002年9月のパリサロンでお披露目された2座のオープンスポーツ。日本での販売は2003年1月から、デリバリーは6月下旬から開始された。1995年デビューの「Z3ロードスター」の後継たる存在だが、ボディサイズや価格などはZ3の上に位置付けられる。ベースとなるのは、E46型「3シリーズ」で、全長×全幅×全高=4100×1780×1285mm、ホイールベースは2495mm。Z3と比べて、それぞれ50mm×40mm×5mm大きく、ホイールベースは50mm長い。
エンジンは直列6気筒DOHCのみ。日本に導入した当初は、2.5リッター(192ps)と3リッター(231ps)の2種類だったが、03年10月、エントリーグレードの2.2リッター(170ps)を積む「2.2i」が加わった。同時に、レザー内装やインテリアカラーの拡充など、オプション装備の充実化も図られている。トランスミッションは、いずれも、ステップトロニック付き5段ATが組み合わされるが、3リッターのみ、6段シーケンシャルトランスミッション「SMG」仕様が選択可能。本国にはもちろんMTもあるが、残念ながら日本には導入されない。
Z4の新機軸として、エンジンやEPS、シフトプログラムなどのマッピングをよりスポーティに変更する、「DDC」(ドライビング・ダイナミック・コントロール)を搭載。DSCなどの安全デバイスは標準で備わる。
(グレード概要)
Z4のベーシックグレードが「2.2i」。ソフトトップが手動式なのは、2.5iと同じ。ほかに、シート調節が手動式に、キセノンヘッドランプやボードコンピューターがオプションとなるなどが、上級グレードとの差異だ。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★
車体幅いっぱいのアルミパネルや、樽型をモチーフにしたディテールが特徴のインパネは、モダンなスポーツカーにふさわしい。仕上げもBMWらしく高品質。装備はエアコンがマニュアル式になるなど、グレードダウンしている部分もあるが、不満はない。
それより、これはほかのZ4にもいえることだが、ライトスイッチがステアリングやコラムレバーに遮られて見えず、パワーウィンドウスイッチは操作しにくい角度になっている。BMWは、人間工学に基づいた室内設計に定評があるだけに、残念なところだ。
(前席)……★★★★
シートはほかのBMWと同じような感触。座面はそれほど厚くはなく、背もたれは平均的な日本人にとっては大きいため、サポートはルーズだ。ただし形状はよく、座り心地は適度にマイルドで、1時間程度のドライブではまったく不満がなかった。キャビン後方のネット「ウィンドディフレクター」を立てていれば、風の巻き込みは意外にすくなく、快適なオープンエア・モータリングが楽しめる。2.2iと2.5iはソフトトップが手動式となるが、個人的には電動ではなくてもいいと思った。
(荷室)……★★★
240〜260リッターという容量のトランクは、2人用として十分な広さといえるだろう。オーバーハングが短いにもかかわらずこのスペースを稼ぎ出すのだから、ランフラットタイヤの恩恵は絶大だ。フロアは中央付近に段差があるが、仕上げはいい。三角表示板がリアエンドパネルの内側に格納されるなど、ドイツ車らしく整理整頓がいき届いている。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★
比較的小さな排気量ゆえ、高速道路では流れに乗って走るだけでも3000rpmぐらいまで回すことになるが、スポーツカーを愛する人にとっては、むしろ歓迎したくなるはず。そのまま回していくと、もともと軽やかな吹け上がりが4000rpmあたりで勢いを増し、5000rpm以上ではエンジン音が揃って、迫力のエキゾーストサウンドとともに、心地よいクライマックスを演じてくれる。ちょっと残念だったのは5段AT。2ペダルであることに不満はないが、マニュアルモードでもレッドゾーンに近づくと自動的にシフトアップしたり、発進を2速で行うプログラムは、エンジンを回して速さを稼ぐ小排気量スポーツカーらしからぬロジックに思えた。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★
タイヤは、3.0iが225/45R17、2.5iが225/50R16なのに対し、205/55R16が標準となる。おかげで乗り心地にゴツゴツ感はなく、BMWとしてはマイルドなフィーリングだった。もうすこし足の動きがしなやかで、荒れた路面でのフラット感が増してくれればいうことない。ステアリングフィールは、電動アシストならではの人工的な重さが気になるときもあるが、自然で軽快な切れ味は細いタイヤならではのものだ。タイヤが細いとコーナリングスピードが心配になるが、シャシーのバランスが優れているためか、不満はなかった。よくできたFRならではの楽しさを、爽やかな気分で堪能することができる。
(写真=清水健太/2004年5月)
|
【テストデータ】
報告者:森口将之
テスト日:2004年4月5日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2003年型
テスト車の走行距離:4141km
タイヤ:(前)205/55R16(後)同じ(いずれもグッドイヤー EAGLE NCT5)
オプション装備:ウィンドディフレクター(3万1500円)/ISO-FIXチャイルドシートアタッチメント(1万500円)/室内設置6連奏CDチェンジャー(5万2500円)
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(2):高速道路(5):山岳路(3)
テスト距離:332.4km
使用燃料:47.0リッター
参考燃費:7.1km/リッター

森口 将之
モータージャーナリスト&モビリティジャーナリスト。ヒストリックカーから自動運転車まで、さらにはモーターサイクルに自転車、公共交通、そして道路と、モビリティーにまつわる全般を分け隔てなく取材し、さまざまなメディアを通して発信する。グッドデザイン賞の審査委員を長年務めている関係もあり、デザインへの造詣も深い。プライベートではフランスおよびフランス車をこよなく愛しており、現在の所有車はルノーの「アヴァンタイム」と「トゥインゴ」。
-
フィアット・グランデパンダ ハイブリッド ラプリマ(FF/6AT)【試乗記】 2026.10.16 欧州を代表するコンパクトカーの一台である「フィアット・パンダ」が第4世代に進化。新たに「グランデパンダ」を名乗り、日本にやってきた。ずばり新型の見どころは車両の随所にちりばめられた初代モデルへのオマージュである。上位グレード「ラプリマ」の仕上がりをリポートする。
-
フィアット500トリノ ハイブリッド(FF/6MT)【試乗記】 2026.10.13 電気自動車からエンジン搭載車へと華麗に変身! 日本では珍しい、4代目「フィアット500」のマイルドハイブリッドモデルに試乗。1リッターの自然吸気エンジンを6段MTで駆るイタリアンコンパクトは、今のクルマが忘れてしまった楽しさに満ちていた。
-
ボルボES90ウルトラ ツインモーター パフォーマンス(4WD)【試乗記】 2026.10.12 ボルボの電気自動車(BEV)「ES90」のトップモデル「ウルトラ ツインモーター パフォーマンス」を駆り、東京から初秋の新潟へ。往復700kmを超えるロングドライブで分かった新型5ドアハッチバックモデルの実力と、BEVで気になる充電環境のリアルな今を報告する。
-
フェラーリ・プロサングエ ハンドリング スペチアーレ仕様(4WD/8AT)【海外試乗記】 2026.10.8 フェラーリの4ドア4シーターモデル「プロサングエ」に、「ハンドリング スペチアーレ」を名乗るスペシャルバージョンが登場。その走りは従来モデルからどのように変わったのか? 跳ね馬の原産国、イタリアで確かめた。
-
トヨタ・ランドクルーザー“FJ”VX(4WD/6AT)【試乗記】 2026.10.7 新たにシリーズに加わった「ランドクルーザー“FJ”」は、ポップな見た目から簡易版のように思われるかもしれないが、その中身は紛れもなく本物であり、道なき道をグイグイと突き進む。これもまた「どこへでも行き、生きて帰ってこられる」を体現する一台である。
-
NEW
三菱eKクロスEV P(FWD)【試乗記】
2026.10.17試乗記三菱の軽乗用電気自動車(EV)「eKクロスEV」が、一部改良でデザインを刷新! 2022年発売の古参の一台は、台頭するライバルをどう迎え撃つのか? 最新モデルと比べても、キラリと光る魅力はあるのか? 軽EVのパイオニアが擁する一台の実力を確かめた。 -
写真で解説する「フィアット・グランデパンダ」
2026.10.16画像・写真ステランティスが「フィアットブランドの大きな柱のひとつとなる重要なモデル」と位置づける「グランデパンダ」が日本上陸。その具体的な見どころを、写真とともに解説する。 -
フィアット・グランデパンダ ハイブリッド ラプリマ(FF/6AT)【試乗記】
2026.10.16試乗記欧州を代表するコンパクトカーの一台である「フィアット・パンダ」が第4世代に進化。新たに「グランデパンダ」を名乗り、日本にやってきた。ずばり新型の見どころは車両の随所にちりばめられた初代モデルへのオマージュである。上位グレード「ラプリマ」の仕上がりをリポートする。 -
スズキの未来を徹底検証! 技術戦略説明会から“10年先のスズキの姿”を夢想する
2026.10.16デイリーコラム年間生産500万台で、Dセグメントまでカバーする巨大メーカーに!? スズキが発表した「10年先を見据えた技術戦略2026」を徹底検証。技術開発に製品開発、インドを核としたグローバル戦略などの中身を通して、「10年先のスズキの姿」を予想した。 -
賢い選択 ――キャデラック「LYRIQ」フラットプランのすゝめ――
2026.10.15投資家も太鼓判! 「キャデラック・リリック」×フラットプランという最適解<AD>クルマが変わり、時代も変われば“持ち方”だって変化する? お金のプロである投資家が、「キャデラック・リリック」の残価保証型リースを勧める理由とは? 夢の「2台持ち」をかなえる、最新電気自動車の賢い選び方を考えた。 -
間もなく正式発表 ミツオカの新型2シータースポーツカー「LA1」を予測する
2026.10.15デイリーコラム光岡自動車が2026年11月26日に正式発表を予定しているアメリカンスタイルの新型2シータースポーツカー「LA1」。現在公開されているLA1の画像とティーザーサイトに掲載された情報から、その特徴を分析する。

































