フォルクスワーゲン・ゴルフGTI(5AT)【ブリーフテスト】
フォルクスワーゲン・ゴルフGTI(5AT) 2004.02.20 試乗記 ……299.0万円 総合評価……★★★★★ すでに“旧型”になってしまった、「ゴルフIV」。しかしフォルクスワーゲンの実用車は、依然として魅力的なのだった。笹目二朗がリポートする。
|
色あせない魅力
いつもは一人で試乗することが多いが、今回は編集、カメラマンとの3人乗り。リアシートの乗り心地も試してみて、ゴルフというクルマを再認識することになった。
乗り心地や操縦安定性などに、荷重や車両姿勢が大きく関係することはご承知の通りだが、ゴルフは軽荷重ではなく、ちゃんと積車状態を想定してチューニングされていることがわかる。もっとも、「ゴルフIV」としての最終型ゆえ、完成度は高くて当然。もはやチューニング領域での不満は皆無といえる。
本国ではすでに「ゴルフV」が登場しており、日本にもやがて、大きく豪華なゴルフがやってくる。それでも、4人の大人がちゃんと乗れるコンパクトなサイズをはじめとして、ゴルフIVならではの魅力は大きい。1.8リッターターボを積むスポーティ版「GTI」はさらに高性能が加味され、トータルでの実用性能はけっして色褪せてはいない。項目別では必ずしも満点は与えられないが、最終型の完成度を祝し、またゴルフというコンセプトや独特の個性と魅力を讃えて、星5つを与える。
|
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
初代ゴルフのデビューは1974年。「ハッチバック」という車型を大衆車のスタンダードにした。デザインを手がけたのは、いわずとしれたジウジアーロ。
今回のテスト車、4代目は、1997年に登場した。本国では、3/5ドア、ワゴン、そしてカブリオレがラインナップされる。エンジンラインナップも豊富で、1.4リッター直4から2.3リッターV5、2.8リッターV6、さらに5種類もの出力バリエーションをもつ1.9リッターディーゼルがカタログに載る。ゴルフIVは、フルモデルチェンジ翌年の98年から販売が開始された。2002年モデルから、全グレードのサイドミラーを大型化。ターボモデルに5段ATが奢られたのもニュース。
2003年のフランクフルトショーで、「ゴルフV」がデビューした。
(グレード概要)
わが国での5ドアハッチのラインナップは、下からE(1.6リッターSOHC/4AT=219.0万円)、CLi(2リッターSOHC/4AT=249.0万円)、GLi(同/4AT=270.0万円)、GTI(1.8リッターDOHCターボ・インタークーラー付き/5AT=299.0万円)、GTX(同/5AT=340.0万円)の5種類。
2004年1月8日から、GTIの装備を追加。クルーズコントロールシステムと、オーディオなどのスイッチ付きステアリングホイールが備わった。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★
メーターは黒地に白文字、青い照明に赤い針とハデだが読みやすい。ステアリングホイールはセンターオフセットされていて、まわすと真円を描かないが、径そのものは小さめで操作しやすい。電動ミラーの調整は、右に合わせて動かすと左右両方が同時に動く便利なもの。先に左に合わせてマゴマゴしたときもあったが、慣れれば便利な手法だ。ミラー幅も広くなって視野が広がった。ワイパーも右に移してあるなど、細かいところも煮詰められている。
(前席)……★★★★
両端の盛り上がったスポーツシートは横Gに耐え、腰の踏ん張りを軽減してくれるから疲れない。カチッとしたつくりで一見平板にみえるクッションは、時間とともに馴染んでくるタイプ。座面の後傾角が適度で腰が前にずれ込まないし、上体を背面にあずけることから、シートバックに肩をつけてステアリングホイールを“押す”、ジャーマンロジックに基づいた正確な操舵が可能だ。ヘッドレストは独立しているものの、頭からやや遠目。
(後席)……★★★★
モデルチェンジの度に大きくなってきたボディも、実際にリアシートに座って見ると必然を認めたくなる。前席を身長176cmの編集者に合わせた状態で、膝も当たらないし天井も高い。ダブルフォールディング式で折り畳めるシートとは思えないほど寸法もたっぷりしており、角度も寝すぎずちょうどよい。クッションは硬めでしっかりしたつくりが良心的だ。初期型のゴツゴツした硬さはなくなり、フラットでしっかりしたダンピングが気持ちよい乗り心地を提供してくれる。GTIゆえか、目地段差のハーシュネスはやや大きめ。
(荷室)……★★★
コンパクトハッチバックのトランクとしては標準的なもので、特別に広くも狭くもない。とはいえ、外観から想像するよりは広く、ハッチを開けた瞬間は意外さに驚く。雨の日はハッチゲートが適当な傘となるうえ、開閉に伴って後ずさりするほど長くもなく、適当な角度が選ばれている。などなど、使いやすい実用性の高さは、長期にわたるベストセラーカーだけのことはある。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★★
ターボエンジンは後半で揚げ足を早め、シュンと吹け切るのはやはり快感。しかも、その代償として低回転域のトルクが犠牲になっている感はない。もちろん、5段ATもその辺の領域までカバーして余りある。太いトルクゆえにファイナルは小さく、燃費にも貢献する。トルクコンバーターのスリップが大きめだったATは、ジヤトコ製5段ATの採用できめ細かな加速をするようになり、レスポンスが向上したことも嬉しい。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★
乗り心地はフラットで快適。最近のすぐ底づきする硬いサスペンションに比べ、ゴルフはストローク感があり、4輪それぞれがしなやかに動いて仕事している感じがする。初期のGTIに比べて、後席の乗り心地もよくなった。直進性は高く、ラック&ピニオンのフリクションも軽微で、さらに、最近流行の電動パワーステアリングにはないしっとり精緻な操舵感も好ましい。コーナーではロールを許すが、接地感は良好だ。
(写真=荒川正幸)
|
【テストデータ】
報告者:笹目二朗
テスト日:2004年1月23日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2004年型
テスト車の走行距離:1770km
タイヤ:(前)205/55R16 (後)同じ(いずれもコンチネンタル SportContact)
オプション装備:--
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(2):高速道路(5):山岳路(3)
テスト距離:217.5km
使用燃料:25.0リッター
参考燃費:8.7km/リッター

笹目 二朗
-
フィアット500トリノ ハイブリッド(FF/6MT)【試乗記】 2026.10.13 電気自動車からエンジン搭載車へと華麗に変身! 日本では珍しい、4代目「フィアット500」のマイルドハイブリッドモデルに試乗。1リッターの自然吸気エンジンを6段MTで駆るイタリアンコンパクトは、今のクルマが忘れてしまった楽しさに満ちていた。
-
ボルボES90ウルトラ ツインモーター パフォーマンス(4WD)【試乗記】 2026.10.12 ボルボの電気自動車(BEV)「ES90」のトップモデル「ウルトラ ツインモーター パフォーマンス」を駆り、東京から初秋の新潟へ。往復700kmを超えるロングドライブで分かった新型5ドアハッチバックモデルの実力と、BEVで気になる充電環境のリアルな今を報告する。
-
フェラーリ・プロサングエ ハンドリング スペチアーレ仕様(4WD/8AT)【海外試乗記】 2026.10.8 フェラーリの4ドア4シーターモデル「プロサングエ」に、「ハンドリング スペチアーレ」を名乗るスペシャルバージョンが登場。その走りは従来モデルからどのように変わったのか? 跳ね馬の原産国、イタリアで確かめた。
-
トヨタ・ランドクルーザー“FJ”VX(4WD/6AT)【試乗記】 2026.10.7 新たにシリーズに加わった「ランドクルーザー“FJ”」は、ポップな見た目から簡易版のように思われるかもしれないが、その中身は紛れもなく本物であり、道なき道をグイグイと突き進む。これもまた「どこへでも行き、生きて帰ってこられる」を体現する一台である。
-
スバル・レヴォーグ レイバック プレミアムS:HEV EX(4WD/CVT)【試乗記】 2026.10.6 「スバル・レヴォーグ レイバック」にストロングハイブリッド搭載モデルが登場。高効率なパワーユニットが積まれたのはもちろんのこと、既存の純エンジン車とはデザインやボディーサイズも違っているというから興味深い。上位グレードの「プレミアムS:HEV EX」を試す。
-
NEW
写真で解説する「フィアット・グランデパンダ」
2026.10.16画像・写真ステランティスが「フィアットブランドの大きな柱のひとつとなる重要なモデル」と位置づける「グランデパンダ」が日本上陸。その具体的な見どころを、写真とともに解説する。 -
NEW
フィアット・グランデパンダ ハイブリッド ラプリマ(FF/6AT)【試乗記】
2026.10.16試乗記欧州を代表するコンパクトカーの一台である「フィアット・パンダ」が第4世代に進化。新たに「グランデパンダ」を名乗り、日本にやってきた。ずばり新型の見どころは車両の随所にちりばめられた初代モデルへのオマージュである。上位グレード「ラプリマ」の仕上がりをリポートする。 -
NEW
スズキの未来を徹底検証! 技術戦略説明会から“10年先のスズキの姿”を夢想する
2026.10.16デイリーコラム年間生産500万台で、Dセグメントまでカバーする巨大メーカーに!? スズキが発表した「10年先を見据えた技術戦略2026」を徹底検証。技術開発に製品開発、インドを核としたグローバル戦略などの中身を通して、「10年先のスズキの姿」を予想した。 -
賢い選択 ――キャデラック「LYRIQ」フラットプランのすゝめ――
2026.10.15投資家も太鼓判! 「キャデラック・リリック」×フラットプランという最適解<AD>クルマが変わり、時代も変われば“持ち方”だって変化する? お金のプロである投資家が、「キャデラック・リリック」の残価保証型リースを勧める理由とは? 夢の「2台持ち」をかなえる、最新電気自動車の賢い選び方を考えた。 -
間もなく正式発表 ミツオカの新型2シータースポーツカー「LA1」を予測する
2026.10.15デイリーコラム光岡自動車が2026年11月26日に正式発表を予定しているアメリカンスタイルの新型2シータースポーツカー「LA1」。現在公開されているLA1の画像とティーザーサイトに掲載された情報から、その特徴を分析する。 -
「BYDラッコ」「スズキeスカイ」登場で卍どもえに 軽乗用BEVの覇権はどこが握る?
2026.10.14デイリーコラムこれまで「日産サクラ/三菱eKクロスEV」と「ホンダN-ONE e:」のみだったところに「BYDラッコ」と「スズキeスカイ」が加わり、軽BEV市場がにわかに盛り上がりを見せている。どれもほぼ同じ床面積を持つBEVだが、比べてみるとその中身は結構違う。今後の覇権を握るのはどの陣営か。



































