マツダ・プレマシー スポルト(4AT)/G 4WD(4AT)【試乗記】
『MPVには達しない』 2001.07.05 試乗記 マツダ・プレマシー スポルト(4AT)/G 4WD(4AT) ……214.8/198.8万円 ファミリアをベースとしたコンパクトなボディに3列シートを載せたミニバン「プレマシー」が改良され、新グレード「スポルト」とともに、2001年7月4日に発売された。 それに先立つ6月20日、マツダのお膝元、広島県は三次で「ウェブ媒体向け説明会&テスト走行」が行われた。 『webCG』特派自動車ジャーナリスト、森慶太がリポートする。カタチのよさ
マツダ・プレマシーに対し、マイナーチェンジ、および車種追加が行われた。変わったのはまずは車体関係で、各所に補強が入った。その補強で車体がガッチリしたぶん、「アシまわりのチューニングの自由度が増した」「静粛性が向上した」とつくった人たちはいっている。
一方、追加された車種は1991ccエンジン搭載のスポーツ系で、その名も「スポーツ」。マツダだから「スポルト」。既存モデルより152ccだけ排気量がデカく、そしてアシも相応に締め上げてある。タイヤ+ホイールは16インチになった。
えーさて。今回のマイチェンで「別にナニも変わっていない」と言いたいところだけどあえて書くと、プレマシーの美点はまずもってカタチのよさにあると思う。全長4.3mちょいの小型ミニバンとして、非常によくもののわかったカタチになっている。もっといってしまえば、欧州市場に出して恥ずかしくないレベルにある(実際あっちでも売っている)。
着座環境がいい
たとえば、運転席にパッと座って違和感がない。頭上空間がガバガバだったり車両感覚がつかみにくかったり(ダッシュボードの全体形やピラーの位置や角度がヘンだと往々にしてそうなる)ということがない。マトモな運転ポジションがわりとすぐ決まる。さらには各種スイッチ類の使い勝手がいい。
ボーッとしているとナニも気づかずに終わるところだが、このへんが実は非常に大事だ。内外の寸法どりやカタチをボーッと決めたクルマでそのあたりがたまたまよかった、ということは基本的にない。
あと、プレマシーはシートも悪くない。運転席の上下調整が“ヒップポイントリフター”すなわち座面のみ動かすタイプであるのはアレだが、とくに2列目の座面の感触あたりはなかなか。シートらしい、お尻に優しいたわみがあって嬉しい。フルフラット前提ということで背もたれの高さが足りないのがこれまたアレだけど、全体としてこのテのクルマのなかでは着座環境はいいほうだと思う。
わかりやすい
今回の追加車種であるスポルトに乗った。そういう狙いなんだからということはあるにしても、あるいはワザとツラい状況に設定された道(マツダの三次テストコース)で乗ったということもあるにしても、乗り心地はけっこうカタい。あからさまにスポルト系。ナンの予備知識もない人がいきなり助手席に乗ったとしても、「ン!?」と思う確率はかなり高いはずだ。
したがって、わかりやすさという意味では非常にポイントが高い。車体強化が効いたか、走りそのものも以前ほどケーハクでなくなった気がする。
デカいエンジンもたしかにデカいなりに強力な動力性能を発揮するけれど、しかしプレマシー買うなら別にこれじゃなくてもいい。タイヤと路面の当たるショックが音に変わってドンドンと車内にコモるのも少々ツラい。その点に関していえば、デミオのほうが確実にスッキリしている。今回のスポルト君に関しては、サイドウォールがカタいことで有名なヨコハマがついていた影響もちょっとならずあるかもしれない。
まあメデタシ
そう思ったところで普通のプレマシーにも乗ってみた。195/65R14のタイヤを履くヨンクの1.8リッターモデル「G」。
4WDゆえ、リヤ駆動系の重さが追加されたせいか動力性能はちょっと貧相な印象を受けたけれど、プレマシーのオススメとしてはこっち。スポルトで感じたツラさがない。もともとの美点=内外のカタチのよさに骨格の強化とアシの再チューニングが加わったということで、まあメデタシと。
こっちのプレマシーにはブリヂストンが装着されていて、スポルトのより細いクセに、ハンドルの手応えはむしろネバっぽかった。重たいということではなくて、つまりスッキリの反対だった。ナンか空気圧が不足しているかのような。
一般向けチューニングのマツダの走りとしては、個人的にMPVがベストだと考えている。ヘンに突っ張らず、攻めても懐が深く、したがって快適でありつつ安心感も高い。で、ナニも知らずに乗って走らせると思わず感動してしまう。
そういうMPV の域に、プレマシーの走りは残念ながらまだ達していない。同じメーカーのクルマなんだから、そこまでやってちょうだい。ということで評価は、満点5ツ星で★★★。
(文=森 慶太/写真=難波ケンジ/2001年6月)

森 慶太
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