マツダ・プレマシー20E(FF/5AT)【ブリーフテスト】
マツダ・プレマシー20E(FF/5AT) 2010.09.07 試乗記 ……227万7000円総合評価……★★★★
フルモデルチェンジで見た目が大きく変わった、マツダのミニバン「プレマシー」。売れ筋のFF、アイドリングストップ付きモデルで、中身の仕上がり具合を試した。
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中身で選ぶクルマ
外観はミニバンに近く、大きなハッチバックやステーションワゴン並みの機動力を持ち、SUVほど無骨でもないし単なる乗用車でもない、高能率の新しい乗り物というところが「プレマシー」のポジションか。そうした意味でも2リッターエンジンの選択は賢明で、過不足ない性能が追求されている。
燃費も今回のテストでは270km走って28.4リッターを消費。都市部/高速道路/山間部と幅広く走って9.5km/リッターは立派な成績といえる。
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プレマシーの美点は乗っていて気持ちがいいことだ。さらなる高級感を求める向きもあろうが、購入価格や走行経費を考えると納得できる。といって妥協の産物かというとそうではない。走行感覚として、ココをもう少し、アソコはちょっと……という不満な点が少なく、自分の操り方で緩急自在になる素直な特性を、存分に使い切って楽しめるクルマだ。ボディ補強や付加物に投資する例もあるが、真にその不足部分を補うまでには至らない例もある。モノや名前、宣伝文句に惑わされず、自身の評価を信じる人にお薦めの1台。
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
1999年に5ナンバーサイズの7人乗りミニバンとして誕生し、2005年に登場した2代目を経て、2010年7月に3代目へと進化したプレマシー。2代目以降は3ナンバーサイズとなったが、全幅1750mm、最小回転半径は5.3mという数値からも想像できるように、今なお取り回しの良さには重きが置かれている。
新しい「NAGARE」デザインと、工夫を凝らした3列シートパッケージ、そしてもうひとつ3代目プレマシーで大事なのは、エコ性能。マツダ自慢の、エンジンの目覚めが早いアイドリングストップ機構「i-stop」が採用され、燃費向上と排ガス低減を果たした。
(グレード概要)
ラインナップは、179万9000円から231万4000円の範囲で3つのグレードに分けられ、真ん中の「20E」と上級の「20S」には、4WDモデルも設定される。「i-stop」が搭載されるのは「20E」と「20S」のFF車のみで、販売全体の8割をこれらのグレードが占める。「20E」「20S」の10・15モード燃費は16.0km/リッター(FF車)。これに対し、i-stopなしのFF車のエントリーグレード「20CS」は15.0km/リッター、「20E」と「20S」の4WD車は11.2km/リッターとなる。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★
立体的なフードを持つメーター群はスポーツカー的でもあり、標準的なファミリーカー以上に運転の気分を高揚させる。ダッシュセンター部のインパネシフトは操作性がよく、横方向のウォークスルーも可能。センターコンソールのような縦方向に区切る考え方から脱却した好例だ。内装の材質や細部の処理方法を変えればより高級感も演出できるが、車格に合った設定ともいえ、価格納得度は高い。
(前席)……★★★
シ−トは、どちらかといえば頻繁な乗り降りを考えた短距離型で、きっちり腰部をホールドする形状ではないが、クッションに体を沈み込ませると比較的ズレは少ない。新車時から奥深く座ってなじませるとよい。スクリーンが大きく、視界は広い。ただし、サイドウィンドウは、前方の三角窓の底辺が斜めに切り取られていて不自然に感じる。またドアサッシュ上部に路面の流れていく様子が映り込んでしまい、時にうるさく感じることがあった。気になる人はここを光らせないよう処理を施すといいだろう。
(2列目シート)……★★★
2列目シートはスライド量も大きく、たっぷりした居住空間が確保されている。着座姿勢が自由にとれるが、とかく姿勢が崩れがちで結果として疲れやすい。腰部の安定という意味では、もっと座面に後傾斜角をつけて背面と共にキッチリ固定する座らせ方が好ましい。ココも長距離移動型ではなく停止しているときの使い勝手を重視したタイプだ。
(3列目シート)……★★
3列目シートは緊急用に近いが、中央席を前に出せば大人が乗れないこともない。足元も頭上空間もミニマムながら、囲まれているゆえの安心感がある。子供優先の緊急用シートと考えれば納得だ。ふだんは中央席を一番後ろに下げて乗車空間を大きく確保し、ここは荷室と考えればいい。畳んでトランクとつなげるもよし、クッションを利して大事なものも置くもよし。荷物が転げ回るのを防げる空間として重宝する。
(荷室)……★★
荷室は単独でみるとフロア面積も狭く、3列目シートの背もたれがすぐ手前まで迫っていてかなり狭小空間ではあるが、コンビニやスーパーの買い物程度の袋物などを置くのに不足はないし、むしろ加減速のGで倒れる心配は少ない。また大きな荷物は室内にも置けることから、ハッチバックやステーションワゴンの発展型と見ることもできる。全居住スペースにおけるトランクの割合を再考させられる一例だ。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★
エンジンは静粛で滑らかに回り、トルク、レスポンス共に上々。2リッターでもこれだけ大きなボディを自在に動かせるという好例。5ATのチューンもうまいマッチングを見せ、自動変速の滑らかさを実感させる。低回転域の駆動力、高回転域の伸びの良さ共に良好。また「+」「−」のマニュアルシフトは、レバーの位置が適切で操作力も軽く、ハンドルから移した手の重さだけでシフトできる。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★
素直な走行感覚がこのクルマの最大の魅力。横Gの絶対値などはタイヤのグレードで限られてしまうが、ふだんの常用域での挙動はステアリングの入力に対して違和感なく出力される。その出力は横Gやロールに先行してヨーが発生する感覚で乗員に優しい。「ロードスター」のように位相が遅れる感覚は皆無。乗り心地は、サスペンションのストローク感があってダンピングも適切。ゆったりした動きの中に、路面からの衝撃をスッと封じ込める懐の深さを秘めている。
(写真=本池邦雄)
【テストデータ】
報告者:笹目二朗
テスト日:2010年8月19日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2010年型
テスト車の走行距離:3267km
オプション装備:両側電動スライドドアパッケージ=15万7500円/ディスチャージパッケージ=6万8250円/オーディオレス+バックカメラ+4スピーカー=3万6750円/SRSエアバッグシステム<カーテン&フロントサイド>=9万4500円)
タイヤ:(前)195/65R15(後)同じ(いずれも、DUNLOP SP SPORT 230)
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(3):高速道路(7)
テスト距離:270km
使用燃料:28.4リッター
参考燃費:9.5km/リッター
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笹目 二朗
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