「懐かしカー」のお値段最新版! パリのオークション会場から
2014.02.25 画像・写真2014年2月初旬パリではヒストリックカーショー「レトロモビル」に合わせてオークションが開催された。その数は3社、4セールに及んだ。
その中で一番話題になったのは、燃料タンクにローマ・カトリック教会のフランチェスコ教皇がサインをした「ハーレーダビッドソン」が、「ボナムス」のチャリティーセールに掛けられ、24万1500ユーロ(約3400万円)で落札されたことだった。
しかし近年は、各社とも話題の車両や歴史的高級車だけでなく、もっと親しみのある身近なモデルも扱うようになっていて、これがなかなか面白い。かつてのノーマル極まりないモデルに思わぬ高値がついたかと思えば、個人的に気になっていたモデルが意外なバーゲンプライスで落札されるなど、それはちょっとしたスペクタクルなのであった。(価格はすべて手数料込み)
(文=大矢アキオ<Akio Lorenzo OYA>/写真=Akio Lorenzo OYA/Mari OYA)

「RMオークションズ」の会場。アンヴァリッド(廃兵院)の敷地内に設営された立派なテントで、他のセールの先陣をきって2014年2月5日に開催された。
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「RMオークションズ」の会場。アンヴァリッド(廃兵院)の敷地内に設営された立派なテントで、他のセールの先陣をきって2014年2月5日に開催された。
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1963年「フィアット500D」。新車時にイタリア中部アンコーナのオーナーに引き渡されたあと、複数の愛好家によって保有されてきた。オークションカタログには「戦後ローマの黄金時代を満喫できます」と記されていた。想定価格よりかなり安い1万9600ユーロ(約276万円)で落札。
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フルレストア済みで、ミッレミリア参加応募可能な仕様という1956年「フィアット600」。ただし、こちらも想定価格2万5000~3万ユーロに対して、1万4000ユーロ(約197万円)にとどまった。
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1957年「フィアット600 ムルティプラ」は、走行わずか1万kmという低マイレージ。最後のオーナーは、約10年間大切に保管してきた。
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1957年「フィアット600 ムルティプラ」の内装。スウェーデンの専門業者のもとで完璧にレストアされている。想定価格2万~2万5000ユーロに対して、3万3600ユーロ(約473万円)の高値まで競り上がり落札された。
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1966年『男と女』など数々のフィルムに登場したことから、「フォード・マスタング」が好きなフランス人ファンは意外と多い。ただし、このフォードフランスのカラーに塗られた1965年「マスタング289」は、想定価格の下限に達しない6万7200ユーロ(約946万円)で落札。
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グランパレで2014年2月6日に催された「ボナムス」のセールから。写真左の「ルノー4CV」はフランスやベルギーを転々としたもので不動状態。想定価格をわずかに超える6900ユーロ(約97万円)で落札。写真右の「ルノー4」は1983年の新車時からワンオーナー車で走行距離は4万km。想定価格内の3450ユーロ(約49万円)で落札された。
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写真左は、ドイツのマイクロカー「フルダモビル」をギリシャでライセンス生産した1967年「アッティカ」。現在の車標もギリシャ。カタログには「コンクールでの人気間違いなし」との記述が。1万3800ユーロ(約193万円)で落札。 写真右は1958年「BMWイセッタ300」。ベルギーに輸出されたもので、同年のブリュッセル万博記念ステッカーが残る。1万6100ユーロ(約227万円)で落札。いずれも想定価格以下での取引となった。
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1962年「シトロエン2CV」。新車時からワンオーナーで、1万1000kmという低走行距離車であり、購入時の書類完備を売りものにしていた。ほぼ想定価格内の5175ユーロ(約73万円)でハンマープライス。
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こんなクルマもありました。1969年「マツダ・コスモスポーツ」。ベルギーにおける旧マツダインポーターが1990年代初頭から所有していたもの。想定価格内の5万5200ユーロ(約777万円)の値がついた。
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こちらもベルギーの元マツダインポーターのコレクション。1988年シーズンのFIAラリーマシンだった「マツダ323」(日本名:ファミリア)の4WD車。燃料ポンプさえ修理すれば走行可能という。想定2万~3万ユーロだったが、遠く及ばぬ1万925ユーロ(約154万円)で落札された。
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「レトロモビル」会場内で2014年2月7日に開催された「アールキュリアル」のセールから。手前の1961年「BMWイセッタ」はデンマークに輸出された300cc仕様(ドイツ仕様は250cc)で、1万4304ユーロ(約201万円)。奥の1959年「メッサーシュミットKR200」は超オリジナルコンディション。こちらは2万2052ユーロ(約311万円)。いずれも想定価格よりも安く落札された。
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話題車のひとつとして用意された1972年「フィアット・シェルット」は、「フィアット850」をベースにフィリップ・シュネルという人物が製作したビーチカー。著名プロダクトデザイナー、フィリップ・スタルクが所有していた。想定価格をわずかに上回る4万1720ユーロ(約587万円)で落札。
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なんとシトロエン歴史部門が売りに出した1982年のコンセプトカー「エコ2000」。704cc エンジンを搭載し、当時としては良好な33km/リッターの燃費を達成した。フランスではコレクション用車両として登録可能とのこと。想定価格内の1万2760ユーロ(約180万円)で売れた。
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著名カロシエ、アンリ・シャプロンがカブリオレに改装した「シトロエンSM」。初代オーナーは、1975年のパリサロンに展示されていたこの車両を購入。彼の死後も今日まで家族が保管してきた。想定価格内とはいえ、54万8320ユーロ(約7721万円)! という高値がついた。
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「アールキュリアル」は、2014年2月8日に「ソロ・アルファ」と題したアルファ・ロメオ専門オークションも開催。ほとんどが同一オーナーによるもので、44台を売り出した。 グループA通過のため500台生産された1986年「アルファ・ロメオ75ターボ エヴォルツィオーネ」は、想定価格を超える2万8608ユーロ(約403万円)で落札。
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「アルファ・ロメオ164」シリーズの最高性能四駆バージョンである1996年「3.0 V6 24V Q4」は走行4万kmちょっと。落札価格は、想定上限の2倍近い2万3480ユーロ(約331万円)に達した。
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こんなところで再会できるとは……。 こちらは2代目「日産パルサー」のボディーに、「アルファ・ロメオ・アルファスッド」のボクサーエンジンを搭載した1986年「アルナ」。2000~3000ユーロという想定価格に対して意外にも競り上がり、最終的に4768ユーロ(約67万円)で落札された。
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これも忘れられぬアルファ史。1978年「アルファスッド スーパー1.2」。完璧なレストア済みのわりに競りは盛り上がらず、想定以下、かつ「アルナ」よりも安い3576ユーロ(50万円)に終わった。
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オートモビリア(自動車関連グッズ)から。1959年「シトロエンDS」のスチール製ペダルカー。レストア済みでライト点灯可能。ステアリングは非オリジナル。想定価格の300~500ユーロを上回る780ユーロ(約11万円)で売れた。