BMW M235i xDriveグランクーペ(4WD/8AT)/220dグランクーペ(FF/8AT)
侮れない戦闘力 2020.02.27 試乗記 2020年春に日本の道を走り始めるBMWのニューモデル「2シリーズ グランクーペ」。コンパクトな4ドアクーペの走りには、どんな特徴があるのか? 駆動方式やパワーユニットの異なる2モデルにポルトガルで試乗した。美しさと実用性を両立
2019年に登場した「1シリーズ」が3代目にしてFF化されてしまったいま、BMWのFRが好きで、しかもなるべくコンパクトなモデルがいいというファンにとって最後のとりでとなっているのが「2シリーズ」の「クーペ」「カブリオレ」および「M2」。同シリーズにはすでにFFの「アクティブツアラー」「グランツアラー」もあることだし、ここまでの流れをみれば、そのうちFRは「3シリーズ」以上、2シリーズ以下はFFと明確に分かれるのではないか? と思うのが自然だ。果たして、新たに加わった2シリーズ グランクーペは、やはりFFだった。
これまで「4シリーズ」「6シリーズ」「8シリーズ」にあった「グランクーペ」は(現在6シリーズは廃止され8シリーズに上級移行)、BMWの車種拡大戦略を担う4ドアクーペで、累計40万台が販売されたというから、それなりに成功をおさめているといえる。ベースのセダンに対してルックスが美しいのはもちろん、乗り味にモアスポーティーやモアソフィスティケートがきちんと反映されていて、よりプレミアムに仕上がっており、それでいて実用性はセダンに近いというのが人気の理由のようだ。コンパクトな2シリーズの場合、FRでは実用性確保が難しいというのがFF採用の理由とされている。
FRの2シリーズ クーペに比べると後席のレッグルームは33mm延長されている。身長180cm程度の人でも無理なく座れて、乗降性も良好だ。
FF化のメリットに加えて、後方のデザインも美しさと実用性の両立に貢献している。ルーフライン後半からCピラーまでを細くしてエレガントに見せつつ、そのピラーの根元を切り返しで太くして安定感を演出するデザインや、リアドア後方までウィンドウを伸ばす6ライトなどの手法がそれだ。サイドビューにおけるウィンドウとボディーパネルの天地方向の比率は、クーペとしてはウィンドウ部が大きくなっている。この点でも実用性を重視しているのがわかるが、前述のデザイン手法でエレガントさを保っているわけだ。
ラゲッジルームは2シリーズ クーペ比で40リッター増しの430リッター。ファミリーカーとしてもしっかり使えるパッケージになっており、先代に比べてボディーサイズが大きくなった3シリーズ セダンを選ぶことに二の足を踏む人にとっても、気になる存在となっている。
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「1シリーズ」よりも快適に
すでに日本でも受注は開始されている。導入モデルは「M235i xDrive」(665万円)と「218i」(369~448万円)。前者は2リッター直4ターボ+8段ATの4WDでスポーティーな「Mパフォーマンス」モデル、後者は1.5リッター直3ターボ+7段DCTのFFでスタンダードモデルのほか「プレイ」「Mスポーツ」というグレードが用意される。今回の国際試乗会ではM235i xDriveには乗れたものの、FFモデルは日本導入予定のない2リッター直4ディーゼルターボ「220d」だった。
プラットフォームは1シリーズと同様のFAAR。ボディーサイズは全長4526×全幅1800×全高1420mmでホイールベースは2670mm。1シリーズと全幅やホイールベースは共通となっており、メカニズムも近似している。ただし、1シリーズが販売されていないアメリカと中国に進出するため、快適性には気を配ったという。米中では乗り心地が悪いとそっぽを向かれるからだ。
特に、上下動でサスペンションの硬さを感じたり、高速道路などで前後に揺さぶられたりすることがないように配慮されている。スプリングやダンパーを入念にセッティングし、バンプストップラバーやブッシュなどあらゆる面で見直しを図って快適性を高めつつ、コーナリング性能を確保するためにスタビライザーを効果的に使うよう工夫もしている。それでも1シリーズでの経験が生きているので快適性を向上させながら運動性能はまったく犠牲にせずにすんだという。
洗練性重視のハンドリング
電気自動車の「i3s」で開発され、1シリーズにも採用された「ARB」は標準装備。これはFF系のアンダーステアを抑制するトラクションコントロールの発展形のようなシステムで、エンジンコントロールユニット内に搭載することでスリップを検知してからパワー抑制までのタイムラグが大幅に減少。従来の約3倍の速さで制御が入る。DSCとも緊密に連携し、パワーアンダーステアを抑制するとともにトラクション性能も大幅に向上。また、トルクステアを抑制する効果も大きいという。
ちなみに、同じグループ内のFF系でもMINIはゴーカートフィーリングでダイレクト感を何よりも重視していてトルクステアはある程度許容しているのに対して、BMWのFF系はダイレクト感、正確性、速さというハンドリング特性を実現しながらトルクステアは極力抑制して洗練性も確保しているという。
M235i xDriveをスポーティーに仕立てる手法は「M135i xDrive」とほぼ同一。ボディーはストラットタワー周辺やトンネル状の箇所、サブフレームとの連結部などをブレース等で補強し、10mmダウンとなるMスポーツサスペンション(可変ダンパー付き)を採用。トルセン式LSDも装備してトラクション性能を向上させている。
M235i xDriveで走り始めると、予想していたよりもずっと快適だった。ポルトガルは道が荒れていて段差やうねりが大きく、時には穴ぼこがあいていてガツッとサスペンションが底付きすることもあるが、そんな状況からもボディー剛性の高さが感じられ、それゆえにサスペンションがスムーズにストロークしていることを実感できる。たしかに高速道路では前後に揺さぶられることがなく、落ち着いた乗り味だ。
都市部のファミリーは要チェック
それでもMパフォーマンスらしいスポーティーなハンドリングは健在。コーナーに対してステアリングを切り込んでいくと、FRとほとんど変わらないフィーリングで狙い通りのラインをトレースでき、コーナーの曲率がきつくなっていったときの切り増しに対しても正確に反応する。ステアリングフィールの雑味も最小限に抑えられている。
コーナーの立ち上がりでアクセルを深く踏み込んでみてもアンダーステアの兆候を感じさせず、前から引っ張られる感覚を伴いながら素早く脱出していった。FRではリアタイヤのグリップと相談しながらアクセルをコントロールする必要があるが、M235i xDriveはより早いタイミングで大胆に踏んでいくことが可能。同じようなスペックだったらFRよりも速く走れそうだ。ウエットなどだったらさらに有利で、確実にFRをやっつけるだろう。
xDriveではないFFであっても傾向は同様で、自信を持ってコーナーを攻められるのが2シリーズ グランクーペの特徴でもある。繊細なフィーリングという点ではFRに分があるが、戦闘力ではFF系は侮れないのだった。
220dはさらに乗り心地が良く、3シリーズ セダンよりもいいくらい。おそらく218iも同様だろう。前述のようにパッケージもいいから、都市生活者のファミリーカーとして最善のモデルになりうる。
ちなみに、2シリーズのすべてがFF化されるとは決まっていない。まだ公式なアナウンスはないが、2ドアのクーペ/カブリオレ、M2の次期モデルはFRが継続される可能性が濃厚だといわれている。BMWのコンパクトFRのファンは期待していてよさそうだ。
(文=石井昌道/写真=BMW/編集=関 顕也)
テスト車のデータ
BMW M235i xDriveグランクーペ
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4526×1800×1420mm
ホイールベース:2670mm
車重:1570kg(DIN)
駆動方式:4WD
エンジン:2リッター直4 DOHC 16バルブ ターボ
トランスミッション:8段AT
最高出力:306PS(225W)/5000-6250rpm
最大トルク:450N・m(45.9kgf・m)/1750-4500rpm
タイヤ:(前)225/40R18/(後)225/40R18(ピレリPゼロ)
燃費:6.7-7.1リッター/100km(約14.1-16.3km/リッター、欧州複合モード)
価格:--円
オプション装備:--
テスト車の年式:2020年型
テスト開始時の走行距離:--km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(ハイオクガソリン)
参考燃費:--km/リッター
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BMW 220dグランクーペ
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4526×1800×1420mm
ホイールベース:2670mm
車重:1505kg(DIN)
駆動方式:FF
エンジン:2リッター直4 DOHC 16バルブ ディーゼル ターボ
トランスミッション:8段AT
最高出力:190PS(140kW)/4000rpm
最大トルク:400N・m(40.8kgf・m)/1750-2500rpm
タイヤ:(前)225/45R17/(後)225/45R17(ピレリPゼロ)
燃費:4.2-4.5リッター/100km(約22.2-23.8km/リッター、欧州複合モード)
価格:--円
オプション装備:--
テスト車の年式:2020年型
テスト開始時の走行距離:--km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(軽油)
参考燃費:--km/リッター

石井 昌道
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