北米産の800万円級SUV「トヨタ・ハイランダー」「日産ムラーノ」「ホンダ・パスポート」で一番“買い”なのはどれか?
2026.09.04 デイリーコラム大型SUVの三つどもえ
“鶴の一声”で日本に導入されることとなった、アメリカ生産の日本車たち。ピックアップトラックの「トヨタ・タンドラ」やセダンの「トヨタ・カムリ」、そして最高出力320PSのターボエンジンにMTを組み合わせるアキュラのスポーツモデル「インテグラ タイプS」などもあるが、各社に共通するのはトレンドのSUVを用意していることだろう。
そこで今回はSUVに絞って比較をしてみようと思う。対象となるのは「トヨタ・ハイランダー」「日産ムラーノ」そして「ホンダ・パスポート」の3台だ。
なぜSUV限定かといえば、「SUV以外はライバル比較ができないから」という、こちら側のただただ勝手な事情ではあるが、タンドラを買う人はライバル比較なんてしないだろうし、インテグラ タイプSもしかり。カムリは「ホンダ・アコード」(日本向けはタイ製)と比べる人がいるかもしれないけれど、それはカムリの価格が発表されたときにあらためて、ということで。
というわけで、各車の概要チェックから。
トヨタ・ハイランダーの車体サイズは全長4950mm×全幅1930mmで、3列シートの7人乗り。パワートレインは排気量2.5リッターの4気筒自然吸気エンジンを組み合わせるハイブリッドで駆動方式は4WDだ。価格は860万円となっている。
2列シートながら全長4900mm×全幅1980mmとハイランダーに匹敵する巨体なのが「日産ムラーノ」。初代から時を経て、日本市場へ再投入というわけだ。パワートレインは可変圧縮機構を組み合わせた2リッター4気筒ターボエンジンで駆動方式は4WD。価格は796万4000円に設定されている。
ホンダ・パスポートはまだ正式発表されていないので日本仕様の詳細スペックや正式価格は不明だが、北米仕様の車体サイズは全長4864mm×全幅2017mm。これも巨体で、全幅は2mオーバーだ(あくまで北米数値だけど)。2列シートで排気量3.5リッターのV6自然吸気エンジンに4WDを組み合わせる。価格はあくまで予測だが、“ムラーノ以上ハイランダー未満”になるのではないだろうか。
よく見てみれば三者三様
この3台を横並びに比較してまず異なっているのは、シートレイアウト。ハイランダーのみ3列で他は2列だ。多人数乗車を求めるならハイランダー一択である。3列なんて要らないという人にとってはどうでもいいけれど。
ハンドル位置もハイランダーのみ異なる。ムラーノとパスポートが北米向けの左ハンドルなのに対して、ハイランダーはまさかの右ハンドルなのだ。
なぜ米国生産なのに右ハンドルがあるかといえば、「クルーガー」という名称で販売されているオセアニア向けの右ハンドル車が米国で生産されているから。日本へはニュージーランド仕様に準じた車両が輸入されるのだとか。「右ハンドルで乗りたい!」という人も、ハイランダー一択である。
実は、ハイランダーにはもうひとつ、ほかとの大きな違いがある。ハイブリッドなのだ。燃費や低速走行時の静粛性を求めるのであれば、これは大きなアドバンテージとなる。
ただし、クルマ好きの読者諸兄においては燃費だけがクルマの魅力でないことなど百も承知だろう。むしろ「どうしてせっかくの海外仕様なのにハイブリッドを選ばないといけないの!?」という人もいるに違いない。
そんな好事家には、世にも珍しい、状況に応じて圧縮比をリニアに切り替えることで出力と燃費を両立する“可変圧縮エンジン”を積んだムラーノもいい。
要は使い方次第
そして、本来の日本向け車両においてはホンダのラインナップから消えてしまったV6大排気量エンジンを積むパスポートも超魅力的だ。
パワートレインを比べて、この3台のなかで最もパワフルなだけでなく、エモーショナル性が高いのはパスポートだろう。やっぱりアメリカといえばマルチシリンダーという意見には筆者も賛同する(かつてマルチシリンダーといえばV8以上というイメージだったが、V6でも相当するのは昨今の時代の流れ)。自動車税を抑えたいというなら、排気量が小さいムラーノだが。
さて、「買い」はどれか?
結論からいえば「お好み次第で」だ。正式価格が明らかになっているのはハイランダーとムラーノで、前者は860万円、後者は796万4000円。パスポートもそれに近い金額と思われるが、そもそもこの3台はコストパフォーマンスを比較して選ぶような商品ではないだろう。「コスパを求めるなら国産(日本生産車)でも買っておけ!」という話である。
デザインや雰囲気、そしてパワートレインの好みで選ぶのが“正しい逆輸入車選び”といっていいだろう。あくまでニッチであり、価格だって高い。今回取り上げたクルマたちほど「バイヤーズガイド」がふさわしくない日本正規販売モデルはないといえるのかも。
ちなみにスバルも米国生産大型SUVの「アセント」を導入検討中とのこと。ここで取り上げた3台と同じ(全長5m級の)ラージボディーで、ハイランダー同様にシートは3列。エンジンは2.4リッターのターボだが、水平対向を味わいたいスバリストならばこれを狙うしかないだろう。それにしても、円安が恨めしい限りだ。
(文=工藤貴宏/写真=トヨタ自動車、日産自動車、本田技研工業、スバル/編集=関 顕也)
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |

工藤 貴宏
物心ついた頃からクルマ好きとなり、小学生の頃には自動車雑誌を読み始め、大学在学中に自動車雑誌編集部でアルバイトを開始。その後、バイト先の編集部に就職したのち編集プロダクションを経て、気が付けばフリーランスの自動車ライターに。別の言い方をすればプロのクルマ好きってとこでしょうか。現在の所有車両は「スズキ・ソリオ」「マツダCX-60」、そして「ホンダS660」。実用車からスポーツカーまで幅広く大好きです。
-
ホンダがコンセプトモデル「アキュラ・ネクセラ ビジョン」を発表 次世代デザインを読み解く 2026.9.3 本田技研工業の米国現地法人アメリカン・ホンダモーターが、アキュラブランドの次世代デザインを示すというコンセプトモデル「ネクセラ ビジョン」を初公開した。バタフライドアを採用するこのスポーツカーは、次世代アキュラの何を表現しているのか。
-
復活の決め手はこっくりさん!? 新生「三菱パジェロ」誕生の経緯とその狙い 2026.9.2 5年間の沈黙を経て、ついに登場した新型「三菱パジェロ」。スリーダイヤモンドが誇る荒野のフラッグシップは、いかにして復活を遂げたのか? 開発の経緯や内外装デザインの詳細、パワートレインに見るクルマの“狙い”をリポートする。
-
興味があるのはたったの3割!? 自動車業界を揺るがすSDVやAIって本当に必要なの? 2026.8.31 自動車も、スマホのように機能がアップデートできるようになる! ……ということで注目されるソフトウエアディファインドビークル(SDV)だが、日本のユーザーの多くが「いらない」と思っていることが判明! 急速に進むデジタル技術の、必要性について考えた。
-
酷評もされたBEVのフェラーリが4000万ドル!? 「ルーチェ」の初物に誰が、なぜ大金を出したのか? 2026.8.28 フェラーリ初の電気自動車として話題になった「ルーチェ」。その特別仕様の生産0号車が、米国内のカーオークションにおいて4000万ドル(約64億円)という衝撃価格で落札された。その背景について、事情に詳しい西川 淳がリポートする。
-
これが次世代アウディの源流 ハイブリッドスーパーカー「ヌヴォラーリ」に乗って気づき感じたことは? 2026.8.27 2026年6月に発表されたアウディのハイブリッドスーパーカー「ヌヴォラーリ」は、同ブランドの新しいデザインフィロソフィーを体現したモデル。個性的な内外装やこだわりのつくり込み、そしてステアリングを握った印象を米モントレーから報告する。
-
ホンダがコンセプトモデル「アキュラ・ネクセラ ビジョン」を発表 次世代デザインを読み解く
2026.9.3デイリーコラム本田技研工業の米国現地法人アメリカン・ホンダモーターが、アキュラブランドの次世代デザインを示すというコンセプトモデル「ネクセラ ビジョン」を初公開した。バタフライドアを採用するこのスポーツカーは、次世代アキュラの何を表現しているのか。 -
BMW iX3 50 xDrive Mスポーツ(後編)
2026.9.3あの多田哲哉の自動車放談ワインディングロードで新型「BMW iX3」のステアリングを握った多田哲哉さんは、その走りに感心した様子。どんなところが優れているのか、トヨタのエンジニアの視点で語ってもらおう。 -
新型「三菱パジェロ」の外装・内装を写真でチェックする
2026.9.2画像・写真5年間のブランクを経て、三菱のフラッグシップSUV「パジェロ」がついに復活! 「グランドカリスマ -泰然自若-」をコンセプトにデザインされた本格クロスカントリーモデルは、どのような姿をしているのか? 内外装の詳細を、写真で紹介する。 -
復活の決め手はこっくりさん!? 新生「三菱パジェロ」誕生の経緯とその狙い
2026.9.2デイリーコラム5年間の沈黙を経て、ついに登場した新型「三菱パジェロ」。スリーダイヤモンドが誇る荒野のフラッグシップは、いかにして復活を遂げたのか? 開発の経緯や内外装デザインの詳細、パワートレインに見るクルマの“狙い”をリポートする。 -
第127回:新型BMW X5(後編) ―迷走するBMW 結局アナタは“ノイエクラッセ”でなにがしたかったの?―
2026.9.2カーデザイン曼荼羅その姿が明らかとなるや、賛否両論を巻き起こしている新型「BMW X5」。このクルマは既存のBMW製SUVとはなにがちがうのか? そもそもBMWは“ノイエクラッセ・デザイン”になにを託していたのか? カーデザインの識者と、迷走するBMWの明日を探った。 -
BMW X1 sDrive20iオリジナル(FF/7AT)【試乗記】
2026.9.2試乗記BMWのコンパクトSUV「X1」に新グレードの「オリジナル」が登場。走りの楽しさをはじめとしたBMWらしさをキープしつつ、装備の厳選によって価格抑制を図った新たなエントリーグレードだ。都市部におけるドライバビリティーとユーザービリティーをリポートする。








































