こいのぼりの街で旧車祭り開催
2010.05.06 自動車ニュースこいのぼりの街で旧車祭り 〜「KAZOクラシックカー・フェスタ2010」開催
2010年5月3日、埼玉県加須市の利根川河川敷緑地公園で「KAZOクラシックカー・フェスタ2010」が開かれた。
■要人の愛用車も登場
10年ほど前から、地方自治体が主催する市民祭りなどの公共イベントにおけるプログラムのひとつとして、クラシックカー関連の企画が設けられる機会が増えてきている。この「KAZOクラシックカー・フェスタ」もそうしたプログラムで、毎年ゴールデンウイークに開催されている市民平和祭に昨年から加えられた。したがって今回が2回目の開催となる。
東京都心から50kmほど北に位置する埼玉県の加須市は、昔からこいのぼりの産地として知られ、生産量は日本一なのだそうだ。というわけで、毎年5月初旬に開かれる市民平和祭の目玉は「ジャンボこいのぼり」。なんと全長100m、口の直径10m、重さ350kgという巨大なこいのぼりの遊泳が、22年前から始まった祭りの名物なのである。
その「ジャンボこいのぼり」の掲揚スペースを中心とした市民平和祭の会場の一角で行われた「KAZOクラシックカー・フェスタ」には、県内および近県から約120台のクラシックカーが集まった。参加車両は利根川に沿った河川敷の道路に一列にズラリと並べられ、その長さはおよそ600mにも及んだ。これまでに数多くのクルマ関連イベントを取材してきたが、こうした展示方法に遭遇したのは初めての経験である。
どんなクルマが並んでいたかといえば、古くは今年でちょうど100歳となる1910年式「ロールス・ロイス シルバーゴースト」から、新しいところでは通称鉄仮面こと80年代の日産「スカイラインRSターボ」までと、生産国やサイズを問わずバラエティに豊んでいた。なぜか車列の中には「クラシックカー・フェスタ」にもかかわらず90年代のモデルも数台混じっていたが、個人的には「見なかったこと」にしておいた。
先に名を挙げたシルバーゴーストをはじめ、ロールス・ロイスやベントレーがおよそ10台と、この種の草の根系イベントにしては例外的に多かったが、これには理由がある。各種メディアで紹介され、今ではかなり知られるようになった白洲次郎のベントレーや吉田茂のロールス・ロイスなどを動態保存する「WAKUI MUSEUM」が加須市内にあり、その関係からその種の高級車がゲスト参加したというわけだ。
もちろん白洲次郎のベントレーや吉田茂のロールス・ロイスも出展されていたが、そうした歴史的な名車から、昭和30年代の横丁の名車である「ダイハツ・ミゼット」や「バイクモーター」までが文字通り横一線に並ぶイベントというのも、これまた珍しい。
市民祭りのプログラムというイベントの成り立ちからいって、とくにクルマ好きというわけではない来場者のほうが圧倒的に多かったはずである。とはいうものの、「クラシックカー・フェスタ」は盛況だった。
世間ではクルマ離れが盛んに言われているが、こうしたイベントにおいて、過去と現在をつなぐタイムマシンであるクラシックカーの人気は、まだまだ捨てたものではない。だからこそ、クラシックカー関連企画をプログラムに加える公共イベントが増えているのだろう。となれば、お上もクラシックカーを文化遺産として認めるなんらかの措置(たとえば自動車税の軽減とか)を、そろそろ検討してくれてもいいのではないかと思うのだが。五月晴れの空を泳ぐ雄大なこいのぼりを見上げながら、ふとそんなことを考えたのだった。
(文と写真=田沼 哲)
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