「スペアタイヤはなくてもいい?」

2010.02.27 クルマ生活Q&A 松本 英雄 タイヤ・ホイール
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「スペアタイヤはなくてもいい?」

最近、スペアタイヤが装備されていない車種が増えてきました。車両の軽量化やスペース効率の向上などに貢献しているとは思いますが、パンクしたときのことを考えると不安です。メーカー側はどのように考えているのでしょうか。また、法的にはスペアタイヤは装備しなくてもかまわないのでしょうか?

お答えします。まず、法的にはスペアタイヤの搭載義務はありません。だからこそメーカーもスペアタイヤを装備しなくなっているのです。とはいえ保安基準および道路交通法には「不具合を起こした場合は速やかに安全な場所まで移動しなければならない」旨が記されています。それに対応する手段として、スペアタイヤを搭載していない車両は、パンク修理キットなどを装備しています。
しかしサイドウォールなどを傷つけてパンクした場合は、修理キットでは対応できません。不安に思われているのは、おそらくこうした理由からではないかと思います。

それでもメーカーがスペアタイヤを装備しないのはなぜかというと、ご指摘の理由のとおりです。今日、車両の設計において軽量化は絶対的な命題ですし、スペース効率の向上も同様です。またスペアタイヤがなくなれば、デザインの自由度も高まります。それらに加えて、未使用であっても廃車時に廃棄されるスペアタイヤの処理も、環境保護の観点から大きな問題となっているからです。
スペアタイヤを装備することによって生じるそうした問題のほうが、昔に比べてはるかに少なくなったパンクのトラブルより重大であるとメーカーが判断した結果、スペアタイヤが装備されなくなったのでしょう。
ちなみにスペアタイヤ未搭載でも、オプション設定されているモデルもあるようですね。

松本 英雄

松本 英雄

自動車テクノロジーライター。1992年~97年に当時のチームいすゞ(いすゞ自動車のワークスラリーチーム)テクニカル部門のアドバイザーとして、パリ・ダカール参加用車両の開発、製作にたずさわる。著書に『カー機能障害は治る』『通のツール箱』『クルマが長持ちする7つの習慣』(二玄社)がある。