電気自動車のバッテリー、充電じゃなくて交換!?
2009.06.03 自動車ニュース電気自動車のバッテリー、充電じゃなくて交換!?
開港150周年を迎えた横浜で、ちょっと変わった電気自動車(EV)の実証試験が行われている。EVといえば充電がつきものだが、ここにある車両はそのバッテリーを電池のように交換して走るのである。
■バッテリー交換という発想
世界初となるこの交換実験を実施したのは、アメリカのベタープレイスの日本法人。2007年に米国カリフォルニア州に設立されたばかりの企業で、電気自動車のインフラ部分だけを担当。つまりクルマもモーターもバッテリーも作らず、充電施設の設置や運営・管理に専念している。世界的にも他に類を見ない会社だ。
自動車メーカーでは、ルノー日産グループと関係が深い。同グループはイスラエルやデンマークなど10カ国以上の地域で電気自動車の導入準備を進めているが、その多くでインフラを担当するのがベタープレイスである。
2008年1月に計画を発表したイスラエルでは、すでに400カ所以上の充電スポットを設置したという。
ベタープレイスがバッテリー交換を考えたのは、フル充電での走行可能距離が200kmに満たず、充電は急速式でも数十分を要するという、現在のEVが抱える最大の欠点を解消するためだ。交換に要する時間はわずか1分半と、ガソリン車より早く満タンになる。そのぶん航続距離の短さというハンデが薄まるというわけだ。もちろん使用後のバッテリーは再充電して他車に搭載される。
■気になる料金は?
実験は「日産デュアリス」を改造したEVで行われた。車両が交換台の近くまで進むと、あとはベルトコンベアが自動的に位置決めをしてくれる。停車後は横方向から新しいバッテリーを積んだリフトがスライドしてきて、車両に搭載されている古いバッテリーを降ろしたあと、新品を搭載して完了となる。固定には戦闘機のミサイルなどに使われるラチェットを使用するので万全だという。
バッテリーの在庫数は、車両10台あたり2個を予定。2個だけでまかなえるのか? という不安がよぎるが、車両と交換ステーションの位置、スペアバッテリーの在庫を常時把握し、充電速度を調節するなどして在庫切れを防止していくとのこと。車格によるバッテリー容量の違いにも対応できるとしており、10種類以下であれば採算が成り立つという。
気になる料金は、走行距離に応じた課金とするそうで、ガソリンよりは安価になりそうだ。さらに車両購入時も、バッテリーを除いた部分だけを買うことになるので、比較的割安になるのでは。
日本においては、まずタクシー業界に売り込み、その後自家用車に普及させたいとのことだ。
このデモンストレーションは、2009年6月20日まで実施しており、土日は一般公開もされている。場所は横浜山下公園沿いのマリンタワー近く。興味のある方は、新しいEVシステムを自分の目でチェックしてみてはいかがだろうか。
(文と写真=森口将之)
ベタープレイス・ジャパン
http://www.betterplace.com/japan/event/yokohama-event/