新型「日産ノート」生産の現場から
2012.09.03 画像・写真2代目となる新型「日産ノート」が、2012年9月3日に発売された(関連ニュース)。製造コストの低減に取り組みつつ、海外の新興国ではなくあくまで日本国内での生産にこだわったというこのモデル。実際、どのように造られているのか? 生産現場である日産自動車九州の工場から、その様子を紹介する。
2012年9月3日の新型「日産ノート」発売に先駆けて、8月28日にはその発表会が行われた。傍らに立つのは、日産自動車の志賀俊之COO。会場では車両開発者らも登壇し、ニューモデルの魅力をアピールした。
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2012年9月3日の新型「日産ノート」発売に先駆けて、8月28日にはその発表会が行われた。傍らに立つのは、日産自動車の志賀俊之COO。会場では車両開発者らも登壇し、ニューモデルの魅力をアピールした。
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市場での必勝を祈願して、代表スタッフが勇ましく雄たけびを上げる!の図。「コスト的な条件が厳しさを増しているいま、国内で生産を続ける努力をやめてしまったら、この先二度と日本でコンパクトカーを造れなくなる」(志賀COO)との思いから、国内向けの新型「ノート」は、日産自動車九州の工場で生産される。今回の発表会もまた、工場の生産ラインの中で催された。
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あらためて、日産自動車九州のエントランス。「日産自動車の九州工場」として1975年に稼働を始めて以来、「ダットサントラック」「シルビア」「サニー」「テラノ」「プリメーラ」「ムラーノ」「デュアリス」「セレナ」などを世に送り出してきた。2011年には日産自動車九州として独立。年間最大生産能力は、現在53万台。
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おびただしい数のロボットアームが並ぶ、溶接のライン。車体にはまず、700点ほどのスポット溶接が施される。各ロボットをよく観察すると、それぞれ「ドラえもん」「しずかちゃん」「亀仙人」などの名札が……。聞けば、各持ち場の識別をしやすくするのが主な目的だとか。「名前を付けると、なんだかロボットに愛着がわくから」とも。
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ラインには、さまざまな車両のボディーが混在する。群がるアームに溶接される写真のモデルは、SUVの「エクストレイル」。このあとには「ノート」が続く、といった様子である。
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溶接を終えた各ボディーは「メタルライン」へと移動する。ここではボンネットやフェンダーなどが取り付けられるとともに、傷や凹凸がないか品質チェックが行われる。
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メタルラインをしずしずと進む「ノート」のボディー。まだ塗装前の状態だが、完成車同様、“スカッシュライン”と呼ばれるサイドの特徴的なキャラクターラインが個性を主張する。
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人の気配がほとんどなかった溶接のラインとは異なり、メタルラインでは手仕事が見られる。写真は、サンダー(電動やすり)で表面を整えているところ。
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塗装の工程を経て、車体は組み立てラインへ。各車、流れ続けるコンベヤー上で、構成パーツが組みつけられてゆく。
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組み立てラインで車体に取り付けられる部品の点数は、3000〜4000点にのぼる。写真手前は「ノート」。エンジンルームには、今回新たに開発されたスーパーチャージドユニットとおぼしきエンジンが見える。
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手前の看板にあるとおり、これはブレーキフルードの充てん工程。ロボットによる作業は、思いのほか多い!?
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こちらはシートの取り付け工程。ドアが外された状態での作業となる。ちなみに、新型「ノート」のリアドア開度は、先代モデルより20度多い85度。乗降性のよさもセリングポイントのひとつである。
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ロボットアームが、ラインの傍らからつまみあげたバッテリーを、エンジンルーム内に据え付ける。このラインでもモデルは混在しているが、どのクルマのどこに、どのパーツを組み付けるのかは、コンピューターが厳密に管理しているのだ。
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すっかり形になった「ノート」。コンベヤーから降りて、自走しながら「ファイナルテスト」を受ける。写真は、車検場でもおなじみ、アライメントチェックの光景。このほか計器類の動作や水漏れなど、400項目におよぶ検査が課せられている。
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日焼けサロン? いいえ、こちらは仕上がりの最終チェックポイント。
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“蛍光灯の壁”に囲まれる「ノート」。光の映りこみをたよりに、ボディー表面の状態などがチェックされる。
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傷やくぼみはないか? パーツ間のクリアランスは正しいか? 検査員の厳しい目に、心なしかクルマも緊張しているような……。
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できあがり。完成した車両は、早々と工場に隣接するフェリー埠頭(ふとう)に運ばれる。船積みを待つ完成車置き場の収容キャパシティーは、ざっと2万5000台。写真手前に見えるのは、ドレスアップバージョンの「ノート ライダー」だ。
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工場から比較的近い九州や中国地方への輸送にはキャリアカーが、近畿、東海、関東など遠方に向けてはフェリーが使われる。写真はアメリカ向けの日産専用船で、この日はSUVなど1000台が積み込まれた。
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新型「ノート」の月間目標販売台数は1万台。その製造を担う日産自動車九州では、国内サプライヤーの近接化による物流コストの低減、さらに東アジア地域のサプライヤーを含めた購入品価格の低減など、製造原価を抑えることにも注力しているという。