「第55回静岡ホビーショー」の会場から(後編)
2016.05.19 画像・写真「第55回静岡ホビーショー」のリポート後編は、27回目を迎えた「モデラーズクラブ合同作品展」の会場から。なにせ参加クラブ240以上、展示作品9000点以上とあって、紹介できる点数は限られているが、伝説のカーモデルコンテスト同窓会連盟(ここでは「同窓会」と表記)の作品を中心に、リポーターの印象に残ったモデルカーをお目にかけよう。(文と写真=沼田 亨)
→「第55回静岡ホビーショー」の会場から(前編)
-
1/21モデラーズクラブ合同作品展の会場で目立っていたブース。伝説のカーモデルコンテスト同窓会連盟(以下「同窓会」)とは、三栄書房と田宮模型の後援によって、1971年から75年まで5回にわたって開催されたモデルカーコンテストに参加したメンバーを中心に組織されたサークルである。
-
2/211971年の第1回モデルカーコンテストの入選作という、タミヤの1/12「ポルシェ・カレラ10(910)」。製作当時高校1年生だった作者が、保存していた入選作をレストアしたものという。入選者には写真右の記念メダルと賞金1万円が贈られたそうで、作者いわく「当時の高校生にとって1万円は大きく、ありがたかった」とのこと。ちなみにカレラ10のキット価格は1800円だった。
-
3/21「同窓会」メンバーの作品であるバンダイ製1/16「ポルシェ・カレラ6(906)」。1967年の第4回日本グランプリに生沢 徹のドライブで優勝したマシンを忠実に再現している。
-
4/21「同窓会」メンバーが手がけたタミヤ製1/12「日産フェアレディ240Z-G」。2座席レーシングカー主体の初期の富士グランチャンピオンシリーズで、雨天時に抜群の強さを発揮し“雨の柳田”の異名をとった柳田春人のマシンを、見事に再現している。
-
5/21“柳田240Z”のエンジンルーム。L24エンジン、そして補機類……思わずため息が漏れる出来栄えだ。
-
6/21これも「同窓会」メンバーによるハセガワ製1/24「ダットサン・ブルーバード1600SSS」。なんとなく見覚えがある「510ブルーバード」と思いきや、モデルはJCCAのクラシックカーレースを走っている現役マシン。製作者がオーナーと知り合いだそうで、実車を綿密に取材して製作したとのこと。
-
7/21「510ブルーバード」のディテール。心ゆくまで実車を取材できるとはいえ、よくぞここまで作り込めるものだと思う。
-
8/21「同窓会」メンバーが製作した“怪鳥”の異名をとった1/24の「シャパラル」軍団。
-
9/21「シャパラル」軍団のなかでもベースキットがなく、フルスクラッチされた「シャパラル2A」。製作者いわく「プラ板やパテなど、ごく当たり前の材料を用いて作っている」とのことだったが……。
-
10/21これも「同窓会」ブースに展示されていた、型式名C110こと4代目「日産スカイライン」の「セダン2000GT」、通称ケンメリの開発時の覆面テスト車両。塗装を含めた外装を仕上げることなく人目を引く、アイデア賞ものだ。
-
11/21『webCG』で毎年リポートしている「オートモデラーの集い in 横浜」を主催している、日産テクノモデラーズクラブ(以下「日産テクノ」)のブースから。タミヤのホンダF1用タイヤを除いてスクラッチビルドされた1/12「日産R380-AII」。2014年のオートモデラーの集い in 横浜のリポートではボディーがまだ原型の状態だったが、ようやく完成品を目にすることができた。
-
12/21これも「日産テクノ」のメンバーの手になる、やはりスクラッチで製作途中の「日産R382」。真ちゅうパイプ製のフレームの細さが気になるが、「これが実寸を1/12に縮小した太さなんです。われわれも実車のパイプ径の細さを知って驚きました」とのこと。こんなフレームに6リッターV12エンジンを積み、30度バンクを全開で激走していた、当時のワークスドライバーの腕と度胸には今更ながら恐れ入る。
-
13/21やはり「日産テクノ」のメンバーが製作中の1/24「日産セドリック ワゴン」。アオシマからリリースされている「430セドリック セダン」をベースに、1982年サファリラリーのサービスカーだったワゴンを作ろうというわけだ。リアサスペンションをセダンの5リンク/コイルからリーフ・リジッドに改めているが、会社の同僚から「(実寸にしたら)こんな分厚いリーフスプリングはない」という厳しい突っ込みを受けたとか。
-
14/21「日産テクノ」に展示されていたタミヤ製1/24をベースにした「マツダ・ロードスター カスタム(ND)」。「メルセデス・ベンツSLK」用ハードトップを載せ、エンジンを「RX-7(FC3S)」用のロータリーに換装するなどの改造を実施。
-
15/21トヨタデザインモデラーズクラブのコーナーに展示されていた、見事なフィニッシュの「アロウズA2」。1979年のF1に参戦したウイングカーである。エンジン(フォード・コスワースDFV)やタイヤはタミヤの1/12ビッグスケールシリーズからの流用だが、あとはスクラッチビルドされている。
-
16/21展示されていたクラブ名は失念したが、エブロの1/24「シトロエン2CVフルゴネット」をディテールアップした作品。ドアを開閉式とし、作り込まれたエンジンを搭載している。
-
17/21エブロの1/24「ルノー4 GTL」をベースにした、1980年のパリダカールラリーで総合3位に入った4×4仕様。ホイールは3Dプリンターで製作したという。イラストレーターでモデラーの、溝呂木 陽氏の作品。
-
18/21エンスーなモデラーの間では有名な、すべてのパーツを素材からスクラッチビルドしている1/24「アルファ・ロメオ・カングーロ」。自動車メーカー勤務のデザイナーである斎藤 勉氏が、10年越しで手がけている作品である。
-
19/21「アルファ・ロメオ・カングーロ」の、製作過程を含めたパーツ類。真ちゅうと洋白でフレームを組み、アルミ板からボディーをたたき出し、エンジンやホイールなどはアルミやマグネシウムを使って鋳造、タイヤも型から製作。ステアリングギアボックスは実車同様に可動する構造で、ステアリングのリムは木片から削り出し。ちなみにエンジンは、クランクシャフトを回すとコンロッドを介してピストンが上下する。「ピストンリングはありませんけどね」とのことだが……。
-
20/21これも斎藤氏が原型から製作した、SF特撮ドラマ『謎の円盤UFO』に登場するストレイカー最高司令官の愛車。オリジナルの劇用車は、英国フォードのアッパーミドルサルーンである「ゾディアック」をベースに作られたという。
-
21/21クルマ以外の、多くのモデルのなかから、たった1点だけだがジオラマを紹介。「パブリカ・トラック」のキットは存在しないので、アリイの1/32「トヨタ・パブリカ」(セダン)をベースに改造したのだろう。