BMWの神髄を見た! webCGほったのドイツ・ミュンヘン探訪記(前編)
2017.05.18 画像・写真BMWが本社を構えるドイツ・バイエルン州の都ミュンヘンを、webCGほったが初訪問。編集部きっての“カーヲタ”を自認する筆者が、欧州屈指の自動車の都で見たもの、聞いたことを、前後編の2回に分けて写真とともにリポートする。
前編ではまず、クラシックカーのレストアやメンテナンスなどのサービスを提供する「BMWクラシック」を紹介。かつて(1918~1922年)BMWが工場を構えていた地に移転されたこの施設には、古いものを大切にするドイツの気質と、ファン垂涎(すいぜん)の貴重でマニアックな収蔵品があふれていた。(webCG ほった)
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1/49BMWの本拠地であるドイツ・ミュンヘンで、まず訪れたのがこちらの施設。クラシックカーのレストアや整備などのサービスを提供する「BMWクラシック」である。
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2/49訪問者を迎えるゲートハウスやイベントホールなどには、歴史ある建物を改修して利用。ゲートハウスにはカフェも備えられていた。
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3/49そんなカフェの片隅に古いバイクを発見。1955年に登場した「R69」である(展示車は1959年式)。いかにも鋳造製といったクランクケースの形状がシブくてカッコいい。
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4/49カフェの名前は「Cafe Mo66」。BMWクラシックの住所である「Moosacher Str. 66」にあやかったものなのでしょう。多分。
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5/49敷地内には、こちらでお世話になっているとおぼしきクルマの姿がちらほら。写真の個体は「BMW 501」のビアーカー。BMW 501といえば、1951年にデビューした戦後型BMWの第1号である。
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6/49車内の撮影はできなかったが、後席の乗車スペースはごっそりビアーカーとして改造されていた。貴重なクラシックカーをこんな風にしてしまうとは。ドイツ人はどれだけビールが好きなんだよ?
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7/49サービスガレージに並べられたE30世代の「BMW M3」と、1983年のF1世界選手権でネルソン・ピケがドライブした「ブラバムBT52」。ピケはこの年、このマシンでドライバーズタイトルを獲得している。うーむ。眼福、眼福。
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8/49サービスガレージに運ばれていく「BMW 501」か「502」(浅学にして見分けがつきません。ゴメンナサイ)。今回の取材では、作業の様子までは見学することはできなかった。無念。
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9/49BMWクラシックの歴史を説明する、広報担当のマンフレート・グルナートさん。「建物はみんな文化財扱いだったから、改修にはホント苦労したよ。クラシックカーをレストアするようにして改修したんだ」とのこと。
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10/49BMWクラシックの模型。現在、この施設が位置しているのは、1922年までBMWの工場があった土地の一角である。もとの施設が老朽化したため、2014年にこちらに引っ越してきたのだとか。
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11/49航空機用エンジン「IIIa」生産のために作られたという、在りし日の工場の写真。ゲートハウスなどの建物が、今日に受け継がれていることが分かる。
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12/49カフェに併設された資料展示室には、BMWの歴代モデルのカタログや取扱説明書なども収蔵されている。
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13/49日本語で書かれた「BMW R2」のパンフレット。戦前のもののはずだが、その状態のよさにビックリ。
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14/49サービスガレージの奥に位置するイベントホールは、かつて工場として使われていた建屋である。古いものを大切に使おうというこの姿勢については、歴史ある建築をどんどん壊し、旧車オーナーに増税を強いるどっかの国にも見習ってもらいたいモンである。
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15/49本日いちばんの楽しみだった、BMWクラシックの収蔵庫。工場だったころの面影を色濃く残す空間に、貴重なクルマが多数陳列されている。好き者にとってはもう、この雰囲気だけでもたまりません。
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16/49こちらはBMW初の自動車……ではなくて、馬に引かせて移動するポンプ車。いうなれば“ポンプ馬車”である。
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17/49皆さんこちらにご注目。水をくむポンプのエンジンがBMW製なのだ。BMWは、かつてはこうしたものも作っていたのである。
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18/491929年式の「BMW 3/15PS」。四輪事業への参入当初、BMWは「オースチン・セブン」をライセンス生産して「ディキシー」という名前で販売していたが、この年から上述の3/15PSに車名を改めている。ちなみに、マンフレートさんいわく「ディキシーにはBMWという“名字”は付かないから、気をつけてね!」とのこと。
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19/49こちらもBMWにとって重要なクルマの「BMW 3/20PS」(手前)と「BMW 303」(奥)。どのあたりが重要なのかというと……。
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20/49「3/20PS」はBMWにとって初となる自社設計のモデルなのだ。こちらは同車の4気筒エンジン。
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21/49一方、「303」はBMW初の6気筒エンジン搭載車。直6 BMWの元祖なのだ。
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22/49もうひとつ「BMW 303」の特筆すべきポイントなのがこちら。今日に受け継がれるキドニーグリルが、最初に使われたのがこのクルマなのだ。
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23/49収蔵庫の片隅には、そんな「BMW 303」を起源とする歴代のキドニーグリルが展示されていた。
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24/49手前から、「BMW 326カブリオレ」「326シュポルトカブリオレ カロッセリエ グレーザー」「327/28シュポルトクーペ」。マンフレートさんいわく「戦前の『6シリーズ』みたいなクルマ」とのこと。
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25/49赤黒のツートンカラーが鮮やかな「327/28シュポルトクーペ」。こちらの収蔵車のなかでも、マンフレートさんが一番気に入っているクルマなのだとか。
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26/49収蔵庫の奥にはタイヤを外された「BMW 328」の姿が。実はこちら、クラシックカーラリーの「ミッレミリア」に参加するため、目下整備中なのだとか。なお、手間のシルバーの個体は、1940年の(本当の)ミッレミリアで3位に入ったクルマとのこと。
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27/49ここからは戦後のクルマをご紹介。こちらは1956年式「BMW 501」のパトカー。
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28/491961年式「BMW 700」。1959年に登場したRRのコンパクトカーで、BMWを経営不振から救う救世主となった。
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29/49収蔵庫内には「ミニ」や「ロールス・ロイス・カマルグ」などの姿も。ご存じの通り、MINIもロールス・ロイスも、今やBMWのブランドだからだ。写真の赤い個体は、1959年式「モーリス・ミニ マイナー」。
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30/49シンプル極まりない「モーリス・ミニ マイナー」のインテリア。現代の「MINI」にも、こうした清貧の精神あふれる仕様があったら面白いと思うのは、私だけ?
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31/49今日における「3シリーズ」や「5シリーズ」の直系の祖といわれるのが、1961年に登場した「BMW 1500」。“ノイエクラッセ”と呼ばれてもてはやされ、より大きなエンジンを搭載した「1800」「1600」「2000」が後に続いた。展示車は1963年式。
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32/49みんな大好き「02(マルニ)」シリーズ。先述の“ノイエクラッセ”の2ドアセダン版である。写真手前に写るのは、1973年式の「2002tii」。
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33/49「02シリーズ」の中でも特筆すべき存在なのが「2002ターボ」。当時にして170psの最高出力と24.5kgmの最大トルクを発生した2リッターターボエンジンもすごいが、外装パーツがべたべたと後付けされたボディーの迫力もすごい。
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34/49DTM(ドイツツーリングカー選手権)などで活躍した、E30世代の「BMW M3」。このカラーリング、子供のころにプラモデルを作った記憶がある。
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35/491983年式「BMW 635CSi“オリギナルBMWタイレ”」。635CSiのレーシングカーは、グループA規格で競われていた欧州ツーリングカー選手権で活躍した。これもやっぱり、オレンジ色の「イェーガーマイスター」のプラモデルを作った記憶がある。
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36/49こちらは華やかなオープン2シーターのコーナー。手前に見えるのは、“ボンドカー”にもなったことがある「BMW Z8」。
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37/491988年からわずか2年間だけ生産された「BMW Z1」。サイドシルに収納されるというドアが開いているところを、初めて見た。
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38/49「BMWにこんなクルマあったかな?」というモデルを発見。その名は「502シュポルトヴァーゲン」。説明書きによると、「507」のプロトタイプだったそうな。
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39/49「BMW 502シュポルトヴァーゲン」のフロントウィンドウに置かれていた説明書き。手書きによる追記がなんだかほほ笑ましい。
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40/49本日2台目の「BMWにこんなクルマあったかな?」がこちら。1958年式「3200ミケロッティ ヴィニャーレ」。皆さんご存じ、ジョバンニ・ミケロッティがデザインを手がけた「BMW 507」なのだとか。こんなクルマがあることを、初めて知りました。
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41/49個人的に、名前は知っているけどお目にかかる機会がないクルマの筆頭なのが「マクラーレンF1」。エンジンがBMW製というご縁もあってここに収蔵されているのだろう。ちなみに、展示車は1996年式とのこと。
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42/49中央にドライバーが座る3座のシートレイアウト。「最近どこかで見たなあ」と思ったら、日産の「ブレードグライダー」が、これと同じシートレイアウトだった。
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43/49ちなみに「マクラーレンF1」のトランクルームはこちら。跳ね上げ式のドアとリアタイヤの間に備わっていた。
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44/49収蔵庫の一角に展示されていた、BMWの歴代エンジン。自動車もいいが、記者はこういう地味な展示も大好物である。
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45/49既出の「ブラバムBT52」にも搭載された、F1用直4ターボエンジンの「M12/13」。1.5リッターの排気量から、時には1100psもの出力をしぼり出したのだとか。
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46/49ここからは、本日の展示品の中でも特にマニアックなものを3連発でご紹介。まずこちらは、航空機用エンジン「BMW VI」のコネクティングロッドとシリンダー。BMW VIはV型12気筒なので、こんなデカいピストンが12個も行ったり来たりしていたのだ。その排気量は実に46.9リッター! 飛行機のエンジン、すげえ!
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47/49こちらは戦前の名スポーツカー&レーシングカー「BMW 328」に搭載された2リッター直6エンジンのクランクシャフト。
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48/49最後はこちら。「何だろう?」と思ったら、F1用エンジンのインテークボックスでした。BMWは2000年から2005年まで、ウィリアムズに3リッターV10エンジンを供給していた。説明書きによると、最高出力は実に1300ps! 先述の「M12/13」といい、F1のエンジンは恐ろしい……。
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49/49以上、BMWクラシックよりお届けしました。記者の好みでいささかマニアックな内容となってしまった。平に、ご容赦ください。