K4-GP 2010FUJI1000km耐久(後編)
2010.08.16 画像・写真2001年から始まった軽乗用車による耐久レース「K4-GP」。毎年2月と8月に富士スピードウェイで、そして2005年からはマレーシアのセパンサーキットでも隔年で開催されている、今や日本一いや東洋一熱い草レースである。
参加車両は基本的に軽乗用車および軽規格のエンジンを使ったマシンで、一部例外も含まれるが、いずれにしろ使用可能な燃料量は「1000km耐久」の場合で最大105リッターと決められている。つまりリッターあたり約10kmの燃費をキープしなければ、完走できない。楽しくファンキーな「K4-GP」は、じつはドライバーとチームに高度な技量と戦術を要求する、とても知的なエコランゲームでもあるのだ。
今年の夏の陣は、8月12日に「500km耐久」、13日に「1000km耐久」が開催された。後者から、参加したユニークなマシンを中心に紹介しよう。(前編はこちら)
(文と写真=沼田亨)

レースがそろそろ中盤を迎えた頃のヘアピン手前。すでにリタイヤした車両はいるものの、それにしたところでコース上にはまだ100台以上が残っているわけで、ご覧のような状態とあいなった。
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レースがそろそろ中盤を迎えた頃のヘアピン手前。すでにリタイヤした車両はいるものの、それにしたところでコース上にはまだ100台以上が残っているわけで、ご覧のような状態とあいなった。
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1960年代の国産ライトウェイトスポーツの傑作である「ヨタハチ」こと「トヨタスポーツ800」。調子が上がらないようで、しばらくコースのアウト側をスローペースでヨタヨタと走っていたが、残念ながらリタイヤ。
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「ペンゾイル」カラーがキマっていた「ホンダ・トゥデイ」。車体を軽量化するためサイドウィンドウをアクリルに替えている。
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この日、もっとも大きくロールしながらコーナリングしていた「ルノー4」のインから、「CZRアルピーヌM63」が抜いていく。「M63」はどこかでクラッシュしたようで、左前がガムテープだらけになっている。
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「スズキ・アルトワークス」を無理やりクーペに仕立てた(?)「エルメス&リアルトワークス」と「オートザム・キャロル」のバトル。
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「ミニライトwith STI」と名乗るこれは、「スバル・ヴィヴィオ」のルーフをぶった切ってロードスターにしちゃったもの。とはいえ、まとまりは悪くない。
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参加車両は派手なクルマとは限らない。そうしたジミーズのなかでも1、2を争うと思われたのが、この「スバル・ヴィヴィオ ビストロ」。それもフェンダーミラーのオッサン仕様だ。しかし、よく見るとちゃんとぶっといロールバーが入っている。ちなみにロールバーを装着しないと、規定により使用可能な燃料量がマイナス5リッターになってしまうのだ。
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使用可能な燃料量はクラスによって85〜105リッター。給油回数は4回以上6回まで行わなくてはならず、1回の給油量は5リッター以上、最大20リッターまでと決められている。
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レース中盤過ぎ、時間にして30分以内だったのではないかと思うが、降雨に見舞われた。それはさておき、これが何台もの「R車両」のベースとなった「ザウルスJr.」。本来は初代マーチ用の1リッターエンジンを搭載していた。
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「スズキ・カプチーノ」をベースに、1960年代のスポーツカー風のオリジナルボディをかぶせた「サラ2プロトティーポ」が、下まわりのトラブルで緊急ピットイン。交代に備えていたドライバー(兼チーフメカニック)が、急きょレーシングスーツを作業ツナギに着替えてクルマの下へ。
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レーシングカーデザイナーの由良拓也氏率いるチームの「子紫電あーる」も、どこかにマシンを当てたらしくピットに戻ってきた。由良氏(右端)も心配顔。
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接触あとも痛々しい、これがホントの痛車仕様(スミマセン……)の「ダイハツ・コペン」が、応急処置を終えてピットアウト。
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スケジュールどおりにドライバー交代を終えて、順調にピットアウトしていく「ポルシェ356スピードスター」風の「K-64RC(ケロヨンアール)」。
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「K4-GP」では伝統的に「ホンダ・トゥデイ」が強い。今回も総合優勝を飾ったのは、この「黒木レーシング」のトゥデイで、2位も同じ型のトゥデイだった。何の変哲もないように見えるが、マシンの仕上がり、ドライバーの腕ともに優れていたのだろう。前を行く周回遅れの群れをスイスイとかき分けるような、スムーズかつ無駄のない走りで、とにかく速かった。
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優勝した「ホンダ・トゥデイ」のインテリア。走るために必要最低限のものしかなく、それでいて仕上がりは非常にクリーン。プロっぽい仕事だ。
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午後5時過ぎにトップを行く「トゥデイ」が1000kmを超え、続々と参加車両がゴールイン。9時間8分と少々という所要時間は、主催者が想定していたより約30分も少なかったそうだ。赤旗中断などがなく、レースが円滑に進行したおかげである。
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表彰式でいちばん盛り上がるのは、名物となっている変則ルマン式スタートでマシンに駆け寄るチーム員の仮装に与えられる「仮装賞」である。今回の1位は、中央の「メグミルク」に扮(ふん)したチーム。
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サプライズとして花束を贈られたのは、「K4-GP」の企画・主催者であり、さまざまなレプリカ車両のコンストラクターである「マッドハウス」代表の「マッド杉山」こと杉山哲氏。お疲れさまでした。
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夕暮れ迫るホームストレートで、参加チーム・スタッフ全員で記念撮影。
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恒例となっているエンディング。参加車両にチーム員が乗れるだけ乗り、コースを1周パレードしてサヨウナラ。