第4戦岡山、クインタレッリが悲願の初優勝! 【FN 07】
2007.06.11 自動車ニュース【FN 07】第4戦岡山、クインタレッリが悲願の初優勝!
2007年6月10日岡山国際サーキット(全長3703m)で行なわれた、全日本選手権フォーミュラ・ニッポン第4戦。
INGINGのロニー・クインタレッリは、予選決勝とも天気に翻弄された初開催地で、強豪IMPULの2台を従えトップでゴール。本人にとっても、チームにとっても、初優勝という嬉しい結果がもたらされた。
■予選から波乱含み
前夜からの雨で、路面が少し湿っているように見られた予選1回目。各チームは、セッション開始からほとんど動きを見せない。レインタイヤを装着して、コースの様子を見るように周回し、ピットに戻るチームがほとんど。コース上は、閑散とした状態が続いた。
そんななか最初に動いたのは、PIAAだった。ロイック・デュバル、小暮卓史ともに1分17秒台のタイムを記録。
予選が残り10分を切ると、ピットから続々とマシンがコースになだれ込んだ。ブノワ・トレルイエ(mobilecast IMPUL)、松田次生(mobilecast IMPUL)、横溝直輝(INGING)、ロニー・クインタレッリが17秒台に並んだ。
しかし、各車がアタックを開始した直後に、ヘアピンで横溝がコースアウト、グラベルに捕まり動けなくなる。マシンの撤去作業に手間取り、セッション終了まで黄旗は提示され続けた。
■9割のマシンがタイム取り消しに
この影響で、なんと22台中20台がタイム取り消し処分を受けるという事態に。レギュレーション上、黄旗が提示されている間に記録されたベストタイムは抹消されるのだ。
いざこれからタイムアタックという段階だったドライバーたちは、ヘアピンの黄旗区間で徐行してもそれまでのタイムを上まわり、皮肉にもベストタイムを記録してしまう状況になった。横溝がスピンする以前にタイムアタックを行っていないマシンが6台。そのうち5台は、予選1回目トップだった小暮のタイム1分17秒409の107%にあたる予選失格ライン、1分22秒828を切れていなかった。
このため、午後の予選2回目が重要なポイントになった。
■前回優勝の小暮が初ポール
その予選2回目。開始10分ほど前から、それまで好天に恵まれていた岡山国際サーキット上空をにわかに黒雲が覆い始め、非情にも雨が降り始めた。
ようやく雨があがったのは、予選2回目の残り時間が20分を切るころだった。サーキットに初夏の日差しがふりそそぐも、路面はウエットのまま。場所によっては、ウォータースプラッシュまで見られた。
さて、どごまで乾くのか……各車レインタイヤで周回を重ねコース状態を確認した後に、スリックに交換し果敢にアタックするが、午前のセッションでアタックを行っていなかった6台以外は、午前のタイムを上まわることが出来ず。ほぼ1回目と同様、ポールポジションは小暮卓史、2位はロニー・クインタレッリ、3位にロイック・デュバルのトップ3になった。
■クインタレッリ、好スタートからトップへ
翌6月10日午後2時30分、1周のフォーメーション・ラップを経て、決勝のスタートが切られた。
好スタートを決めた2番グリッドのロニー・クインタレッリを先頭に1コーナーへ続いて小暮、その外側からサイド・バイ・サイドで4番グリッドからスタートしたブノワ・トレルイエが襲い掛かるが、小暮が2位を守って2コーナーへ、続いて松田次生、立川祐路、3番手スターから遅れたロイック・デュバルが続く。
そのオープニングラップのヘアピンで多重クラッシュが発生。アンドレ・ロッテラー(DHG TOM'S)、井出有治(ARTA)、荒聖治(DHG TOM'S)らがからみ、ロッテラーと井出はここでリタイヤとなった。このアクシデントが原因となりセーフーティカーがコースに入った。
250kmのスプリントレースは「最低1度のピットイン」と「タイヤ4本の交換」が義務付けられている。
セーフーティカーが入ったの機に、ピットワークを終了させるべく、小暮、ロイック・デュバル、立川祐路(RECKLESS CERUMO)、吉本大樹(SG 5ZIGEN)、ミハエル・クルム(Arabian Oasis IMPUL)らがピットイン。先頭集団は、小暮が早々にピットインしたことにより、ロニー・クインタレッリ、ブノワ・トレルイエ、松田次生の上位3名となった。
■IMPUL勢は2-3位をキープ
オーバー・テイクは難しいといわれる岡山国際サーキット。上位3名は順位をキープし続け、ピット作業でも順位は変わらず、このままチェッカーフラッグを受けることになった。
4位には、予選11位からスタートしたJ.P.デ・オリベイラ(CARCHS KONDO)、5位にポールスタートの小暮卓史、6位に立川祐路(RECKLESS CERUMO)、7位荒聖治(DHG TOM'S)。ミハエル・クルムはチームメイト本山哲(Arabian Oasis IMPUL)とのバトルを征して8位入賞を果たし、1ポイントをゲットした。
優勝したロニー・クインタレッリは、「今週末は完璧だった。マシンの調子が良かったので、とても楽だった」「日本に来てINGINGでF3を戦いチャンピオンを取った。フォーミュラ・ニッポンの初優勝がINGINGでとても嬉しい」などと語った。
トップのクインタレッリを追い続けたトレルイエは、「プレッシャーをかけ続けたが、ロニーはパーフェクトだった。隙が見当たらないので、リスクを犯さない方が良いと思い切りかえた」「今回の目標は、松田選手より前でフィニッシュすること、チャンピオンシップを考えれば大切なことだ」
そのチャンピオンシップで現在ポイントランキングトップの松田は、開幕戦から4戦連続で表彰台を獲得した。「前のマシンに追いつくとブレーキがフェードしてしまい、攻められなかった」「完走できたことは嬉しい。チャンピオンシップを考えたらポイントを取りこぼさないことが重要」
■折り返し点の鈴鹿に注目
次回は、シリーズちょうど中間点となる第5戦。三重県の鈴鹿サーキットで開催される。
現在ランキングトップの松田次生は28ポイント、2位のプノワ・トレルイエが5ポイント差の23ポイント。松田は、地元鈴鹿で今季初優勝をどうしても手にしたいはずだ。対するブノワは、自身「得意な鈴鹿」と呼ぶサーキットで、ポイントランキング逆転を狙っている。
チームメイト同士のチャンピオン争いが続くなか、今回初優勝を手にしたクインタレッリの連勝はあるのか。それとも、好調続きの小暮が優勝争いに絡むのか。
第5戦決勝の火蓋は、7月8日に切られる。
(文&写真=KLM Photographics J)
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