【F1 2006】第16戦中国GP、シューマッハー見事な勝利でアロンソと同点、チャンピオンシップ逆転に成功
2006.10.02 自動車ニュース【F1 2006】第16戦中国GP、シューマッハー見事な勝利でアロンソと同点、チャンピオンシップ逆転に成功
F1世界選手権第16戦中国GPが、2006年10月1日、上海インターナショナル・サーキット(5.451km)を56周して行われた。
雨に翻弄された予選でルノーがフロントローを独占。やはりウェットにたたられたレースでは、序盤に大幅なリードを築いたフェルナンド・アロンソ(ルノー)に相次いで不運が襲いかかった。
結果、6番グリッドから徐々にポジションをあげてきたミハエル・シューマッハー(フェラーリ)が見事に優勝。今シーズン7勝目、通算91勝目を飾った。
勝てたはずのレース、最初のピットストップで交換したタイヤに足を引っ張られ、2度目のピット作業でナットがはまらず、それでも最速ラップでシューマッハーにプレッシャーをかけ続けたアロンソが2位でゴールした。
アロンソ対シューマッハー、ふたりの間の2点の差はなくなり、両者とも116点だが、勝利数で1勝上回るシューマッハーがアロンソを抜き、ランキング首位に躍り出た。
タイトル2連覇を目指すアロンソ、8度目の栄冠をもって引退したいシューマッハーのガチンコ勝負が、日本、ブラジルの残り2戦で繰り広げられることになる。
3位はチームプレイに徹したジャンカルロ・フィジケラ(ルノー)。ルノーは2-3フィニッシュでコンストラクターズランキングトップの座を奪還した。
ニック・ハイドフェルド(BMWザウバー)が最終ラップまで4位を走行していたが、最後の最後に混乱に巻き込まれスピン。直後のマシンが漁夫の利を占めた。ジェンソン・バトン(ホンダ)が4位、ペドロ・デ・ラ・ロサ(マクラーレン・メルセデス)5位、ルーベンス・バリケロ(ホンダ)6位、そしてハイドフェルドは7位。最後の1点は、8位マーク・ウェバー(ウィリアムズ・コスワース)が手に入れた。
トヨタの2台、ラルフ・シューマッハー、ヤルノ・トゥルーリともメカニカルトラブルでリタイア。
スーパーアグリ・ホンダは、佐藤琢磨が14位でゴールラインを通過したが、レース後、ハイドフェルド周辺の混乱を招いたとして失格を言い渡された。山本左近は16位でGP初完走を果たした。
■雨とタイヤとタイトル争い
フェラーリのブリヂストン・レインタイヤと路面状況がマッチせず、幸運にもフロントローを独占したルノー。得意のスタートを決め、2位のチームメイトに後続を抑えてもらいながら1周1秒以上速いラップタイムを刻み、一時は25秒ものリードを築いたアロンソが、最大のライバルに勝利を奪われた。
ボタンのかけ違いは、最初のピットストップ前に起きていた。アロンソのミシュラン雨タイヤ(インターミディエイト)フロントが予想以上に早く磨耗し始め、コースオフするなど徐々に足元がおぼつかなくなってきた。
20周前後で最初のピット作業に取りかかる各車。ドライタイヤには時期尚早、しかし路面は徐々にだが乾き出している状況に、多くはスタート時のレインタイヤを継続使用する作戦をとった。使い古しのレインタイヤは、トレッドパターンが削れスリックに近くなっているためだ。
上位陣のなかで、アロンソはこのタイヤ継続作戦をとれなかった。22周目、交換したミシュランウェット(前)は、アロンソのペースを著しく落とすほどの“ハズレ”で、序盤かせいだマージンは僅か数周のうちに消えた。
2位は僚友フィジケラ、そしてその真後ろには、なんと6番グリッドから着々とポジションをあげてきたシューマッハーが迫っていた。
予選ではブリヂストンタイヤに足を引っ張られたシューマッハー/フェラーリは、レースが進行するにつれてペースを速め、8周目に5位、13周目に4位、17周目に3位へと歩を進めていたのだ。
数秒もペースが遅い1位アロンソと、2位フィジケラ、3位シューマッハーが団子状態。難しい状況に立たされたルノーは、30周目、フィジケラを前に行かせ、先を急がせた。程なくしてアロンソはシューマッハーにも先行され、3位へと落ちた。
■シューマッハー、事実上のランキングトップへ
その後は、シューマッハーの真骨頂ともいうべき展開。残り16周でドライタイヤへスイッチすると、まだ乾ききっていない路面で素晴らしいアウトラップを決め、次周、ピット作業を終えたばかりのフィジケラを1コーナーで逆転し、首位を奪った。
前戦イタリアGP、今季限りで引退することを表明したシューマッハーだが、まだまだ力衰えず、見事な勝利を飾った。
これでポイントではアロンソと並び116点。今年7勝目を手に入れたシューマッハーは勝利数でアロンソを1勝上回るため、事実上のランキングトップの座についたことになる。
レース後、会心の笑みを見せるシューマッハー、かたい表情のアロンソ。勢いは、8度目のタイトル奪取に意欲をみなぎらせるシューマッハーにあるように思える。しかし、終盤ファステストラップを連発したアロンソのルノーも復調の兆しを見せている。
残り2戦で勝ち得る20点を誰がどれだけポケットに収められるか。最終戦までもつれこみそうなタイトル争いの次戦は、10月8日、20回目の鈴鹿・日本GPとなる。
(webCG 有吉)
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