マニアックな世界へようこそ!「プラモデル・ラジコンショー2005」報告
2005.09.22 自動車ニュースマニアックな世界へようこそ!「プラモデル・ラジコンショー2005」報告
2005年9月21日(水)、恒例の「プラモデル・ラジコンショー2005」が東京ビッグサイト西1ホールで幕を開けた。同ショーは21日と22日(木)が業界関係者のみの入場日、23日(祝)および24日(土)が一般公開日となっている。
■もはやプラモは大人のホビー
模型業界、とくにプラモデルの市場はしばらく前から低空飛行が続いている。その原因は一も二もなく「子供がプラモデルを作らなくなってしまったこと」。この現象は今後も改善されるとは考えにくく、プラモデルはもはや大人(だけの)のホビーになりつつあると考えていいだろう。
そうした状況もあって、今回も行く前はあまり期待していなかった。ここ数年の傾向からして、目を引くような新製品が数多く並んでいるとは思えなかったからである。だが、結論からいえばその予想はいい方向に裏切られた。数こそけっして多くはなかったものの、いくつかのメーカーから、これまでならばけっして製品化されることがなかったであろう、マニアックなモデルがリリースされていたのである。
そうした製品を眺めていて、あるいはメーカーの担当者と言葉を交わしていて感じたのは、「どっちみち数は狙えないんだから、だったら思いきり凝ったもの、自分たちの作りたいものを作っちゃえ」という、いい意味での作り手の開き直り。というわけで、ここより先は取材記者の心に刺さった製品を紹介させていただこう。なお記者の趣味と取材時間の関係で、取材対象はクルマのプラモとミニカーに限定させていただいた。
■全開バリバリ(ほぼ死語)のアオシマ
今回、クルマ関連でもっとも元気がよかったメーカーは「アオシマ」である。同社は以前からデコトラや街道レーサー、VIPカーなど、ストリート系のテイストを得意としていたのだが、このショーではそうした路線の延長線上にある新たなアイテムである「個人タクシー」を発表した。それも現行セルシオ、ゼロ・クラウン、先々代マジェスタの3台揃い踏みである。
「個人タクシー協会に協力していただいて、できる限り実車に忠実に作りました」と、見るからにクルマが好きそうな担当者が胸を張るだけあって、行灯やタクシーメーターなどもバッチリ再現されており、その道のマニアにはたまらないであろう、1/24スケールのプラモである。
1/24の初代セリカにも驚かされた。通称「ダルマ」と呼ばれる初代セリカは、国産旧車のなかでは人気車種のひとつであり、車種選定自体はどうということはないのだが、その仕様がじつにマニアック。なんと70年代後半にオベ・アンダーソンが設立して間もないTTE(トヨタ・チーム・ヨーロッパ)からエントリーされ、RACラリーとポルトガルラリーを戦った仕様なのである。いったい誰がこんなモデルを企画したのだろうか? もちろん、これはそのディープさ加減を讚えているのだが。
プラモだけでなく、アオシマのダイキャストモデル(完成品)もなかなかユニークだった。セリカXX、スカイライン・ジャパンといったラインナップの1/43スケールはヘッドライトおよびテールライト点灯というギミック付き。1/24のAE86ことカローラ・レビン初期型は、GTVとGTアペックスという2グレードのコンバージョンパーツ、およびロールバーやバケットシートなどのチューニングパーツがあらかじめパッケージされており、車高調機能も備えているという具合。いずれも単なるディスプレイモデルで終わらないところが、いかにもアオシマらしい製品だった。
■驚異のてんとう虫登場
「日本車史上において重要と思われるクルマはすべてモデル化する」という高邁な理想のもと、創業以来アクセル全開で走り続けているダイキャストミニカーの「エブロ」。衰えを見せないどころか、ますます加速するその勢いには驚くばかりだが、今回も1/43のダイハツ・コンパーノ・スパイダー、スバル360カスタム、ホンダZ、トヨタ7日本カンナム仕様などの新製品を発表。また3年ほど前から始めたポルシェのモデルでは、904カレラGTS、908スパイダー、同ショートテール、同ロングテールなどを展示した。
なかでもルマン仕様ロングテールのマニアックぶりに感動、そのことをエブロの代表である木谷(きや)氏に伝えたところ、「私も908の中では、あのロングテールがいちばん作りたかったんですよ」とニヤリ。社長自らがマニアの中のマニアだけに、マニアごころを知り尽くしているのである。
さらに参考出品された1/12スケール、ということは全長約25cmにも達するスバル360の、緻密さと重量感が同居したたたずまいは圧倒的だった。価格については木谷氏いわく「1万5000円以下にしたいところなんですが、それだと採算がちょっと厳しいんですよ。でも自分が買う立場に回ればそのあたりが限界だと思うので、なんとかがんばってみようと思います」とのことだった。ぜひともがんばっていただきたいものである。
■超レアな実車展示も
「トミーテック」のブースに、とてつもなく希少な実車が展示されていた。このショーの会場にプラモやミニカーのモデルとなった実車が飾られること自体は珍しいことではなく、今回も某社のブースには1/1のランボルギーニ・ムルシエラゴが鎮座していた。しかし、ここに展示されていたクルマは、それらとは違って大金を投じたところで簡単には手に入らない、そもそもこの個体のほかに残存車両があるのか?というほど貴重なシロモノなのだ。
それが何かといえば、1967年式トヨタFS45V。その型式名から姿形を思い浮かべることができる方は相当のマニアに違いないが、これがいったい何かと言うと、2代目RS40系クラウンをベースに特装された救急車なのである。
なぜこんなクルマが飾られているのかといえば、これをベースとしたモデルカーがあるからにほかならない。「もしもトミカが昭和30年代に生まれていたら……」というコンセプトのもとに、トミーの子会社であるトミーテックからリリースされている国産旧車シリーズ「トミカ・リミテッド・ヴィンテージ」に、新たにこのFS45Vが加わるというわけだ。
担当者と言葉を交わしてみれば、こうした特殊な車両をモデル化するだけあって、やはり相当なマニアである。しかし、けっしてひとりよがりな企画というわけではなく、これまでにリリースしたモデルの多くは完売の状態だという。ちなみに「トミカ・リミテッド・ヴィンテージ」とシリーズ名に謳っているとおり、すべてのモデルは「リミテッド=初回のみの限定生産」であり、チャンスを逃したら二度とは手に入らない。そんなところもまた、マニアごころに訴えるのだろう。
以上、マニアによるマニアのための製品紹介に終始してしまったが、もちろんこれらのみならず計50以上のメーカーおよびショップが多くの製品を出展している。それにしても、自分で言うのもなんだが、ここまでに何回「マニア」「マニアック」という単語を使ったことだろうか。語意の貧困さ、およびしつこい性格を慎んでおわびいたします。
なお、冒頭に記したように「プラモデル・ラジコンショー2005」は、9月23日(祝)および24日(土)に一般公開される。入場料は800円、中学生以下は無料。詳しくは下記サイトにて。
http://business1.plala.or.jp/plamodel/2005/top.html
(報告=田沼 哲)
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