【WRC 2005】第6戦キプロス、サファリを思わせるサバイバルラリーで、ロウブ+シトロエンが今季4勝目!
2005.05.16 自動車ニュース【WRC 2005】第6戦キプロス、サファリを思わせるサバイバルラリーで、ロウブ+シトロエンが今季4勝目!
世界ラリー選手権(WRC)第6戦キプロス・ラリーが、2005年5月13〜15日、地中海に浮かぶリゾートアイランド・キプロスを舞台に開催された。
ホストタウンは海岸に隣接するリマソル。北部の山岳地帯にリピートを含めて計18本のステージが設定された。いずれもあのサファリ・ラリーを超えるほどのラフロードで、多くのドライバーが脱落するサバイバルラリーとなった。
そんななか、安定した走りを披露したのが昨年のチャンピオン、シトロエンのセバスチャン・ロウブだった。レグ1をトップで通過し、その後もトラブルに見舞われることなくポジションをキープ。今季4勝目を獲得し、ポイントランキングでも2位以下に11点のリードを築いた。
■レグ1、ワークス勢が相次いで脱落
「WRCでもっとも過酷なイベント」と称されるキプロス・ラリーが幕を開けた。大地を焦がす灼熱の太陽と鋭利な石に覆われたハードグラベルが同ラリーの特徴。レグ1からトラブルが続出し、多くのエントラントが脱落していった。
まず、タイミングベルトが切れたことで、プジョーのエース、マーカス・グロンホルムがSS1でストップし、チームメイトのマルコ・マルティンもリアタイヤのバーストでトップ争いから後退。
さらにSS1でトップタイムを叩き出したスバルのエース、ペター・ソルベルグも、SS2でオーバーヒートに苦戦し、続くSS3ではクラッチ、SS4ではタービン、SS6ではエンジン……と相次ぐトラブルにより、大会初日でリタイアすることとなった。
そのほか、ソルベルグのチームメイト、クリス・アトキンソンもクラッチトラブルでストップ、シトロエンのフランソワ・デュバルもスロットルペダルのトラブルで後退する。
トニー・ガルデマイスター、ロマン・クレスタらフォード勢もオーバーヒートとパンクでトップ争いから離脱し、ハリ・ロバンペッラ、ジル・パニッツィら三菱勢もそれぞれデファレンシャル、エンジンのトラブルで出遅れることとなった。
このように、ワークス勢が総崩れとなるなか、無傷で生き残ったシトロエンのセバスチャン・ロウブが、レグ1をトップでフィニッシュ。2番手にはシトロエン・クサラを駆るマンフレッド・ストール、3番手にはフォード・フォーカスRSを駆るペターの兄、ヘニング・ソルベルグらプライベーターが続いた。
■プライベーターのストールが2位入賞!
翌日のレグ2は前日よりスムーズなステージでラリーが行われたものの、パンクをはじめとする様々なアクシデントが発生した。
まず、再出走が予定されていたグロンホルムだったがエンジンがかからず、この日の最初のステージを走ることなくリタイア。
さらに出遅れていたデュバルもSS11でクラッシュをきっし、マシンを炎上させてしまった。幸いクルーは無事だったものの、これにより同ステージはキャンセル。さらに続くSS12もギャラリーがコース上に入り込んでしまったため、キャンセルとなってしまった。
結局、レグ2でも上位3台のポジションは変わらず、ロウブ、ストール、ヘニング・ソルベルグの順でフィニッシュ。度重なるトラブルで出遅れていたマルティンが4番手に浮上し、ガルデマイスター、クレスタらが5番手、6番手までポジションを上げた。
最終日のレグ3でも多くのドライバーが厳しいコンディションに悪戦苦闘するなか、「クサラはとても強いマシンだからね。ほとんどトラブルがなくて良かったよ」と語るセバスチャン・ロウブがトップのままゴール、今季4勝目を獲得した。
さらに、「ポジションをキープするために後半からはセーブしながら走った」と語るストールが2位入賞を果たし、SS15でポジションを上げたマルティンが3位で表彰台にのぼった。
なお、ヘニング・ソルベルグが4位、ガルデマイスターとクレスタらフォード勢が5位、6位につけており、ロバンペッラとプジョー206をドライブするプライベーター、ダニエル・カールソンがそれぞれ7位、8位でポイントを獲得した。
次戦は6月3〜5日にトルコで開催される。
■PCWRCも波乱の展開! 奴田原が6位、新井が7位で完走
同時開催のプロダクションカー世界ラリー選手権(PCWRC)第3戦でも、多くのドライバーがラフロードに苦しんだ。
とくにグループNではムースタイヤの装着が禁止されているため、パンクによるトラブルが続出した。
そして、開幕戦スウェディッシュのウィナー、新井敏弘も過酷なコンディションの餌食に。SS1でスローパンクチャーが発生したほか、ボールジョイントの破損でタイヤを失い、この日の走行を諦めることとなった。
さらに、三菱期待の日本人ドライバー、奴田原文雄もSS1でエンジントラブル、レグ1を35番手でフィニッシュすることに。
結局、2002年のフランス選手権チャンピオン、ブリス・ティラバッシがレグ1をトップで通過し、フェデリコ・ビラグラ、セバスチャン・ベルトランらアルゼンチン勢が2番手、3番手で続いた。
翌日のレグ2でも激しいバトルが展開されたものの、ティラバッシがトップをキープ。デフのトラブルで脱落したビラグラにかわってベルトラン、前戦のニュージーランドで3位入賞を果たしたマルコス・リガトが3番手に浮上する。
初日に大きく出遅れていた奴田原は7番手に浮上し、再出走を果たした新井も8番手までポジションを回復した。
そして、最終レグでもトップ3台の順位は変わらず、ティラバッシ、ベルトラン、リガトの順でフィニッシュ。4番手につけていたハメド・アル-ワハイビが脱落したため、奴田原は6位、新井は7位でポイントを獲得した。
が、再車検でトップのティラバッシ、2位入賞のベルトランらの車両に問題点が発覚したため、5月17日のテクニカルミーティングで正式なリザルトが決定されることとなった。
(文&写真=廣本泉)
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