ITSは世界を救うか!?――トヨタが描く近未来交通の青写真(前編)
2004.11.15 自動車ニュースITSは世界を救うか!?――トヨタが描く近未来交通の青写真(前編)
自動車を中心とした高度道路交通システム=ITSの国際的な会議、「第11回ITS世界会議 愛知・名古屋2004」が、2004年10月に名古屋で開かれた。
10月15日、ご当地の大企業トヨタ自動車は、同社の最新ITS技術を披露するプレゼンテーションを行った。その詳報の前編は、ITS世界会議が始まった経緯、そしてトヨタか掲げるテーマについて。
■諸問題の解決を目指す「ITS世界会議」
世界中で蔓延する交通渋滞や交通事故……排気ガスによる環境問題も深刻化している。20世紀半ばに急速に進んだモータリゼーションは、人類に便利さと快適さをもたらしたが、その一方で交通事故をはじめ、渋滞や環境の悪化といった負の遺産も生み出してしまった。しかもこの状況はいまもなお悪化の一途をたどり、この問題は決して一国だけで捉えるべきレベルのものではなくなっている。
そこで、その解決方法として注目されているのがITS(Intelligent Transport Systems)である。これは人類が生み出してきた科学技術、なかでも最先端の通信技術を駆使することで、人とクルマの間で情報をやりとりし、交通の安全と最適化を図ることで、これら山積みとなった諸問題を解決しようというものだ。
1994年のパリ大会を皮切りに、欧州、アジア・太平洋、北米の3極が持ち回りで毎年秋に開催してきたのが「ITS世界会議」である。
日本では1995年に横浜で開かれているが、今回2度目の開催として10月19日から1週間にわたって「ITS世界会議 愛知・名古屋2004」が開催された。
そこでは各社、各国が様々な技術を持ち寄って発表・展示していたが、なかでも熱心な動きを見せたのが、地元愛知のトヨタ自動車である。
■「Zero-nize」と「Maxi-mize」
トヨタは自社が開発中のITSへの取り組みを一つのショーケースとして用意し、トヨタの考える近未来のITSを披露した。
テーマは「20××年には、車、交通社会はこうなる」。ここではトヨタのITSへの取り組みコンセプトと、その実現に向けた具体的な技術開発を通じ、トヨタが目指す未来のクルマ、交通社会の一端を提案し紹介するものとなった。
ツアーは愛知県豊田市内にあるフォレスタヒルズで開催され、まずプレゼンテーションを聞くことからプログラムはスタート。ここでは「ITSドリームショー」と題して、トヨタが考える未来の「車」「道路」「サービス」に求められる機能や、相互関係を「安全」「環境」「利便」の3つの側面からCG映像を通じて紹介された。
また、トヨタは自動車を世に送り続けるメーカーとして、豊かな車社会を実現すべく、交通事故や渋滞を限りなくゼロに近づける「Zero-nize」をひとつのテーマとして掲げた。
その一方でクルマによってもたらされる楽しさやワクワク感、便利さを追求する「Maxi-mize」も目指し、結果としてこれら二つのテーマを自動車メーカーらしく高次元で両立させることを最大のテーマとした。(後編へつづく)
(文=会田肇)
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