日産シーマ450XV(5AT)【試乗記】
『セルシオほど眠くならない』 2001.02.05 試乗記 日産シーマ450XV(5AT) 2001年1月12日にデビュー。出足好調が伝えられる日産期待のニューモデル、「シーマ」。「Dynamic & Modern」をコンセプトに、(高級車としては)斬新なスタイルと4.5リッターV8で、コンサバ&4.3リッターのトヨタ・セルシオに挑戦する。自動車ライター、下野康史のファーストインプレッション。
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自分でハンドルを握るなら
シーマはセルシオの対抗馬である。かつてはセドリックの派生モデルだったが、いつのまにか対米メインのインフィニティQ45と車種統合し、セルシオのライバルになった。だから、シーマが気になる人にとっての最大の興味も、セルシオと比べてどうか、ということだろう。
結論を言うと、セルシオのように、非の打ち所がないほどには洗練されていないが、そのかわり、よりスポーティでクルマらしい。自分でハンドルを握るなら、僕は迷わずシーマをとる。
新型シーマに乗っていちばん感心したのは、「エクリュ本革」という内装である。ベージュの革と、白木のような色合いの木目パネルとを組み合わせた、明るいインテリア。これが非常に高級かつ新鮮で、とてもよかった。挑戦者は、どんどんこういう新しい試みをやるべきだ。
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シーマはBMW
「レーンキープサポートシステム」も、ちょっとした驚きである。CCDカメラで、高速道路の両側の白線を認識し、そのなかでの微舵修正は、自動でやってくれる。まっすぐな道なら、手を離したまま走れる。これはあくまでサポートであるから、絶対にハンドルから手を離してはいけないと日産は言うが、ちょっときつめのコーナーが現れて、レーンを逸脱する警告音が鳴り、自動的にシステムがキャンセルされるまで、僕は九州自動車を約4kmにわたって、手も足も使わずに走った。足は、「車間自動制御システム」のおかげで、アクセルペダルから解放されていたのだ。
というような「自動・車」的ハイテク装備もぬかりないが、シーマはけっして退屈なクルマではない。セルシオほど眠くならない。輸入車のベンチマークはメルセデスE430とBMW540だったそうだが、性格的には、セルシオがメルセデス、シーマはBMWだ。
(文=下野康史/写真=日産自動車)

下野 康史
自動車ライター。「クルマが自動運転になったらいいなあ」なんて思ったことは一度もないのに、なんでこうなるの!? と思っている自動車ライター。近著に『峠狩り』(八重洲出版)、『ポルシェよりフェラーリよりロードバイクが好き』(講談社文庫)。