ヒュンダイ・サンタフェ2.7GLS(4AT)【ブリーフテスト】
ヒュンダイ・サンタフェ2.7GLS(4AT) 2001.04.04 試乗記 ……245.7万円 総合評価……★★★妥当なSUV
1番ミニバン「トラジェ」がシングルヒット、2番4ドアセダンの「エラントラ」が送りバントで3番SUV「サンタフェ」につなげ、まだ見ぬ4番打者に期待する、というのが、2001年1月7日に日本法人を設立した韓国のナンバーワン自動車メーカー、ヒュンダイの戦略である。問題は、まだ点が入っていないということだが……ってナニ言ってんだか。
サンタフェのステアリングホイールを握って中央フリーウェイを走りながら、「なかなかイイ!」と思っていたのである。たそがれがフロントガラスに広がったりはしなかったが、2.7リッターV6“デルタ”ユニットは軽やかに歌い、1710kgの決して軽くはないボディを存分に加速する。ステアリングフィールはしっかりしているし、フラットな乗り心地もイイ。同じドライブトレインを使いながら、トラジェのドン臭さに首をひねることになるのは、先のハナシだ。
SUVとしての演出に欠ける灰色の室内、街なかでは気になる路面からの細かい突き上げ、とウィークポイントがないではないが、トヨタ・ハリアー3.0Fourが293.5万円だから、車両本体価格223.2万円なら、まあ妥当か。マッチョな外観は押し出しがきくから、あとは250万からのお金を出して、(日本市場では)新興メーカーのクルマを買うのかどうか……などと考えながら試乗を終えたのち、河野カメラマンから渡された画像データのファイル名に気が付いた。
「サンタモニカ」。……違います。
【概要】 どんなクルマ?
(シリーズ概要)
2000年のデトロイトショーでデビューしたヒュンダイ初のSUV。本国では、2、2.4リッターの直4、2.7リッターV6、2リッターディーゼルターボがラインナップされる。FFと4WDモデル有り。4WDシステムは、センターデフでトルクを前:後=6:4に配分し、ビスカスカプリングを組み合わせて前後の作動制限を行う。前後輪各左右間のトルクは、BTCS(ブレーキトラクションコントロールシステム)が、滑った車輪にブレーキをかけることで制御する。
(グレード概要)
日本には、2.4リッター直4のFFモデル「2.4GLS」と、2.7リッターV6のヨンク版「2.7GLS」の2車種が輸入される。トランスミッションは、いずれも4段ATのみ。V6モデルは、バンパー組み込み式のフォグランプを装着、ドア、トランクハンドルがクロームメッキになり、アルミホイールに225/70R15とひとまわり太いタイヤを履く。トラクションコントロール、進行方向の方位などを表すデジタルメーターを備えることなども、4気筒モデルとの違いだ。
【車内&荷室空間】 乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★
グレー系で統一された、殺風景な室内。インパネまわりの樹脂類の質感は、いまひとつ。センターコンソールに濃い色のパネルを使い、上部にデジタルメーターを載せた形態は、ジャンル違いだが、日産スカイラインGT-Rを思わせる。ボタン類は大きく使いやすい。ウィンカーレバーが右側に移されているのは立派。
(前席)……★★★
オプションの本革シートが奢られたフロントシート。2つのダイヤルで座面角度を調整できるほか、バックレスト左脇には、背中の当たる部分の湾曲度を調整できるレバーが備わる。ホールド性はあまり考慮されない。座り心地は平凡だが、ステアリングホイール、ペダル類との場所関係がよく考れており、好みのドライビングポジションが取れる。
(後席)……★★★
ドアを開けて目に飛び込む足もとの広さは驚くばかり。ところが、着座位置が低いうえ前席の下に足先を入れられないため、足を折り曲げる必要がある。そのためリアシートに座り続けるのは、意外に楽ではない。スペースで★プラス1。座りにくさで★マイナス1。
(荷室)……★★★★
奥行き93cm、床面最大幅135cm、パーセルシェルフまでの高さ45cmと、標準的なラゲッジルーム。床下に深さ9cmのトレイ有り。12Vの電源ソケットが備わる。後発のSUVだけあり、ハッチゲイトとガラスハッチが別々に開くのが便利。
【ドライブフィール】 運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★
「全域にわたって最大トルクの80%以上を発生する」と謳われるオールアルミV6ユニットだが、ストップ&ゴーの多い街なかでは、シュルシュルと軽く回るせいもあってか、意外に力強さを感じない。組み合わされる4段ATは、HIVEC(Hyundai Intelligent Vehicle Electric Control)と呼ばれる、別ゲイトのシーケンシャルシフト機能をもつ。レスポンスはいいが、クルマの性格上、多用することはないだろう。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★
モノコックボディ、4輪独立懸架をもつSUVらしく、乗用車と遜色ない乗り心地。路面の凸凹を正直に拾うアシまわりで、ハーシュを遮断しきれない。ステアリングホイールへの入力も直接的だ。一方、回すといいエンジンと合わせ、姿カタチに似合わず(?)高速巡航は楽しい。ステアリングが無闇に軽いこともなく、安心感高い走りを見せる。
(写真=河野敦樹)
【テストデータ】
報告者:webCG青木禎之
テスト日:2001年2月28日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2001年型
テスト車の走行距離:2222km
タイヤ:(前)225/70R16 102T/(後)同じ(いずれもブリヂストンDueler H/T687)
オプション装備:本革シートパッケージ+電動ガラスサンルーフ+前席サイドエアバッグ
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(3):高速道路(5):山岳路(2)
テスト距離:266.2km
使用燃料:50.6km
参考燃費:5.3km/リッター

青木 禎之
15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。
-
トヨタ・ランドクルーザー“FJ”VX(4WD/6AT)【試乗記】 2026.10.7 新たにシリーズに加わった「ランドクルーザー“FJ”」は、ポップな見た目から簡易版のように思われるかもしれないが、その中身は紛れもなく本物であり、道なき道をグイグイと突き進む。これもまた「どこへでも行き、生きて帰ってこられる」を体現する一台である。
-
スバル・レヴォーグ レイバック プレミアムS:HEV EX(4WD/CVT)【試乗記】 2026.10.6 「スバル・レヴォーグ レイバック」にストロングハイブリッド搭載モデルが登場。高効率なパワーユニットが積まれたのはもちろんのこと、既存の純エンジン車とはデザインやボディーサイズも違っているというから興味深い。上位グレードの「プレミアムS:HEV EX」を試す。
-
アウディA6アバントTFSIクワトロ200kW(4WD/7AT)【試乗記】 2026.10.5 今も昔もアウディの中核を担うアッパーモデル「A6」。その最新世代の「アバント」に試乗した。堂々とした優雅なボディーに最新のハイブリッドシステムを搭載したステーションワゴンは、いかなる走りを見せてくれるのか。その実力をリポートする。
-
ホンダN-BOXカスタム ターボ コーディネートスタイル2トーン(FF/CVT)【試乗記】 2026.10.3 フロントグリルとメッキパーツの面積が大きくなって迫力が増した最新の「ホンダN-BOXカスタム ターボ」に試乗。マイナーチェンジで進化した内外装の仕上がりと、軽四輪車の販売で11年連続の首位を誇る“絶対王者”の走りを報告する。
-
日産エルグランドG e-4ORCE(4WD)【試乗記】 2026.9.30 日産のプレミアムミニバン「エルグランド」がフルモデルチェンジ。その動力を担う第3世代の「e-POWER」は優れたドライバビリティーとともに、懸案だった高速燃費の改善もうたう。ロングドライブで進化のほどを確かめた。
-
NEW
パナソニックが市販カーナビを終売! 巨人の撤退からカーエレクトロニクスの変化を読み解く
2026.10.9デイリーコラムパナソニックが、市販市場向けカーナビゲーション、ドライブレコーダー、リアビューカメラの終売を発表! カーエレクトロニクス界の巨人は、なぜ市場からの撤退を選んだのか? 変化し続けるマーケットの在りようを振り返り、車載機器の未来を考察した。 -
フェラーリ・プロサングエ ハンドリング スペチアーレ仕様(4WD/8AT)【海外試乗記】
2026.10.8試乗記フェラーリの4ドア4シーターモデル「プロサングエ」に、「ハンドリング スペチアーレ」を名乗るスペシャルバージョンが登場。その走りは従来モデルからどのように変わったのか? 跳ね馬の原産国、イタリアで確かめた。 -
「アプライドD」で何が変わった? スバルの「インプレッサ」と「クロストレック」の進化を探る
2026.10.8デイリーコラムスバルが「インプレッサ」と「クロストレック」の改良モデル「アプライドD」を発表した。モデルライフの折り返し地点となる今回の改良では、ラインナップの刷新がトピック。その内容とスバルの狙いを、スバリスト玉川ニコ氏が解説する。 -
“クルマづくりのプロ”の話をライブで配信! 「あの多田哲哉のクルマQ&A」公開収録のお知らせ
2026.10.7From Our Staff元トヨタの多田哲哉さんが、自動車に関するさまざまな疑問・質問に答える「あの多田哲哉のクルマQ&A」。その話がライブで聞けて質問もできる公開収録を、10月15日(木)の夜、19時半から実施します。 -
咆哮なき電気自動車「ジャガーTYPE 01(タイプ01)」に“ジャガーの魂”は宿るのか?
2026.10.7デイリーコラムいよいよ正式デビューを飾った、新生ジャガーのラグジュアリー4ドアGT「TYPE 01(タイプ01)」。いったいどんなクルマなのか、従来のファンも納得できる“ジャガーらしさ”はあるのか? 先行チェックした西川 淳がリポートする。 -
トヨタ・ランドクルーザー“FJ”VX(4WD/6AT)【試乗記】
2026.10.7試乗記新たにシリーズに加わった「ランドクルーザー“FJ”」は、ポップな見た目から簡易版のように思われるかもしれないが、その中身は紛れもなく本物であり、道なき道をグイグイと突き進む。これもまた「どこへでも行き、生きて帰ってこられる」を体現する一台である。





























