ヒュンダイ・サンタフェ 2.7 GLS(4AT)【海外試乗記】
『ほどほどの蜜柑』「ヒュンダイモータージャパン韓国特別試乗会」報告 2000.12.14 試乗記 ヒュンダイ・サンタフェ 2.7GLS 4WD(4AT) ……223.2万円 成田からソウルに着いたと思ったら、再び南へ400km余、朝鮮半島の南西、五島列島の北西に位置する、チュジュ(済州)島に向かった。かつては韓国の新婚さんの9割が訪れたという「コリアン・サザン・アイランド」である。 2000年12月6日からの3日間、男女比においては圧倒的に男性が多数をしめる日本人ジャーナリストグループは、韓国の自動車メーカー「ヒュンダイ(現代)」が主催する「ヒュンダイモータージャパン韓国特別試乗会」に参加した。2001年1月から、日本市場で販売が開始される同社のクルマ---4ドアセダン「エラントラ」、ミニバン「トラジェ」、SUV「サンタフェ」---に乗るためだ。ブランニューの街乗りヨンク
北米はニューメキシコ州の州都から名前をとった「サンタフェ」は、1999年にデビューしたヒュンダイ初のSUVである。前マクファーソンストラット、後ダブルウィッシュボーンのサスペンションをもち、2620mmのホイールベースに、全長×全幅×全高=4500×1845×1730mmのモノコックボディを載せる。
4輪独立懸架の足まわりに、FFを基本にしたドライブトレインを組み合わせた同様の生い立ちをもつSUV、マツダ・トリビュート/フォード・エスケープより、若干大きい。
レクサス「ベストヒットUSA」RX300ことトヨタ・ハリアーが、「アー・ユー・ウィンダム?」またの名を「北米カムリ」をベースに、クロスカントリー調の上屋を与えられたクルマであるのに対し、サンタフェは、プラットフォームから新たに開発された、パリパリのブランニューモデルである。市場の人気におされ、クロカン+ミニバン+乗用車=「街乗りヨンク」が、ひとつのカテゴリーとして確立されたということだ。
ちなみに、ヒュンダイは、サンタフェをして「フュージョンカー」と称するそうだが、「カシオペア」みたいでなんだかなァ……、好きだけど。
手応えないSUV
テスト車は、2.7リッターV6(179ps、25.2kgm)ユニット、4輪駆動システムを搭載し、本革内装を奢られた豪華版。日本には、このほか、2.4リッター直4(145ps、20.8kgm)ユニットを載せたFFモデルも輸入され、いずれもスポーツモード付きの4段ATと組み合わされる。
ヒュンダイの「北米R&D」でまとめられた外観は、「一目でヒュンダイであることがわかるスタイリング」だという。しかし、同社のクルマにまるで馴染みがないリポーターは、評価の言葉をもたない。「いかつい顔が、GT-Rに似ているわい」と思っただけである。
右側通行の国ながら、日本仕様ゆえ右ハンドルのサンタフェに乗り込むと、フロントウィンドウごしに見える、ボンネット両端の、盛り上がった峰が力強い。
一方、インテリアは、グレー一色の樹脂然としたもの。「ワイルドなオレ」「アクティブなワタクシ」を夢想したい向きには、アッサリしすぎて物足りないかもしれない。「実用」というよりは、「軍用」に近い無愛想さだ。
センターに大きなパッドが設けられた革巻きステアリングホイールを握って走り始める。
「やや重めのステアリングを切って、ムッチリとしたタイヤを動かす」といった、スポーツ・ユーティリティ・ヴィークルへの個人的な先入観のせいか、強めのパワーアシスト、つまり軽いステリングに拍子抜けする。さらに、接地感のなさが気になった。
スロットルペダルも足応え(?)なく、踏み込むと、「自社開発」とヒュンダイ関係者が胸を張るオールアルミV6ユニットがシュルシュルと手応えなく回転を上げる。のれんに腕押し。1710kgのボディが、思うように進まない痛痒感。「もうすこし低回転域でのトルクが太い方が……」などと思ったのは、しかし最初の10分だけで、すぐにオフローダー風のクルマに乗っていることさえ忘れてしまう。
ビスカスカプリングをセンターに配した4WDシステムをもつとはいえ、サンタフェはオンロードカーだから、それでいいのだろう。問題は、「外からどう見えるか」なのだから。
味、形、価格
左手に海を見ながら、チュジュ島を時計回りに走る。「石と風と女が多いので三多島と呼ばれる」通り、石を積んだ低い塀が散見される。また、「昔、女はみんな海女になった」そうで、コーナリング写真を撮りにいった一隊は、日干しのイカの向こうに一糸纏わない女性を目撃した、と報告した。ただし「昔の女性」だったというので、改めて確認に行くのは控えた。
サンタフェを運転していて「おもしろいな」と思ったのは、スピードメーターとタコメーターの間に置かれた、シフトポジションを示すインジケーターである。シーケンシャルシフトを可能にするスポーツモードにしなくても、いま何速に入っているかが刻々と報告される。「100km/h、4速で2250rpm」なんてメモする身には重宝至極。肝心のギアチェンジも、自然で、スムーズなものだった。
サンタフェのオートマチックトランスミッションは、三菱の「INVECSII」をヒュンダイが改良したもの。「HIVEC(Hyundai Intelligent Vehicle Electronic Contorol)」と呼ばれるシフトプログラムが組まれる。
日本向けにブリヂストンタイヤ(Dueler H/T 687)を履いたサンタフェの乗り心地は、可もなく不可もなし。ときおり、リアの突き上げが直接的、と感じる程度。
クルマに備わっていた島特産のミカンをほおばりながら運転していると、昨夜のバスのなかで聞いたガイドさんの昔話を、語尾を上げる独特のイントネーションと一緒に思い出す。
「……ワタシの兄は、冬になると、漁船に乗ってコッソリ日本に行きました。日本の方が、お給料いいでしょう……」
1967年に設立されたヒュンダイモーターは、9年後に「ポニー」をアメリカに輸出、81年から三菱との提携を開始、85年には「ヒュンダイ モーター アメリカ」を設立して、北米での足場を固めた。
最近では、IMFの介入を招いた韓国通貨危機の後、1998年にキア(起亜)自動車を吸収合併したことが記憶に新しい。いまや、年間生産台数280万台、韓国ではマーケットの7割という圧倒的なシェアを誇る自動車メーカーである。「2010年までに、世界で5位以内に入る」と鼻息は荒い。
2001年、「エラントラ」「トラジェ」「サンタフェ」と最新モデルをひっさげ、満を持して198番目の輸出先「日本」に進出する。絶対的な「ヴァリュー・フォア・マネー」を武器にして。
「形や味はほどほどでも、リーズナブルな価格のミカンはよく売れる」というのが、ヒュンダイ モーターのポリシーである。
(文=web CG 青木禎之/写真=ヒュンダイ モータージャパン/2000年12月)

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