トヨタi-ROAD:TOYOTAの底力

2013.11.22 コレはゼッタイ! 森口 将之
トヨタi-ROAD
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トヨタi-ROAD:TOYOTAの底力

このクルマはワールドプレミアではない。今年3月のジュネーブモーターショーで発表済みだ。ただ「エコとファンの両立」という21世紀的テーマに対して、現時点での理想解のひとつではないかと思い、あえて選んだ。

■カタチだけのコンセプトモデルではない

インホイールモーター内蔵の前輪を上下にスライドさせ、車体をリーンし、後輪をステアして曲がる。たぶん史上初だ。しかも一連の動作を、驚くほどスムーズにやってのける。高度な電子制御のおかげだ。自分で似たような三輪EVを作ったら、手が付けられないほどトリッキーで、すぐに転倒してしまうだろう。
しかもトヨタはウケ狙いでこのカタチにしたわけではない。駐車スペースを削減すべく、オートバイ並みの車幅を目指し、走行安定性を与えるために車体をリーンさせた。横Gが発生しないからシートのサイドサポートも必要ない。そして運転席の足元を広くしようと、操舵(そうだ)は後輪に任せた。とことん理詰めなのである。

今回のモーターショーでは走る姿を拝むだけになりそうだが、それでも楽しさは伝わるはず。しかも来年には乗れる。豊田市で展開中のカーシェアリング「Ha:mo」に導入されるからだ。現地に行って会員登録をすませれば、新種の移動の喜びが味わえる。
でも本音を言えば、シェアだけじゃもったいない。欲しい人はゼッタイにいそうだし、これでレースをしたら面白いだろう。揺るぎない思想と、最先端の技術と、楽しさを忘れない気持ちが小さな車体に凝縮している。トヨタの底力を感じる。

(文=森口将之/写真=峰 昌宏)
 

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