東京オートサロン2014 チューナー系ブース評【東京オートサロン2014】
2014.01.11 自動車ニュース【東京オートサロン2014】東京オートサロン2014会場リポート(チューナー編)
カスタマイズカーの祭典「東京オートサロン2014」が開幕。メーカー系ブースに続いて、チューナー系ブースの様子を報告する。
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■前回から主役は変わらず
前回は、業界にとって待望久しいFRのスポーツクーペである「トヨタ86/スバルBRZ」がデビューしたことで、大いに盛り上がったチューニング系。今回もその勢いは持続しており、前回に続いて設けられた「86&BRZワールド」をはじめ、かなりの台数が展示されていた。だが、数こそあるものの、あまり存在感が伝わってこないのも前回と同様である。
86/BRZのチューニング内容に関しては、エンジンに過給器(スーパーチャージャー、ターボチャージャー)を装着したものが大半を占めていた。ある大手チューナーに聞いたところでは「ノーマルだと実測170ps前後が、過給器を付けると250ps~260ps前後まで上がります。費用は工賃を含め80万円ぐらいなので、1馬力1万円といったところでしょうか。需要はかなりあって、過給器が納品待ちになることもありますよ」とのことだった。
衝撃的なデビューから丸6年を過ぎた「日産GT-R」は、依然としてチューニング界の王座に君臨している。当初物議を醸した「イジったら保証外」ということなど、この世界ではとっくに忘れ去られているようだ。1000psオーバーの車両も珍しくなくなった今では、もちろん中身はベース車のイヤーモデルと同様に進化しているのだろうが、素人目にもわかるようなチューニングの傾向は認められない。それはともかく、86/BRZとGT-R、それに少数の「フェアレディZ」を除いては、現行車両がベースのチューニングカーはほとんど見当たらなかった。適当なベースカーがないのだから、当然といえば当然なのだが。
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■“カスタム系”には寂しさも
ドレスアップ系に関しては、これといった車種やカテゴリーの隆盛は見られなかったが、強いていえば昨年にフルモデルチェンジした「トヨタ・クラウン」の「アスリート」が、いかにもオートサロン向きの派手な顔つきからか、目立っていたようにも思う。顔つきといえば、レクサスのスピンドルグリル風のマスクがそこそこ目に付いた。本家の新車における評判はいまいちのようだが、オートサロンの会場には、旧型レクサスをはじめとするトヨタ車から軽トラまで、それ風のお面を付けた車両が認められた。
クラウンや「レクサスLS」に代表されるビッグセダン系のドレスアップは、すでに確立されたカテゴリーといえるが、それらが「VIPカー」と呼ばれブレイクしたのは、15年ほど前になるだろうか。ルームミラーからつり下げる“ふさ”をはじめ、ちょっぴり和風のテイストを感じさせるカスタムで、その道のリーディングブランドだったジャンクションプロデュースが、今回は会場から姿を消していた。ブランド自体は健在なのだが、長年にわたって定位置に構えていたブースがないことには、一抹の寂しさを感じた。有名ブランドといえば、かつて派手なブースで一世を風靡(ふうび)したと思ったらこつぜんと姿を消し、そして数年前に突如として復活したヴェイルサイドも、今回は出展規模を縮小していた。
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■輸入車で人気はメルセデスとランボ
伝統的にオートサロンでは輸入車は少数派だが、イバリの効くモデルは、話は別。セダンではメルセデス・ベンツ、スポーツカーではランボルギーニが昔から人気がある。特にランボは、こう言うと語弊があるかもしれないが、カスタム手法がヤンキー系の延長線上にあるような派手なセンスのものが多く、そのせいもあって、会場では目立つ存在である。
そのランボに比べるとライバルのフェラーリは少なく、ポルシェはといえばデカくて存在感の強い「カイエン」や「パナメーラ」は人気だが、ストイックな走りの雰囲気が強い「911」や「ケイマン」「ボクスター」はほとんど見かけない。珍しいところでは、日本ではまだ発売前の新型「シボレー・コルベット」(C7)を2台見かけた。
オートサロンといえば絶対に外すことのできない、小規模なカスタムメーカーやショップ、そして常連となった自動車専門学校による、「切った貼った」の大胆なカスタムカーも健在である。もはや伝統芸ともいえるこの種の展示車両の存在はうれしい限りだが、そうしたエクストリームなモデルと、メーカー/インポーターとして出展されたメルセデス・ベンツが同居しているのは、考えてみればスゴイことである。不勉強にして海外の事情には疎いのだが、海の向こうにもこうした「何でもあり」のカーショーは存在するのだろうか?
(文と写真=沼田 亨)
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