メルセデスの主役は「トランスフォーマー」【フランクフルトショー2015】
2015.09.16 自動車ニュース![]() |
【フランクフルトショー2015】メルセデスの主役はトランスフォームする「コンセプトIAA」
フランクフルトモーターショー(開催期間:2015年9月15日~27日)開幕前日の14日の夜、メルセデス・ベンツはメディア向けのプレビュー「メルセデス・ベンツ メディアナイト」を開催。状況に応じて姿を変える「コンセプトIAA」を公開したほか、ディーター・ツェッチェ社長が同社の将来戦略などについて語った。
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
■“変形後”のCd値は0.19に
翌日に開幕するモーターショー会場のダイムラーグループのブースを用いて開かれたメディアナイト。冒頭、ツェッチェ社長は「メルセデス・ベンツは自動車メーカーからネットワークモビリティーのサービスプロバイダーへと変化する」と発言し、会場をざわつかせた。すなわち、クルマを売ってユーザーに所有してもらうという旧来のビジネスだけでなく、例えば、必要な時に必要なサイズのクルマが、必要な場所へ現れるといったサービスの可能性をも模索しているという。
という前置きの後、4ドアクーペの「コンセプトIAA」を発表した。IAAとは「Intelligent Aerodynamic Automobile」の略。また、フランクフルトモーターショーの正式名「Internationale Automobil-Ausstellung」の頭文字にも引っ掛けられている。
ツェッチェ社長が「デジタルトランスフォーマー」と呼ぶこのコンセプトIAAは、ビッグデータを活用したデジタライゼーションによって、コンセプトカーの開発期間として過去最短で開発された。80km/hを超えると自動的に「エアロダイナミック」モードに切り替わる。フロントスポイラーがせり出し、ホイールに開けられた穴がふさがり、フロントバンパー左右の空気取り入れ口の形状も変化する。またリアエンドが40cmせり出して空力性能を向上させるほか、空気抵抗となるドアミラーを取り外し、代わりにカメラ映像で後方を確認する。これらの結果、Cd値は0.19と4ドアクーペとしては、というよりも量産車として最良の部類の空力性能を実現した。
ただし、ツェッチェ社長はコンセプトIAAについて「携帯電話でいえば、ようやくインターネット接続なしのモデルが登場した時のようなレベルに達したにすぎない。世の中のデジタライゼーションがさらに進めば、より真価を発揮する」と語った。つまり、道路をはじめ、街全体の通信インフラが進化すればするほど、このクルマの性能も上がるということだ。現段階では、パワートレインなどについての言及はない。
■PHVの「GLC350e 4MATIC」を発表
このほか、ゼロエミッションと、これまで通りの十分な航続距離のベストコンビネーションとして、現状、メルセデス・ベンツはプラグインハイブリッド車(PHV)を次世代技術の中核として位置づけている。これまでに「S/E/Cクラス」などで展開してきた同社のプラグインハイブリッドだが、今回、新たに同社5モデルめのプラグインハイブリッドとして、「GLC350e 4MATIC」を発表した。GLCは従来の「GLK」に取って代わるミドルレンジのSUV。スペック詳細は未定だが、Cクラスのプラグインハイブリッドである「C350e」と共通のパワートレインが採用されるだろう。
なお、ツェッチェ社長はスピーチの中で、現在移民(難民)がドイツをはじめとするヨーロッパ諸国へ大挙して押し寄せていることについて、「確かに助けが必要な80万人もの人が一気に増えるのはタフな状況だが、過去を知る者ならだれもドイツが移民(難民)を拒否すべきではないとわかるはず。それに、シリコンバレーで起業して大成功を収めたセルゲイ・
(文と写真=塩見 智)
関連キーワード:
フランクフルトモーターショー2015, 自動車ニュース